2026年2月28日 X投稿 閲覧者7,269人

 2月15日に「SGLT2阻害薬の副作用対策~安易な中止は避ける!~」とツイートしましたが、この時に引用した図が「26日目で有意な心不全の臨床的利益が現れる」という論文によるものでしたが、実はSGLT2阻害薬はもっと速やかに効果を示すという報告が数多くありました。

 最速は心不全イベント抑制(全死亡、心不全誘因、心不全悪化による緊急受診)は投与開始後12日でプラセボ群と有意差(EMPEROR-Reduced試験のサブ解析)じゃないかな?ほかにもフィネレノンとの併用での効果発現は14日目から有意に、あるいは18日で心不全入院や心不全イベント軽減という報告もありました。

 さらにエンパグリフロジンの投与を中止すると30日で心血管死や心不全入院が有意に増加するという報告もありましたので図を示します。ということは日本でちょっとした副作用でSGLT2阻害薬の外来投与を1か月間中止するだけで心血管死や心不全入院リスクが1.75倍になるってこと。SGLT2阻害薬は一度投与するとやめられない薬だなと思いました。これは「この薬から逃れなくなる」という悪い意味ではなく、続けたほうが、はるかに得られる利益(より健康により長寿に)が大きいという意味なのです。

 尿路感染症も抗菌薬を投与しながらSGLT2阻害薬を継続するのが原則。性器感染症(真菌感染症)は通常は1回のアゾール系抗菌薬で通常治癒するらしいので、重症な Fournier壊疽などの重症例以外ではSGLT2阻害薬は継続するのが原則。eGFRの低下(initial dip)も30%以上のeGFRの低下が認められた場合でも、SGLT2阻害薬の中止を考える前に脱水・利尿薬過量・RAS阻害薬、MRAなど可逆要因を評価し是正するのが原則。

 ただし、糖尿病性ケトアシドーシスはかなり重症なので、必ず中止して改善するまで再開しない。再開するときには「悪心・嘔吐・腹痛・倦怠、呼吸促進が起これば速やかに来院すること(シックデイ対策)、SGLT2阻害薬服用時には厳格な糖質制限はしない、こまめな飲水を心掛けること」を指導しましょう。

 今回、多くの論文を読んで気づいたことは、SGLT2阻害薬やフィネレノンに関しては一時的に薬代が高くなるよりも将来の重症化による入院治療費が安くなり、止めるよりも得られるベネフィットのほうがはるかに大きい。すなわち「SGLT2阻害薬の心腎保護、さらに様々な細胞内での代謝改善作用の利益も大きい。だから中止することによる不利益を避けるためには安易な中止は避ける!」ってことだ。

 

 

 

 

 

プロフィール

平田純生
平田 純生
Hirata Sumio

趣味は嫁との旅行(都市よりも自然)、映画(泣けるドラマ)、マラソン 、サウナ、ギター
音楽鑑賞(ビートルズ、サイモンとガーファンクル、ジャンゴ・ラインハルト、風、かぐや姫、ナターシャセブン、沢田聖子)
プロ野球観戦(家族みんな広島カープ)。
それと腎臓と薬に夢中です(趣味だと思えば何も辛くなくなります)

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