糖尿病を除くCKD患者では低マグネシウム・高リン群の患者は、高マグネシウム・高リン群の患者と比較して、末期腎不全に至るリスクが2.07倍(95%CI:1.23-3.48)であったという報告3)、さらに この続きは登録ユーザーのみ閲覧できます
血清Mg濃度の基準値は一般的に1.8~2.6mg/dLとなっていますが、2.6mg/dLを超えると「高マグネシウム血症だ!」と決めつけて酸化Mgの投与中止や減量の疑義紹介している薬剤師はいませんか? この続きは登録ユーザーのみ閲覧できます
重篤な高マグネシウム血症を起こした報告を医学中央雑誌やPubMedで調べてみると、大腸内視鏡前に腸管洗浄剤として用いるマグコロールⓇP(クエン酸マグネシウム34g(クエン酸塩なので多いように見えますが、酸化マグネシウムとして4.5g分です))の報告がとても多いことに驚きました。 この続きは登録ユーザーのみ閲覧できます
皆さん、便秘って「たかが便秘」と思っていません?透析医学会の2023年末の調査によると年間320名(0.9%)が腸閉塞で亡くなっており、この年の死亡原因の10位でしたが、透析患者の死亡原因病名リストには「腸閉塞」しかないのですが、透析患者の致死性腸病変は腸閉塞だけでなく、虚血性腸炎、腸管穿孔、腸管壊死など様々です。これらの病変に続発する腹膜炎や敗血症は感染症に分類されている可能性が十分あります。透析患者の腸閉塞による死亡率は一般人の6.8倍高いことも報告されています2)。 この続きは登録ユーザーのみ閲覧できます
筆者はシャント増設目的で紹介入院された透析患者にカリメートⓇによる便秘改善目的で酸化マグネシウムが6g/日が投与されていましたことがありました。さすが6g/日では何かが起こっているに違いないと思いましたので、その症例について紹介しましょう。 この続きは登録ユーザーのみ閲覧できます
高マグネシウム血症の症状は血清Mg濃度が5mg/dL以上で発症します。15mg/dLを超えると昏睡、呼吸麻痺、血圧低下、心停止などを発症し死亡する可能性がありますが12mg/dLを超えても致死的な症状が出るので、非常に怖いですね(図4)。この事態になった時の治療法についても知っておきましょう。治療にはグルコン酸Caの静注により多くは回復しますが、重症例ではCHDFやHDなどの血液浄化法が有用なことがあります。逆に低マグネシウム血症の症状には食欲不振や悪心・嘔吐、嗜眠、筋力低下などがありますが、これらについては後述します。 この続きは登録ユーザーのみ閲覧できます
これらに掲載されている死亡例2症例は40歳代、80歳代のともに統合失調症患者で投与量はともに酸化マグネシウム(MgO)1,980mg/日と多くありません。しかも被疑薬との因果関係は不明とされています。死亡した2症例については腎機能が明記されておらず、なんで被疑薬との因果関係が不明な症例を紹介した納得できません。MgO投与患者で腎機能が低下していれば、定期的な血清Mg濃度測定はすべきだと思います。 この続きは登録ユーザーのみ閲覧できます
2008年2回、2010年、2015年、2020年と5回にもわたり、酸化マグネシウムによる高マグネシウム血症に関する「適正使用のお願い」や「医薬品・医療機器等安全性情報」が発出されていいます。まずはそれらについて紹介しましょう。
2008年9月の酸化マグネシウム製剤 製造販売会社から出された「酸化マグネシウム製剤における高マグネシウム血症について」2008年11月には医薬品安全性情報として(図1) この続きは登録ユーザーのみ閲覧できます
随分前、1995年ころの話です。緑内障治療薬の1つとしてダイアモックスⓇ(アセタゾラミド)という炭酸脱水酵素阻害薬がよく使われていました。今でもアセタゾラミドは高山病、てんかんなどの治療に用いられます。ただしアセタゾラミドの尿中排泄率は90%と極めて高いため、腎機能低下患者に適切な減量を怠ると精神錯乱、見当識障害、めまい、無気力、倦怠感、しびれ、手指振戦などが中毒症状として起こりやすく、「無尿患者には禁忌」とされていましたが、透析患者さんの緑内障による眼圧上昇に伴う眼痛に用いたいという医師からの要望があり、HPLCを用いてTDMを実施しつつ投与設計を試行錯誤した挙句、かなり減量して、有効かつ安全な投与が可能になりました。これらの報告は1996年から日本TDM学会、透析医学会などで報告し、TDM研究誌に論文にまとめました。この当時、アセタゾラミドのTDMをやっていたのは京都大学医学部附属病院薬剤部と我々、弱小の白鷺病院薬剤科だけでしたが、どちらも「有効値領域10~15µg/mLで副作用なく眼圧を良好にコントロールでき、透析患者では125mgを2日に1回投与が推奨される」という結論だったと思います。1997年にはその当時の私の副官のI先生に国際TDM学会でも発表してもらいましたが、その当時、海外ではすでに炭酸脱水酵素阻害薬の点眼薬が販売されており、「アセタゾラミドをTDMまで実施してまで使う必要はないのでは?だって腎機能が低下していても局所作用する点眼薬を使えばTDMなんて必要ないでしょ」と言われて納得したそうです。そうだよね。点眼薬だったら、局所に作用するのだから、腎機能に応じた減量もTDMの必要性なんてないからと僕もその意見に納得していました。 この続きは登録ユーザーのみ閲覧できます
我が国の透析患者さんの平均年齢は70歳を超え、多様な合併症から多くの薬を飲む必要がありますが、飲み間違いや飲み忘れを防ぐため、そして薬を1錠ずつパッケージから取り出すのが大変などの理由から、一包化(one dose package:図1)が必要な患者さんの割合がとても多いです。麻薬や抗がん薬、急性疾患に対する抗菌薬、頓服で処方される場合の睡眠薬や下剤などは一包化すべきではない、あるいは一包化できないものもあります。 この続きは登録ユーザーのみ閲覧できます