7月9日(木)開催の、「抗菌薬適正使用の理論と実践 序論」について以下のようなアンケートの回答をいただきました。原文のまますべてのアンケート内容を紹介させていただきます。
セミナーありがとうございました。いつもとても勉強になります。 ありがとうございます。
暗記が苦手ですが、先生のご講演を拝聴し、理解して覚えることができると思えるようになりました。ありがとうございました。
最近脱水からのAKIで長年服用していたβブロッカーが過量になり徐脈で転院された方がいました。例えば点滴もしている間は拘束しなくてはいけなかったりで普通の治療が上手くいかない事が多くて悩んでいましたが、やっぱり答えはないと学びました。
基礎知識の再確認と新しい視点で拝聴できました。ありがとうございました。
何度勉強してもよい内容でした
とても勉強になりありがとうございました。できれば、ブログで宣伝された内容は時間内に講義していただけると助かります。それを目当てに申し込んでいますので・・・。PKPDのおはなしもききたかったです
本日も有難うございました。「抗生剤」の見かたが変わりました。
久しぶりに平田先生の抗菌剤の基本の講義を聴かせていただきました。 何回も聞くことでようやく抗菌薬が身近になってきたような気がします。 務めている病院での抗菌薬の考え方がわかるように、次回の講義も受講したいと思います。 ありがとうございました。
SGLT2阻害薬は腎機能が低下した患者には投与しても有害反応が起こるわけではないので禁忌ではない。ただし、腎臓の近位尿細管に作用する薬なので、腎機能が低下すると効かないんじゃないかと考えられていたため、添付文書には「重度の腎機能障害のある患者又は透析中の末期腎不全患者では本剤の血糖降下作用が期待できないため、投与しないこと」と記載されている。
従来の利尿作用のある薬は、脱水によって腎機能がさらに悪化するとしてFDAは2016年にカナグリフロジンとダパグリフロジンの販売メーカーに対し、急性腎障害のリスクに関する既存の警告を強化するよう発表した。そのため、添付文書には「本剤投与中にeGFRが低下することがあり、腎機能障害が悪化するおそれがある」という記載がある。しかしその後、SGLT2阻害薬は腎前性腎障害を起こすわけではなく、薬剤性腎障害の発症率を25%も低下させることが明らかになった。そのため現在ではSGLT2阻害薬が薬剤性腎障害の原因薬物だという人はほとんどいないはずだ。
ただし、腎前性腎障害のリスクはゼロじゃない。なぜなら現に脱水はSGLT2阻害薬の3大合併症の1つで、この中で発症率が4.5%と最も高いからだ。「こまめな飲水」はこれらの脱水、性器感染、ケトアシドーシスを防ぐための共通した服薬指導であることは忘れないでね。しかし利尿作用は数日しか続かないし、多くの脱水は利尿作用のある投与初期とループ利尿薬との併用が原因ではないかと平田は考えている。
ダパグリフロジンのDAPA-CKD試験はeGFR<25mL/min/1.73m2の患者を除外、エンパグリフロジンのEMPA-KIDNEY試験はeGF<20mL/min/1.73m2の患者を除外しているから、ガイドラインではそれより高い腎機能の患者には投与を開始してよいとなっている。そしていったん投与し始めたら、腎機能が急激に低下しない限り(著明なinitial dippingがない限り)透析導入まで続けていい。だってSGLT2阻害薬には腎機能の低下抑制効果が証明されているから。透析導入後にも効果があるかどうかは、試験してみないとはっきり分からない。




なぜ腎機能に血清クレアチニン値を使わないのかというと、1つの理由として特に日本人は加齢に伴い筋肉量が減少しやすいからということがあげられる。若年者の体内水分量は60%といわれているが、高齢者では50%に低下する。これは高齢者では筋肉が脂肪に置き換わるためだといわれている。
クレアチニンは筋肉に含まれるクレアチンという筋肉内で筋肉収縮に必要なATPを産生してエネルギー供給を助けるアミノ酸類似物質から産生される老廃物である。クレアチンは筋肉内に約100g存在するが、非酵素的な反応によって不可逆的に1日約1gのクレアチニンが産生される。つまり1日に体内クレアチンの1%が不要な老廃物のクレアチニンになる。腎臓はグルコースなど必要なものはすべて再吸収し、不要なものはすべて排泄する。クレアチニンは、糸球体ろ過された後、尿細管でわずかに分泌されるが、まったく再吸収されないため、クレアチニンのクリアランスCCrは糸球体濾過量(GFR)に近似するため有用な腎機能マーカーになる。ちなみに糸球体濾過速度はイヌリンクリアランスでGFRのゴールドスタンダードになる。
しかし高齢者、特に活動度の低い要介護高齢者(典型的なのは寝たきりの高齢者)では筋肉を使わないために萎縮し、血清クレアチニン値が低くなる。これは腎機能が良好なのではなく、筋肉量が少ないことを意味することが多い。ただし、高齢者では極めてまれに、何らかの理由(糖尿病初期の高血糖やICU患者で見られる過大腎クリアランス)で腎機能が本当に良好なこともあるため、高齢者(特に活動度の低下した後期高齢者)では血清クレアチニン値が役に立たないことが多いことを理解しておこう。
例えば小柄な85歳女性で血清クレアチニン値を用いた標準化eGFRが150mL/min/1.73m2以上になったとしても腎機能が正常であるとみなしてはいけない。80歳以上の高齢者は基本的にCKD(eGFR<60mL/min/1.73m2)と考えるべきだ。このような症例では血清シスタチンCによるeGFRを腎機能マーカーとして用いる。



2026年8月20日(木)開催の平田の薬剤師塾のお知らせです。
◆第78回「平田の薬剤師塾」中級者コースのテーマは
「症例に基づいたCKD患者の薬物適正使用(中級者編)」です。
透析導入原因疾患トップ3は糖尿病関連腎臓病、高血圧による腎硬化症、慢性糸球体腎炎です。この3大疾患の典型的な症例を基に、どのような検査値や臨床経過に注意を払い、どんな薬物療法を推奨し、どんな薬物療法を避けるべきかについて考えてみましょう。
蛋白尿を抑え、CKDの治療薬の切り札となるSGLT2阻害薬やフィネレノンの有用性が確立しているのに、我が国の尿検査を実施率は57.5%のみ、蛋白尿定量検査実施率は16.5%のみという情けない値です。腎機能低下患者の薬物有害反応を防ぐこと、CKDの進行を緩やかにし、透析導入患者を少なくすることは医師、薬剤師の共通の命題として必須の情報は学んでおきたいものです。
お申し込みは こちら から
【申込期限:講演会開始直前まで】
【定員:300名】
お支払いが完了していれば、開始直前でもご視聴いただけます。また、受講者の方は講演終了後、数日後から1週間、オンデマンド配信にて繰り返しご聴講いただけます。あわせて、講演終了後に講演スライドをお送りいたします。
2026年8月13日(木)開催の平田の薬剤師塾のお知らせです。
◆第77回「平田の薬剤師塾」初心者コースのテーマは
「症例に基づいたCKD患者の薬物適正使用(初心者編)」です。
日本の高齢化率は29.1%で2位のイタリアを5ポイント以上も離して超高齢者大国になっています。加齢とともに生理機能はすべて低下しますが最も顕著に低下するのが腎機能なのです。そのため近年の調査では成人の5人に1人、200万人がCKDと言われ、特に高齢者におけるCKD有病率は約25%と推計されています。
ただし腎機能を表すeGFRは血清クレアチニン値を基にしているため、筋肉量が減少し、脂肪に置き換わった高齢者では腎機能が低下しても血清クレアチニン値が上がってくれないために、腎機能が過大評価され、腎排泄性薬物の過量投与による有害反応が普通に起こっているのです。最近もジソピラミドからシベンゾリンに変更したため信じられない血中濃度(2892µg/mLではなく2892ng/mLの間違い?)になったシベンゾリン中毒による心停止の報告もありましたよね。プロパフェノン(肝代謝)からピルシカイニド(腎排泄)も変更した中毒症例の報告もよくありますね。同じ分類なら排泄経路が同じとは限らないですからね。
ミニレビューの那須先生は鎮痛薬について、特にNSAIDsを含めたトリプルワーミーの話もしていただけるそうです。今回は、どんな薬が腎機能低下患者にとって危ないのか、一緒に考えてみましょう。
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【申込期限:講演会開始直前まで】
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