PPIは意外とアレルゲン性が高く、アレルギー性の急性間質性腎炎になりやすい(図1)。免疫チェックポイント阻害薬と併用すると、重症のアレルギー性の腎障害が起こりやすい(図2)が、これらは用量依存的ではない。長期投与で問題なのはPPIによる毒性ではなく、胃酸分泌抑制による諸問題なのだ。まず下記の4つの副作用に注意しよう。①胃酸分泌の抑制による腸内細菌叢の変化によってクロストリジオイデス・ディフィシル(CD)腸炎などの多剤耐性菌のコロニー形成のリスクになる(図3)、②Mgの吸収障害による重度の低マグネシウム血症により、QT延長、心停止を起こす可能性がある。TdP (Torsades de pointes)発症患者の半数以上が低マグネシウム血症でTdP発症群の血清Mg濃度は低く、PPI服用中にTdP発症群の血清Mg濃度はさらに低いことが報告されている(図4)③胃酸分泌抑制によって吸収されにくくなる薬物がある(アゾール系抗真菌薬のイトラコナゾール、HIV抗レトロウイルス薬のリルビビビン、アザタナビル、チロシンキナーゼ阻害薬のダサチニブなど)④PPI長期投与によってビタミンB12の吸収障害(PPIを常用している平田も欠乏レベルに近かった)。
そのほかにも様々な報告がある。Ca吸収障害による骨折のリスク増加、種々のがんリスク上昇、肺炎のリスク上昇、認知症悪化リスク上昇など様々だが、これらは矛盾するデータも多く、交絡因子の影響を受けているものが多いので確立されていない。本当にPPIの必要な患者さんに対して、再生回数を増やすために、明確になっていない副作用、薬の怖さだけ強調する医療系SNSには気を付けよう。




