1月27日(火)に開催されました、アスヤクLIFE研修会「検査値・臨床データから病態をどう解釈し、疑義照会・服薬指導にどう生かす?」につきまして、当日は187名の方にご参加いただきました。誠にありがとうございました。以下に、当日お寄せいただいたご質問への回答を掲載いたします。


Q.保険ではアルブミン尿の検査は糖尿があれば検査可能ですがない場合は検査をすることが難しいかと存じます。患者本人が腎機能数値クレアチニン値などが血液検査やドッグで以前より高値になってきている場合、さらに何か調べる手立てはあるのでしょうか?また運動を始めて筋肉が増えてクレアチニンが上がってきているのか腎機能低下で上がっているのかを確認する手立てはあるのでしょうか?

A.糖尿病であればアルブミン尿が測定できますが、非糖尿病のCKD患者では蛋白尿を定量できます。運動をして筋肉量が増えていることは体組成計で簡単にわかります。特にInBodyという体組成計は正確です。ただし筋肉量が増えたからと言っても血清クレアチニン値の上昇は1か月に0.1mg /dL程度です。ボディビルの選手であれば筋肉量が見た目で分かるくらい増えたら、0.2とか0.3mg程度上昇するかもしれません。そんなわずかな上昇ですから、血清クレアチニン値1.5mg/dLの人は明らかに腎臓は良くないです。


Q.SGLT2阻害薬のエリスロポエチン産生促進のお話は初めて聞きました。実際に腎性貧血を軽減すると言う臨床試験は存在するのでしょうか

A.最初はヘモグロビン値が上がったのはSGLT2阻害薬の利尿作用による血液濃縮だと専門家は思っていたみたいですね。でも実際、血中のEPO濃度が上昇していたから腎性貧血改善作用があるということです。EPOは近位尿細管間質細胞で産生されますが、腎機能が低下するとEPOが産生されないため腎性貧血を発症します。SGLT2阻害薬が尿細管間質の低酸素状態を改善するためEPO産生細胞が活性化されEPOが増加します(図1,21)

 

文献
1)Maruyama T, et al: Diabetes Technol Threr 21: 713-720, 2019


Q.SGLT2の腎保護作用は実感するところですが、一方で高度腎不全では禁忌という狭間で揺れることも多いです。休薬や継続の判断基準についてご知見お持ちでしたら教えて欲しいです

A.透析導入になるまで使いましょう。大規模試験ではDAPA-CKDではeGFR25以上の患者、EMPA-KIDNEY試験ではeGF20以上の患者を対象にしています。でもこの腎機能未満であれば禁忌とは添付文書に書かれてはいません。例えばジャディアンスの添付文書には「 eGFRが20mL/min/1.73m2未満の患者では、本剤の腎保護作用が十分に得られない可能性があること、本剤投与中にeGFRが低下することがあり、腎機能障害が悪化するおそれがあることから、投与の必要性を慎重に判断すること。eGFRが20mL/min/1.73m2未満の患者を対象とした臨床試験は実施していない。」と記載されているので、投与していいんです。ガイドライン上でも「eGFRが20mL/min/1.73m2未満の患者には投与を開始しない」となっているだけで、20mL/min/1.73m2あれば開始してよくって、透析導入になるまで中止する必要はありません。


Q.早期治療介入が腎保護について有効ととてもよく理解できました。腎硬化症を防ぐという意味では早期の血圧コントロールも重要と感じました。治療開始の目安は高血圧ガイドラインの根拠にもなっているスプリント試験に準じて130程度から開始と言う理解でよろしいでしょうか。またその時の降圧薬について第一選択になりうるものはあるのでしょうか

A.SPRINT試験は厳格降圧群のSBP120mmHg群がSBP140mmHgの従来群に比し、様々な心血管合併症発症率を有意に低下できたという試験です。腎硬化症は非常に長い年月、高血圧にさらされてきて70歳代、80歳代以上になって動脈硬化が進行すると徐々に腎機能が低下しますので、若年期からの降圧が重要と言えますので、SPRINT試験とは関係しません。腎硬化症は蛋白尿(+)になることが少ないので、蛋白尿(-)であれば第1選択薬は通常の第1選択薬、つまりCa拮抗薬でも利尿薬でもRAS阻害薬でいいのです。ただしCKD診療ガイドラインでは後期高齢者でGFRが30未満であればRAS阻害薬も利尿薬も腎虚血、脱水などの急性腎障害のリスクが高くなるため、Ca拮抗薬を推奨しています。


Q.RAS阻害薬や抗アルドステロン薬でカリウム上昇しますが、カリウム上昇してたら効果が出てると考えるのは短絡的ですか?

A.はい。非ステロイドMRAのフィネレノンはカリウムをほとんど上げないのに強力なミネラロコルチコイド受容体をブロックし、腎保護作用・心保護作用を示しますから、カリウムの上昇が効果とは関わっていません。


Q.カリウム上昇してたら腎保護や降圧の効果が出てると考えるのは短絡的ですか?

A.はい。上記の回答と同じです。

プロフィール

平田純生
平田 純生
Hirata Sumio

趣味は嫁との旅行(都市よりも自然)、映画(泣けるドラマ)、マラソン 、サウナ、ギター
音楽鑑賞(ビートルズ、サイモンとガーファンクル、ジャンゴ・ラインハルト、風、かぐや姫、ナターシャセブン、沢田聖子)
プロ野球観戦(家族みんな広島カープ)。
それと腎臓と薬に夢中です(趣味だと思えば何も辛くなくなります)

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