2026年10月8日(木)開催の平田の薬剤師塾のお知らせです。

◆第81回「平田の薬剤師塾」SGLT2阻害薬のすべて(初心者編)
~単なる血糖降下薬が非糖尿病に有効な腎機能悪化防止、慢性心不全治療の切り札となるまで~

 SGLT2阻害薬の正式名称は「ナトリウム・グルコース共役輸送体2阻害薬(英名:Sodium-glucose cotransporter 2 inhibitor)」で、もともと1835年にリンゴの樹皮に含まれている天然の配糖体のフロリジンが発見され、尿糖を排泄する作用があることがわかっていた。糖尿病患者さんの腎臓の近位尿細管にあるブドウ糖取り込み輸送体を抑えることによって、尿糖を増やして血糖値を下げる薬になるのではということで開発された。

 COX-2阻害薬ロフェコキシブ、糖尿病薬ロシグリタゾンで市販後に心筋梗塞のリスクの上昇が発覚したことによって、FDAは「今後承認申請されるすべての新規血糖降下薬は、単に血糖を下げるだけでなく、心血管イベントを増大させない安全性(非劣性)を大規模比較試験で証明しなければならない」という厳格なガイドラインを発出した。SGLT2阻害薬エンパグリフロジンの開発陣が、この「FDAから出された宿題」をクリアするために企画・実施したのが 2015年のEMPA-REG OUTCOME試験だった。

 この試験では「心血管イベントを増やさないという非劣性」を証明して安全性をパスすればよい宿題だったにもかかわらず、結果は「むしろ心血管死や心不全入院を有意に減少させる(優越性)」ということで心臓も腎臓も守る糖尿病治療薬の歴史を塗り替える劇的な効果が証明されたのだ。

 今回はSGLT2阻害薬の糖尿病治療薬としての効果をはるかに超えた腎保護作用、心保護作用について理解していただこう。腎保護作用についてはアルブミン尿抑制作用、心保護作用に関してはSGLT2阻害薬による利尿作用が貢献していると言われていたが、それだけじゃない。今回、SGLT2阻害薬のすごさを体感してほしい。まさに透析導入をほぼ40%防ぎ、心不全による入院・死亡をほぼ30%改善させる現在、最強の腎・心保護薬になったのだから。
 

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プロフィール

平田純生
平田 純生
Hirata Sumio

趣味は嫁との旅行(都市よりも自然)、映画(泣けるドラマ)、マラソン 、サウナ、ギター
音楽鑑賞(ビートルズ、サイモンとガーファンクル、ジャンゴ・ラインハルト、風、かぐや姫、ナターシャセブン、沢田聖子)
プロ野球観戦(家族みんな広島カープ)。
それと腎臓と薬に夢中です(趣味だと思えば何も辛くなくなります)

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