高マグネシウム血症の症状は血清Mg濃度が5mg/dL以上で発症します。15mg/dLを超えると昏睡、呼吸麻痺、血圧低下、心停止などを発症し死亡する可能性がありますが12mg/dLを超えても致死的な症状が出るので、非常に怖いですね(図4)。この事態になった時の治療法についても知っておきましょう。治療にはグルコン酸Caの静注により多くは回復しますが、重症例ではCHDFやHDなどの血液浄化法が有用なことがあります。逆に低マグネシウム血症の症状には食欲不振や悪心・嘔吐、嗜眠、筋力低下などがありますが、これらについては後述します。 この続きは登録ユーザーのみ閲覧できます
これらに掲載されている死亡例2症例は40歳代、80歳代のともに統合失調症患者で投与量はともに酸化マグネシウム(MgO)1,980mg/日と多くありません。しかも被疑薬との因果関係は不明とされています。死亡した2症例については腎機能が明記されておらず、なんで被疑薬との因果関係が不明な症例を紹介した納得できません。MgO投与患者で腎機能が低下していれば、定期的な血清Mg濃度測定はすべきだと思います。 この続きは登録ユーザーのみ閲覧できます
2008年2回、2010年、2015年、2020年と5回にもわたり、酸化マグネシウムによる高マグネシウム血症に関する「適正使用のお願い」や「医薬品・医療機器等安全性情報」が発出されていいます。まずはそれらについて紹介しましょう。
2008年9月の酸化マグネシウム製剤 製造販売会社から出された「酸化マグネシウム製剤における高マグネシウム血症について」2008年11月には医薬品安全性情報として(図1) この続きは登録ユーザーのみ閲覧できます
薬についての真面目な話「酸化マグネシウムで高マグネシウム血症の謎」を
明日より登録ユーザー限定で6回にわたり詳しく話していきます。
◆3月18日(火)
4回にわたって発出された「重篤な高マグネシウム血症」への注意喚起
◆3月19日(水)
疑問だらけの対策案
◆3月20(木)
血清Mg濃度を必ずモニタリングしていてMgOを投与して高マグネシウムになった症例を見たことない
◆3月21日(金)
酸化マグネシウムが6g/日が投与されていた透析患者
◆3月22日(土)
透析患者の便秘は致死性の腸閉塞の原因になる
◆3月23日(日)
重篤な高マグネシウム血症はMgOの投与量や投与期間、腎機能が問題ではなく、leaky gutによって起こる?
3月14日(金)開催の第45回 基礎から学ぶ薬剤師塾「腎機能悪化を防ぐtriple therapy~SGLT2阻害薬、RASi or ARNI, MRAの適正使用について考える~」について以下のようなアンケートの回答をいただきました。
アンケート結果は以下の通りです。原文のまますべてのアンケート内容を紹介させていただきます(個人名は削除しました)。
2025.3.14 第45回基礎から学ぶ薬剤師塾 参加後アンケート

1.いつもためになる話をしていただきまして本当にありがとうございました
2.今まで無料でやっていただいてありがたいです。また引き続きよろしくお願いいたします。
3.エビデンスベースでわかりやすかったです。平田先生、是非続けてください。ありがとうございました。
4.最近こちらの薬剤師塾を知り、参加させていただきました。勉強を始めたばかりですが、食いついていけるように今後もがんばっていけたらと思います。
5.基礎から臨床までとても勉強になりました。
6.他では聞けない貴重な勉強会をありがとうございました。復習しがいがあります。これからも薬剤師塾、ぜひ続けていただきたいです。
7.今回初めて参加させて頂きました。大変勉強になりました。ありがとうございました。有料でも良いので、今後も是非参加させていただきたいと思います。
8.何時も勉強に、なります。これからも参加したいです。なるべくお安くしていただけると、うれしいです。
9.勉強会もだが、勉強会後の質疑応答の数が多く、大変勉強になる。
10.貴重なご講演ありがとうございました。大変勉強になりました。
11.これまでありがとうございました。最終回は、仕事の関係で、途中からの参加となってしまいましたが、最後に少しでも聴講できてよかったです。昨年末から参加させていただいておりました。もっと早く知りたかったです。
薬剤師の研鑽のために、とても貴重な場だと数回参加して実感いたしました。
質問は、講義を聞いてメモをとっていると、すぐにできないことが多く、後からでも質問できる機会があれば良いなと思うことはありました。
12.知識の整理が出来て良かったオンデマンドで試聴出来るようになるとありがたいですね
13.いつも勉強になります
有料ならできれば千円まで希望で、動画がなるべく長くみれるようにしてほしいです。1週間では短く感じます。また、レジュメがあると助かります。
14.心不全患者へのMRA投与についてずっと疑問があり、それが直接質問に答えていただけたこと、大変感激しました。
スライドもわかりやすく大変勉強になりました。今後も塾への参加希望します。教え続けていただけますと幸いです。
15.もっと、顔出しでできればと思っています
京都GIMカンファレンス(今は医師だけになりましたが)のように、どんどん顔出しでいいと思います
新年度からの案内は、メールなもで来るのでしょうか?
送るの忘れてました
透析中の心不全患者にMRA、スピロノラクトン、フィネレノンを追加した方が良い症例とは、どのような場合でしょうか?
16.SGLT2iの有用性を改めて学ぶことができました。有効性が非常に高いために、中止すべき患者像が難しかったため非常に参考になりました。どうしてもリアルタイムのみでは参加が難しい部分があるため、有料コンテンツであればオンデマンド配信となるとありがたいです。今後も腎臓と薬剤についての情報を勉強させていただけると幸いです。
17.すごく分かりやすい内容でした、今後もどんな形式であれ継続してほしいです。
有料の1000円でも構いませんので聴講したいです。単位シールはあってもなくても個人的にはどちらでも大丈夫です、平田先生の分かりやすいお話が聞ければ幸いです。この平田塾のおかげで受講内容の分野ではより理解が深まりました。資料も提供してほしいです。
今後は腎臓に限らず、薬物動態など多岐にわたって教えてくださると大変幸せになります。論文投稿のやり方なども教えていただけると有難いです。先生のご講義を聞いて、さらに薬剤師力を高めていきたいです。
新しい平田塾の方針と開催内容が決定したら、普段からの受講生(もしくは最終講義に参加されていた方)などに対してメールなどでも構いませんので開催されることを報告していただけると非常に有難いです。勝手な我儘で申し訳ありませんがご検討していただけると幸いです。
今後とも受講生として参加していきたいので、前向きなご検討をお願いいたします。
18.なかなかついていけないところもあったので日本腎臓病薬物療法学会のCKD関連情報も参考にしながら勉強していきたいと思います。
薬剤師が処方提案したことで、例えば透析導入を回避したなど実際の症例報告などがあれば参考にしていきたいと思います。
薬剤師塾が新たにスタートすることが決まりましたら案内を頂けたら幸いです。
19.何度か聴講させて頂いた内容なのに、まだ身についていないような気がしています。次回も参加させて頂きたいです。
20.いつもよりトーンが低めだったのが気になりましたがいつもどおりのわかりやすいご説明で現場の質問にも答えて頂きすごくためになりました
なかなか参加するタイミングが難しく、参加できたのが一旦終了とのことでまだまだ現場での疑問を聞いてみたいと思いました。ありがとうございました。
21.ご講演ありがとうございました。とても勉強になりました。これからも沢山吸収させて頂きたいので、ぜひ継続よろしくお願い致します。
22.非常に勉強になりました。いつも大変勉強になる講義で日々の業務に活かせることが多く、薬剤師としての仕事へのモチベーションも上がる一方です。周りの人にも伝えたい内容ばかりで平田先生の勉強会は宣伝しております。
ただ、気になる点として質問を明らかに間違って解釈されている時がございます。(聞き間違いをされているだけかもしれませんが)
本日の例だとエンレストは「トリプルワーミー」に入りますか?→「トリプルセラピー」と思って答えられている。
フォシーガ5mgの腎保護について→ジャディアンスのことだと思って答えられている。
最終的に答えになっている時もありますが、モヤモヤします。
周りからは明らかに分かることだとも思いますので、司会者・座長の方には上手く軌道修正していただきたいと思います。
23.基礎から最新の知見まで、分かりやすくご説明いただき、大変勉強になりました。
今後も平田先生のご講演や勉強会に参加させていただきたいです。
平田先生のように最新の知見を取り入れる際の方法について知りたいです。製薬会社からの情報のみか、常に海外サイトへ情報を取りに行かれているのかなど。
24.本日も大変興味深かったです!いざ服薬指導になると上手く言葉に出来なかったり抜けてしまったりの繰り返しで自分の至らなさを痛感する日々です。指導箋を早速活用したいと思いました。ありがとうございます!
平田先生これからも是非よろしくお願いします!先生の薬剤師塾の日が毎月1番の楽しみです
25.貴重なご講義ありがとうございました。病院で尿検査をしてもらいたいと思う事が多々あります。うちの薬局でも腎臓内科に紹介して欲しい方が何人もおられますが、主治医に何度直談判しても透析直前になるまでなかなか紹介してもらえず悩んでいます。もっと勉強して納得してもらるように頑張りたいと思います。
平田塾の再開を待っています。今後ともよろしくお願いいたします。
26.以前から先生のご講演を拝聴していますが、ケトン体食のスライドは初めて見た気がします。面白いグラフでした。
27.CKD治療に対して、薬の使い方は現在はSGLT2阻害剤の使用ですがトリプルセラピーと組み合わせに変化していくこと、私たち薬剤師も医師と治療の選択をしていくこと、今回の講演で今後自分の今後どうしていくかを理解出来ました。
28.わかりやすい説明ありがとうございました。
腎機能について 心不全 糖尿病など細かく分かりやすく講義をしていただきありがとうございました。
まだまだ未消化の部分ほうが多く、講義を聞くことだけで精一杯で他の方のように質問などできる状態ではありませんでした。これからも余裕があれば参加させていただきたいと思っております。ありがとうございました。
最後の無料の講義ということで色々勉強になりました。ありがとうございました。
29.今までたくさんの講義をありがとうございました。何度も拝聴した内容を理解を深めることができたように思います。
繰り返しの学習が大切と思いました。
今後も薬剤師塾を続けていただきたいです。再放送があれば都合もつけやすいので欠かさず受講できると思います。
30.CKDの薬物療法の基本から最新のデータに関するお話まで多岐にわたって分かりやすく説明いただき、日常業務に活かせる話題ばかりで大変有意義な講演でした。ありがとうございました。
もちろん、これからもこのように平田先生のご講演を聞かせていただける機会を作っていただきたいと考えます。
今回の講演の冒頭でもお話がありましたように、やはりリアルタイム視聴のみでなく、オンデマンド形式で視聴できるとありがたいです。可能であれば、過去の講演も視聴できますとさらに嬉しいです。
31.基礎的な知識がとても分かりやすかったです。病態の知識と臨床データを繋げて理解したいと思いました。ケトン体食のお話も歴史的背景から興味深く拝聴しました。
いつもモチベーションの上がるご講演をありがとうございます! 参加費は問題ありませんので、今後もご指導よろしくお願いいたします。
32.今まで多くのことを学ばせていただき、本当にありがとうございました。
自分の置かれた環境・職場で、学んだことを一つでも実践に結び付けるよう、努力致します。
会の運営についてですが、私自身は今後有料になったとしても、是非参加させていただきたいと考えています。
僭越ながら率直に申し上げますと、有料になると参加者はかなり減ってしまうのではないかとの懸念があります。私は、他の領域(がん・緩和)で、高名な先生方が実施されているWEBセミナーに参加することがあるのですが、学会のシンポジウムでは満席・立ち見になるような先生のお話が聞けて、直接質問が出来るようなセミナーであるにも関わらず、参加している人数は10~20名というようなことがあります。(自分としては、あまりにも勿体ないと感じてしまいます。)
ポジティブな面として、有料になることで、それでも平田先生のお話を聞き、学びたいという人が集まることによって、平田先生の塾がより活発なディスカッションが生まれる場となることも期待しています。
33.マクラデンサ関連が苦手だったが、克服できたように思います。ありがとうございました。
有料になっても参加させていただきます。
仰っていたように、開始時間が遅くなり、アーカイブもあり、資料配布もあると、混雑した日でも後で視聴し、復習できるので嬉しいです。
よろしくお願いいたします。
34.ケトン体のお話がとても勉強になりました有料でも、毎回参加したいです!
ドリブルワーミーは、急性腎障害が起きなかったとしても、放置すると年々腎機能が悪化していくと考えていいのでしようか?
35.本日も沢山学ばせて頂き、モチベーションも高まりました。いつもありがとうございます。
透析導入を防ぐ活動をしたいと改めて感じました。これまで尿タンパク測定を勧奨しようと考えたことがありませんでしたが、現在の測定状況を把握した上で、薬剤師として広く介入していく方法を考えたいと思います。
テキスト事前配布、後日配信ありでしたら2000円でも参加したいです。ぜひ継続していただきたいので、継続の負担にならないような費用設定(ブログ維持費もまかなえる等)にしていただければと思います。
36.これまでの勉強会の内容と重複するところも多かったと思いますが、よい復習にもなりました。
平田先生のお近くに住んでいたら、ブログの作成や動画の制作をボランティアでお手伝いすることもできましたが。私自身長期離職中でなかなか叶いませんが。過去にyou tubeの作成の経験があり、ブログも約1年間作っているので、簡単なものならお手伝いできたかもしれません。無料のはてなブログは、初心者でもそれほど困らずにブログ運営はできます。
平田は神戸に移住してからほぼ5年会オンライン英会話を続けています。フィリピン人教師が主で、1対1で毎日25分で5000~7000円と格安です。20年前の駅前留学っていっていた頃、日本人3~4人に1人のネイティブスピーカーのクラスで月に2万円近く取っていたころに比べ、本当にいいシステムになったなあと思っています。

この中で一番人気のテーマはデイリーニュースで、世界中で起こった話題について話をするのが一番人気なのですが、最近、変なことにはまっています。僕がはまっている「変なこと」はこのオンライン英会話で、「PubMed」検索して得られた論文を一緒に読むことです。そして相手は医学の知識はないので、理解できないことが多いのですが、素人にわかりやすく解説できる能力を高めるのは薬剤師にはとても大切だと思っているからです。外国人に自己紹介して「薬剤師です」といっても、薬のことについて聞かれると、さっぱり説明できなかったらさみしいでしょ。僕もまだまだ英会話に関しては発展途上ですが、頑張って医学・薬学英語にも強くなりたいと思っています。それと夢は大きく、国際学会に参加した時のディスカッションにも必ず役に立つと信じて頑張っています。
医学用語は英語圏の人にとってもむつかしいのですが、日本人が常識と思っていた発音がちょっと違ってたことがよくあります。今までにもカヘキシアじゃなくカケクスィア、コルヒチンじゃなくカァルチャシィーンと発音しないと英語圏の人々には通じないということをお伝えしてきましたが、今回はMRAです。そうスピロノラクトンじゃなくスパ‘イロノラクトゥンでしたね。じゃあMRAはもちろんミネラルコルチコイド受容体アンタゴニストでしたよね。じゃないのです。MRAの正式名はmineralocorticoid receptor antagonistです。ミネラルじゃなく「ミネラロ」なのです。だから正式名はミネラロコルチコイド受容体アンタゴニストなのです(図1)。日本人の著名な医師・薬剤師でもいまだにミネラルコルチコイドと言っている人のほうが多いのですが、正確にミネラロコルチコイドと言っている人もいます。これって恥ずかしながら僕も最近気づきました。そしてそれ以降、ずっとミネラロコルチコイドというようにしています。

随分前、1995年ころの話です。緑内障治療薬の1つとしてダイアモックスⓇ(アセタゾラミド)という炭酸脱水酵素阻害薬がよく使われていました。今でもアセタゾラミドは高山病、てんかんなどの治療に用いられます。ただしアセタゾラミドの尿中排泄率は90%と極めて高いため、腎機能低下患者に適切な減量を怠ると精神錯乱、見当識障害、めまい、無気力、倦怠感、しびれ、手指振戦などが中毒症状として起こりやすく、「無尿患者には禁忌」とされていましたが、透析患者さんの緑内障による眼圧上昇に伴う眼痛に用いたいという医師からの要望があり、HPLCを用いてTDMを実施しつつ投与設計を試行錯誤した挙句、かなり減量して、有効かつ安全な投与が可能になりました。これらの報告は1996年から日本TDM学会、透析医学会などで報告し、TDM研究誌に論文にまとめました。この当時、アセタゾラミドのTDMをやっていたのは京都大学医学部附属病院薬剤部と我々、弱小の白鷺病院薬剤科だけでしたが、どちらも「有効値領域10~15µg/mLで副作用なく眼圧を良好にコントロールでき、透析患者では125mgを2日に1回投与が推奨される」という結論だったと思います。1997年にはその当時の私の副官のI先生に国際TDM学会でも発表してもらいましたが、その当時、海外ではすでに炭酸脱水酵素阻害薬の点眼薬が販売されており、「アセタゾラミドをTDMまで実施してまで使う必要はないのでは?だって腎機能が低下していても局所作用する点眼薬を使えばTDMなんて必要ないでしょ」と言われて納得したそうです。そうだよね。点眼薬だったら、局所に作用するのだから、腎機能に応じた減量もTDMの必要性なんてないからと僕もその意見に納得していました。 この続きは登録ユーザーのみ閲覧できます

我が国の透析患者さんの平均年齢は70歳を超え、多様な合併症から多くの薬を飲む必要がありますが、飲み間違いや飲み忘れを防ぐため、そして薬を1錠ずつパッケージから取り出すのが大変などの理由から、一包化(one dose package:図1)が必要な患者さんの割合がとても多いです。麻薬や抗がん薬、急性疾患に対する抗菌薬、頓服で処方される場合の睡眠薬や下剤などは一包化すべきではない、あるいは一包化できないものもあります。 この続きは登録ユーザーのみ閲覧できます
2月28日の第44回の「基礎から学ぶ薬剤師塾」の「透析患者の便秘はたかが便秘ではない~死亡者300人/年は過小評価されている~」でお受けしたアンケートに記載されていた質問です。
質問
抗血栓薬と一緒にPPIを投与し続けることが多いですが、胃のpHが上がり、腸内環境にも影響することで、下痢などの消化器症状はないのですが、味覚異常を訴える患者に、プロバイオテックスは有効なカギになるでしょうか。亜鉛を投与したり、今回はPPIをH2ブロッカーに変えて、様子を見ているところです。何か他の提案があればご教授いただければ、幸いです。
回答
今回の講演は「透析患者の便秘」でしたので、透析患者について答えさせていただきます。透析患者の胃は脆弱でPPIは致命的な消化管出血を防いでくれる強力な薬です。そのため多くの透析患者にPPIが投与されていますが、胃内pHを上げる作用が強力なため、胃酸による外界生物の殺菌をできないため、腸内環境に悪影響をする可能性はおそらくあると思います。でもそれはPPIが悪いのではなく、胃内pHを上げることによるデメリットがあるということです。だからPPIだけでなくボノプラザンでもH2ブロッカーでも同様に胃内pHを上げるデメリットがあると思います。それ以前に、PPI投与によって胃の諸症状を改善し、消化管出血リスクを防いでくれる大きなメリットもあるということも忘れないでほしいです。
Proton pump inhibitors ×Taste disordersでPubMed検索しましたが、具体的にPPI投与によって「味覚異常」が起こるということは明確にされていません。「味覚異常」に対してプロバイオテックスが有効かどうかについても分かっていません。 プロバイオテックスは万能な薬でもなく、強力な薬効を持つわけではありません。ただし我々の腸内環境の悪化を防いでくれる共生微生物だと理解していただければと思います。野菜をたくさん摂ると腸内の善玉菌が増えて生活習慣病になりにくいから、10年~20年摂り続けた人は野菜不足の人に比べて長生きするかもしれません。でも食物繊維の多い野菜って、消化されにくいから腸内細菌のエサになるのですよね。例えば下痢気味の時に「身体のためにいいから」と思って野菜をたくさん摂ると、消化されにくいので、下痢はひどくなります。同様にプロバイオテックスを摂れば身体にいいと思って、免疫能の極端に低下した90歳の高齢者に投与すると身体にいいはずのプロバイオティクスによって致命的な感染症を起こす例だってあります。
この症例に対しては、私なら、やはり透析患者で欠乏しやすい血清亜鉛濃度を測定し、正常下限程度まで下がっていたらポラプレジンクの投与を医師に勧めるかもしれません。ほかに味覚異常をきたす併用薬がないかもチェックし、消化器専門医を受診することを勧めるとよいかもしれません。