2026年3月14日 X投稿 閲覧者22,491人

 鳥居薬品の「ケイキサレート散」「ケイキサレートドライシロップ76%」は、諸般の事情により、2027年3月の在庫消尽をもって販売中止となる予定と聞いて驚いた。2026年1月時点で販売中止が公式発表されており、今後は代替薬への切り替えが進む見込み。 メーカーの案内では「諸般の事情」なんだって。代替薬としては同効薬として「カリメート」「アーガメイト」(ポリスチレンスルホン酸カルシウム製剤)があげられている。新しいタイプの「ロケルマ」(ジルコニウムシクロケイ酸ナトリウム水和物)は書かれていない。

 ロケルマが登場するまでの陽イオン交換樹脂はケイキサレートとカリメート(ゼリー製剤を含む)だけだった。その中でケイキサレートの市場は15%のみだったから、結局売れなかったからだろうか?

 実は平田は有効性でも安全性でもケイキサレートのほうがカリメートに比べ数段優れていると思っている。透析の黎明期にすでにケイキサレートはあったが、このころの透析患者の死亡原因は心不全がトップでその原因になるNaは嫌われていた。カリメートの登場した1975年は活性型ビタミンDがなく、Naは悪玉。Caは正義の味方だったから、カリメートは飛ぶように売れ、ケイキサレートは売れなくなった。その後、抗凝固薬のヘパリンNaまでもがヘパリンCaに変わろうとしていたというくらいのCaブームは異常だったよね。

 医学中央雑誌から透析患者、消化管穿孔で検索し非薬剤性のものを除外した「薬剤性消化管穿孔」の原因薬の約70%がCPS(カリメート・アーガメイトなど)で占められ、その他は不溶性薬剤、あるいは腸管内圧を上げるグリセリン浣腸ばかりで、ケイキサレートは全く報告されていない。

 販売バイアスによるかもしれないので、我々はロペラミドを使った便秘モデルラットを作成してCPS(カリメート)とSPS(ケイキサレート)を比較するとCPSで総糞数・糞中水分量が減少し、CPS群がSPS群に比し硬結便及び便秘の増悪が認められたのだ。

 「樹脂に対する陽イオンの親和性」の図を見てもらいたい。選択係数が高いほど吸着力が高いため、Na型レジンはカリウム・アンモニアを吸着しやすく、Ca型レジンはカリウムを吸着しにくいのでNa型レジンの半分しか効果がないのだ。Ca型レジンの方が大量投与を必要とし、余計、カリメートのほうが重篤な便秘、イレウス、腸管穿孔になりやすいのだろう。米国ではケイキサレートが使われていて、カリメートは承認されていないんだよ。

 添付文書でもカリメートには「便秘発症率9.2%」と記載され、「重大な副作用で腸管穿孔、腸閉塞、大腸壊死が現れることがある」と記載されているがケイキサレートは下痢3.2%、便秘1.9%と下痢のほうが多い。カリメートの使用率が増えて、便秘→イレウス→腸内細菌叢の異常→リーキーガット→尿毒素の蓄積→心血管病変の悪化・腎機能の悪化にならないよう気を付けてほしい。透析患者の便秘は「たかが便秘」じゃすまされないのだ。イレウスによる2024年の透析患者死亡数は329名で、透析患者死亡原因の9位とされているが、その後、腹膜炎・敗血症で死亡すると感染症に分類する医師もいるため、真の死亡者数はもっともっと多いはずだと平田は考えている。

 

 

 

 

 

プロフィール

平田純生
平田 純生
Hirata Sumio

趣味は嫁との旅行(都市よりも自然)、映画(泣けるドラマ)、マラソン 、サウナ、ギター
音楽鑑賞(ビートルズ、サイモンとガーファンクル、ジャンゴ・ラインハルト、風、かぐや姫、ナターシャセブン、沢田聖子)
プロ野球観戦(家族みんな広島カープ)。
それと腎臓と薬に夢中です(趣味だと思えば何も辛くなくなります)

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