頻回の嘔吐・下痢および発熱の精査目的で入院した透析導入直前の末期腎不全患者に次のような処方がなされた。なおこの患者には絶食の指示が出されている。あなたはこの処方を見て、どのような検査値をチェックし、主治医にどのようなアドバイスをしますか?
点滴:5%ブドウ糖500mL+ビタメジン®(VB1+VB6+VB12)1V+VC500mg+50%ブドウ糖20mL×2A
内服:ビオフェルミン®3g分3発熱時ロキソニン®1錠頓用
これって実際に僕が経験した症例で、主治医は研修医を卒業したての若い医師。まず検査室に電話してこの症例の最新データをもらうと血清Na濃度120mEq/L、K濃度2.0mEq/Lで明らかな低ナトリウム血症、低カリウム血症があり、患者さんは「脱力感、嘔気」を訴えていたので、すぐ医師のもとに行き、「この処方、ぜんぶ間違ってます」と言った。輸液は腎機能が正常であれば、どんな輸液をしても腎臓が不足分だけを保持し不要なものは排泄してくれるので、不足分が補えて体調はたいていよくなるが、末期腎不全となるこの能力は期待できない。下痢ってことは水、Na、Kが喪失するので、それらを補わなければならないが、電解質の入っていないブドウ糖で血漿を希釈してどうすんのよ。おそらく腎不全患者が鳴りやすい高カリウム血症、高ナトリウム血症にならないようにと思っていたんだろうけど、僕はこの症例を見たのは処方開始後2日後で、絶食の指示が出ているので、乳酸リンゲルに変えてもらい、ビオフェルミンは胃酸で死滅するので、ミヤBMの変更していただき、ロキソニンを空腹時に飲んだら消化管出血が怖いので、アセトアミノフェン500mgの頓服に変えてもらった。その後は先輩の先生が何とか指導してくれたみたい。通常、透析患者は高カリウム、高リン血症を起こしやすいとみんな思っているが、食事摂取できない栄養不良の高齢透析患者では低カリウム、低リン血症になることはふつうにあることなんだ。

