2026年6月

2026年1月11日 X投稿 閲覧者29,172人

 同じ患者に降圧薬と昇圧薬が処方されたら、新人薬剤師は混乱してしまうだろうね。でも透析患者ではふつうにみられることだ。結論から言おう。透析患者の多くは血管石灰化が進行しており、脈圧の増大と強く関連しているからだ。脈圧=収縮期血圧-拡張期血圧だけど、これは心機能の低下した後期高齢者に多いが、透析患者ではこれが若年者でも起こりやすく、心血管イベントや死亡のリスクを高める重要な要因になっている。

 その原因はCKD-MBD(慢性腎臓病に伴う骨・ミネラル代謝異常)によることが多い。腎機能が低下すると、腎におけるリン排泄能が低下しリン利尿ホルモンのFGF-23の産生が亢進し、腎におけるビタミンDの活性化を障害して高リン血症・低Ca血症状態が持続する。そのためPTHの分泌が亢進して骨を溶かして血清Ca値を上げるから骨がスカスカになって線維性骨炎になり、血管では石灰化が亢進する。健常者でも内膜の石灰化は起こるが透析患者の血管石灰化は血管の中膜にヒドロキシアパタイト、つまり骨ができる(メンケベルク型の動脈硬化)。血管が骨のように硬くなるから高血圧は必発!これを防ぐにはPTHが上がらないようにリン・Caのコントロール、そしてPTHをオルケディアのようなCa受容体作動薬(カルシミメティクス)と活性型ビタミンD(VD受容体作動薬)によって下げるけど、これらの治療がうまくいっていない方は動脈の弾力性が全く失われる。だから心収縮によって生じた圧を動脈が吸収しきれない(血管進展性が不良になっている)から収縮期血圧は非常に高くなるが、その結果、拡張期血圧は低くなって脈圧が増大する。透析中に体外循環・除水によって循環血漿量が減少すると血管コンプライアンスが低いので、一転して著明な低血圧になる。低血圧ショックにならないよう、昇圧薬を投与せざるを得なくなるんだ。CKD-MBDの新ガイドライン2025ではPとCa管理はPTH管理より優先し、Ca 9.5未満、P 5.5mg/dL未満と厳しくなったことも知っておこう。

 

 

 

 

 

2026年1月9日 X投稿 閲覧者11,787人

 腰痛診療ガイドライン2019 改訂2版ではノイロトロピンについては1977~1987年に行われた日本人の書いた5本の論文が収載されていますが、5報中、急性・慢性腰痛の疼痛を有意に改善したのは1977年の1報のみ。しかも5報で100%のうち5.4%しか寄与していないノイロトロピン使用者31名のみの論文です(図6

 

 

 図6では、有効であったという論文はTsuyama1977とありますが、引用文献を見ると日本語で、しかも基礎と臨床(検索期間外)となっております。ちなみに「基礎と臨床」という雑誌はメーカーと医師が共同して「○○の使用経験、臨床効果」など主観的判断で薬効を評価するようなレベルの低い雑誌で、毎月発行され、その1冊が400ページもあるメーカーのお抱え雑誌で、複数査読性雑誌ではないのではないでしょうか。だって「○○の使用経験」という論文ってタイトル名だけで、まずタイトルだけでまともな査読者はリジェクトするでしょ?同じ刊には「腰痛症におけるポンタールの使用経験」という論文がありました。ポンタールはロキソニンが販売される前の同じメーカーの主力NSAIDでしたが、この論文は当然ですが腰痛診療ガイドライン2019のシステマティックレビュー(SR)論文の対象にはなっていません。ノイロトロピンのエビデンスを示した図6のその他の論文もすべて和文でClinical Question2「腰痛に薬物治療は有用か」という章の中で和文論文は奇異なことに、このノイロトロピンに関する非常に古い論文5報のみで、その他はすべて英語論文でした。これらのタイトルはすべて二重盲検比較試験とされていますが、今だったら二重盲検比較試験を和文で書く研究者はいないと思います。なんで「複数査読制の英文誌に投稿しなかったの?」と思ってしまいます。このようなレベルの低い論文でシステマティックレビューをしたガイドラインって信頼できるのでしょうか?1980年前後って論文執筆者のCOIなんか調べていないのに、こんな和文論文を採用できるのでしょうか?ノイロトロピンは副作用の少ない薬であることは認めますが、トラマドールと同等でアセトアミノフェンよりもエビデンスレベルが高いことが不思議でなりません。ちなみに2018年に刊行された慢性疼痛治療ガイドラインではアセトアミノフェンは1A(使用を強く推奨する)なのですから。「このガイドラインの問題点」は山ほどありますので、まとめてみました。このガイドライン作成委員の先生方、反論をいただければ幸いです。納得できるデータを見せていただければこの意見を撤回し謝罪させていただきます。

 

 

 

プロフィール

平田純生
平田 純生
Hirata Sumio

趣味は嫁との旅行(都市よりも自然)、映画(泣けるドラマ)、マラソン 、サウナ、ギター
音楽鑑賞(ビートルズ、サイモンとガーファンクル、ジャンゴ・ラインハルト、風、かぐや姫、ナターシャセブン、沢田聖子)
プロ野球観戦(家族みんな広島カープ)。
それと腎臓と薬に夢中です(趣味だと思えば何も辛くなくなります)

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