◆2015年5月の熊本腎薬ワークショップをYoutubeにアップしました。参加できなかった方もぜひ視聴されて下さい。

 昨年、当会では「日本腎臓病薬物療法学会が認めた薬剤師から学ぶ今日からできる!腎機能に応じた薬物投与設計」と題して、新人薬剤師を対象とした少人数研修会を行いました。研修会後に行ったアンケート調査の結果、経験年数に関係なく、今後も継続してほしいという多くのご意見を頂きました。そこで、今年は、より多くの先生方に参加していただくため、定員を60名から90名に増やして研修会を行うこととなりました。腎機能の評価方法から始まり、薬効別に腎機能に応じた投与設計や透析患者での薬物療法を学ぶことができます。 

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プレアンケート

  https://www.youtube.com/watch?v=TQFZggpf5-c

腎機能に応じた薬物投与設計の基礎(古久保)

  https://www.youtube.com/watch?v=dP-TFanhwBo

アイスブレーキング

  https://www.youtube.com/watch?v=GL9xRHGXaLU

抗凝固薬(大島)・糖尿病薬(平良)

  https://www.youtube.com/watch?v=-0Mkg1lhws0

鎮痛薬 (長谷川)・抗うつ薬(宇藤)

  https://www.youtube.com/watch?v=eVuZDHnSHOM

腎機能の正しい評価(平田)・透析患者へのアシクロビル投与法 (古久保)

  https://www.youtube.com/watch?v=epIznrC_-SU

カープが最終戦で負けた。

7回が終わるまでマエケンがヒットを打たれながらも後続を打ち取る粘りのピッチングを見せて0対0の緊迫した投手戦。

そして勝ち試合か引き分けの時には守ってくれる大瀬良君が今日は打たれて負けた。

でも大瀬良君は今年1年よく頑張った。

降板した後のベンチで嗚咽していた。

でも新井のたった1安打じゃ勝てっこないよな。 

論文を書いてたけど、まったく筆が進まないので、ブログに変更。

実は僕は広島県呉市出身(中国労災の前田頼伸、兵庫医大病院の木村健は僕の後輩)。両親ともカープの大ファンで僕も大好きだったけど、ホント、弱かった。

4位になったら「今年はよくぞ頑張ってくれた」って思っていたもの。

だから3年連続最下位の後の1975年の軌跡の初優勝は本当に興奮した。

「江夏の21球」は大阪球場の3塁側でちゃんとナマで見た、生粋のカープファンです。

もう何年も優勝していないカープ。

一番、お金のないカープ。

3年前にマツダスタジアムの長男と行ったらカープの先発9人のほとんどが背番号50番台と60番台で9人併せても巨人の阿部1人の給料より安かった。笑っちゃったね。

でもその中で菊池、丸が成長した。大瀬良君も田中広輔も入ってきた。

2015年、今年は絶対に優勝すると信じてた。

去年はあと1勝していたら阪神よりも上の2位だったはずの3位。

そして昨シーズンが終わると感動的なことにかつてのエース黒田が大リーグからカープに帰ってきてくれた。そして、かつての4番の新井も阪神から帰ってきたんだから。

今年のカープは違う。カープ女子も増えたし、チケットが取れないことはよくわかっていた。

だからリーグが始まる前の3月に今までにないチケットの大量予約をした。

5月15(金)、16(土)、17(日)のマツダスタジアムでのDeNA戦。これは鹿児島に住む長男と嫁との3人で。嫁はそんなに野球好きじゃないけど長男と一緒に応援できるとなると喜んで広島についてきてくれる。カープは今や平田家の絆なのです。

 

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6月14(日)、まあ勝てっこないだろうけどヤフードームでのホークスとの交流戦。これは野球好きのそろっている

わが 臨床薬理学分野の5年生の男子3人と一緒に。なんで章也だけホークスのユニフォームなの? 

そして優勝決定で、緒方監督の胴上げを見るためにと思って取った甲子園での9月12日(土)、13日(金)の阪神戦チケット。これは長男、嫁、それに大阪在住の次男(あまりカープに興味ないので野球は見なかったけど一緒に食事はした)も加わって応援。これもカープが繋いでくれた平田家の絆。でもこのおかげで土日はほとんど出勤して仕事ははかなりやったね。だって忙しいんだもの。

結果はDeNA戦は5月15(金)●5-6、16(土)●1-2、17(日)○2-1 去年までカモにしてたDeNAは今年はなかなかしぶとい。というかなかなか打てない。エルドレッド、早く帰ってきて~。
ホークス戦は前日まで奇跡の2連勝したものの福井が打たれて●2-7 やっぱり強いホークス。ヤフードームに何回か来たけど今までに1回も勝たせてもらっていない。

9月の阪神戦は12日(土)△2-2、13日○3-0マエケンと大瀬良君で完封!

だけど12日の引き分けが大問題!

12日の試合、延長12回表、広島の田中広輔の大飛球は中堅フェンス際で大きく跳ね返ってグラウンドに戻ったように見えた。実は僕はこのタイガーマスクの左後ろ約10mの距離で見ていたのだ。

このタイガーマスク、ただ者ではない。阪神の応援団で、プロレスラーのように体格がよく応援の踊りの切れがいいというか手足の動かし方が非常に決まっていて、気になっていた。こんなに大写しになるとはね・・・・。

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甲子園のファンはたちが悪い。だからグラウンドに飛び出さないよう、電車の荷物置きのようなネットがフェンスの真下に取り付けられているのだ。(僕が撮った写真の赤い矢印。それにしても地味な応援団だけどタイガーマスクはこの画面左前にいたけど写っていない)それに当たって、普通はレフトスタンドに入るはずが、なんと跳ね返ってグラウンドに戻っちゃった。実は僕はこの瞬間、ボールから目を離していた。だけど隣で見ている長男はちゃんと見ていた。「あれは絶対に入っていた。ビデオ判定や!」。だけじゃない。前にいる阪神ファンも後ろにいる阪神ファンも「あれは絶対入ってたで」と言っている。案の定、ビデオ判定。だけど審判団はビデオ判定でフェンスを越えていないと判定。「なんでだよ~!ウソだろう!」

この判定はのちに正式に誤審と認められる。この1勝があればカープは楽にクライマックスシリーズに行けたのに・・・・・・。だって写真を見たらあのタイガーマスクの目の前にネットを超えたボールが写っているんだから。

 

その後、熊本の上通りにある広島風お好み焼き屋「ええじゃろ」で臨床薬理のカープ男子・カープ女子(に無理やりさせた)に囲まれて9月25日の阪神戦●0-3でまたも負けた。でも「ええじゃろ」のマスターは広島で老舗のお好み焼き屋「みっちゃん」で修業していたので味は抜群!

美しいカープ女子にかこまれて念願の写真撮影もした。

5.pngおじいちゃんと孫娘みたい。でも至福の時…(ごめん。カープ男子もいたけど絵にならないのでカットした)。ちなみに背番号60のユニフォームは去年の還暦祝いで臨床薬理のみんなからのプレゼント(ほんとは安倍ちゃんだけど)。

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そして10月7日、運命の最終戦は終わった。負け投手は大瀬良君。そして終盤の怒涛の5連勝の後のヤクルト戦も負け投手はヒースだったけど大瀬良君が打たれちゃった。今日の大瀬良君は責任を感じたのだろう。降板後、ベンチで泣きじゃくっていた。それをマエケンがかばっていた。

でもね。マエケンが15勝で最多勝になったのも、ジョンソンが14勝したのも点を取ってくれないカープで1点差の試合を大瀬良君と中崎がどれだけ守ってくれたことか。

今シーズンが終わるとマエケンは大リーグに行く予定。来年、黒田は来年41歳、新井も来年39歳。こりゃ、マー君の抜けた楽天みたいになりそう。

来年も超優秀外人KJ(ジョンソン)が今年と同じ様な成績を上げてほしいけど、他チームも研究してくるから今年と同じように勝てるとは思えない。中継ぎだった大瀬良君はたぶん先発になるだろうね。だけど今年、いろんな辛いことを体験した大瀬良君は一回りも二回りも大きくなってくるはず。そして黒田おじさんの最後の教えをもらって成長するだろう。

僕は大瀬良が大好き。これはカープファンならだれでも知ってるけど大瀬良は「すごくいい人」。ピッチャーって、わがままな人が多いらしいけど大瀬良は甲子園の阪神ファンも言っていた「大瀬良って、めっちゃええやつらしいな」って。やさしすぎるから実力があるのに力を出し切れないのかもしれない。

大瀬良君を知らないみんなにはYoutubeで「大瀬良×天谷」で検索してほしい。そして「大瀬良×弟」でググってほしい。いいお兄ちゃんだからってわけじゃないけど来年は大活躍してほしい。実は背番号14はカープのエース番号です。3回のノーヒットノーラン、そのうち1回は完全試合をやった僕の大好きな鹿児島県出水市出身の外木場義郎、脳腫瘍で32歳の若さで亡くなった炎のストッパー・津田恒美。その背番号14を背負う大瀬良大地が好き。

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昨今の医療薬剤学でのPK/PD理論の進展のもと、実際の医療現場での薬剤師の関わり方が、大変重要になってきています。病院薬剤師の方々でTDMに関する勉強と、実際に各々の病院での事例を持ち合い、TDM業務を更に深く学び身に付ける為の勉強会としたいと思います。 万障お繰り合わせの上、ご参加賜ります様よろしくお願い申し上げます。

日時:平成27年10月16日(金)19:00~21:00

場所:熊本県薬剤師会館熊本市中央区萩原町10番6号(℡:096-370-5800)

研修単位 日病薬病院薬学認定薬剤師制度1単位(Ⅴ-3)申請中

※当日は軽食をご用意しております。


【情報提供】19:00~19:15

  「MeijiSeikaファルマの抗感染症治療薬について」MeijiSeikaファルマ(株)

【一般演題】19:15~19:30

  座長:熊本中央病院薬局薬局長宮村重幸先生

  『小児の髄膜炎に対してバンコマイシン持続点滴を行った1例』

  演者:熊本市立熊本市民病院医療技術部薬剤課 喜多岡洋樹先生

【特別講演】19:30~21:00

  座長:熊本大学薬学部臨床薬理学分野教授平田純生先生

  『血液浄化療法実施時の抗菌薬TDMのポイント』

  講師:東京大学大学院薬学研究科医療薬学教育センター 山本武人先生


代表幹事:平田純生 幹事:宮村重幸、藤井裕史、九万田由貴江、 喜多岡洋樹、尾田一貴

共催熊本TDM研究会、熊本県病院薬剤師会 MeijiSeikaファルマ(株)

※これまでの活動内容はこちらです。→熊本TDM研究会一覧.pdf

各分野の薬剤師のスペシャリストが出てこなければ

医療において薬物療法は大きなウエイトを占めていることは言うまでもありません。特に本邦での医薬品使用量は全医療費の??%を占めており、先進諸国のトップクラスに位置しております。しかしこの医薬品が使用されている頻度に相関して臨床薬剤師が活躍しているとそうではありません。薬剤師は薬物療法のスペシャリストでありながら、臨床薬物療法における学会発表数・文献執筆数は医師と比べて非常に低いというのは明らかだと思います。

我々は透析患者への投薬ガイドラインの作製に着手して10数年になり、年々、その内容はグレードアップしており、インターネットでの使用者も続々と増えつつあります。薬物を使用した後の効果・副作用の評価に関しては薬剤師だけでなく、医師でも研究可能な分野でしょう。しかし、薬物動態となると、基礎で臨床薬理を専門とした経験のあるドクターは別として薬剤師の方が専門性は高いと思えます。いまだに安全に使用できない薬物は多くあります。病態に伴う薬物動態の変化についてまだまだ分かっていない分野も数多くあります。たとえば、癌患者におけるより安全で効果的な化学療法は薬物動態をよく理解した臨床薬剤師の参加によってもっともっと進歩する可能性があります。産科・婦人科での投薬ガイドラインができれば、どんなに多くの人が救われるでしょうか。肝硬変の患者、糖尿病の患者など、さまざまな分野で働くスペシャリストの薬剤師が活躍し、動態に関するスタディを行い積極的に専門性のある学会で報告していけば本当の意味で臨床薬剤師という言葉が一般的に認知されると考えます。

臨床薬剤師という言葉が聞かれるようになって20年以上が過ぎていますが、一般の人で臨床薬剤師という言葉を認識している方は、そう多くはないと思えます。いつまでも薬学系の学会に閉じこもって、臨床とは関係ない発表ばかりやっていては薬剤師の存在価値は上がるはずはありません。

2015年 薬学科5年生の薬物処方学試験 記述問題より
『あなたにとって薬剤師とはどのような役割を担った職種だと考えますか?
また将来どのように変わっていくべきだと思いますか?』

平田が感動した11名の、素晴らしい名文をご紹介いたします。

A君

私にとって薬剤師とは、自分の考え方、行動次第で対等に医者と接し、患者さんと関わっていくことのできる仕事だと思う。
 国家試験に通りさえすれば、晴れて薬剤師となって働くが、上司から受動的に任務をこなしているだけでは、それは”ニセ薬剤師”だと思う。昨今の薬剤部の乱立により、薬剤師になる人数は増加していく。その中でリードできる人間になるには、患者さん一人一人に対して向き合い、患者さんの病気を薬を通して接し、治療していかないといけないと思う。そのためには、一つ一つのことを考え、発信していく力が必要だと思う。つまり医者などの医療従事者に根拠のあるプレゼンテーションが大事であると考える。根拠のあるプレゼテーションができるように、日々、コミュニケーション力を上げていかないといけないと自分では感じる。私の意見としては、将来、自分の仕事だけ遂行する薬剤師は淘汰されていくと思う。私はニセ薬剤師でなく真の薬剤師になるために、コミュニケーション力をみがき、知識もつけて、大きな人間になりたいと思った。


Bさん

 薬剤師は医師の相棒になるような職種だと思います。
医師と薬剤師が相談して処方を決めていけるような形が理想です。平田先生が授業中に昔の話で、患者さんを診て医師と話して処方提案されていたのを聞いて、これが理想の薬剤師だと思いました。
 現在の医療は非常に複雑で深くなっているように感じます。医師1人でそれらをカバーできるとは思えません。
ある程度分野は区切って協力しなくては無理だと思います。医師と一緒に患者さんのベッドに行くようになれば良いと思います。
 近年、看護師に処方権を与える話がでました。私はそれを聞いてくやしくなりました。まだまだ薬剤師の仕事の認知度は低いです。
 学部2年の頃、父の知り合いの方から「わりの良い仕事。自分でもできる」と言われ、かなり苦々しく思いました。
 バイト先の看護師のお客様にも同じようなことを言われました。
 もっと薬剤師が積極的にとも思いますが、私がお会いした薬剤師の先生方はすごく積極的に仕事で活躍されていて、それでもなかなか一般の人には伝わらないのかと考えさせられます。
 いっそ薬剤師を主役にドラマとかが放送されればいいのかとも思います。


Cさん

 薬剤師とは、医療現場での潤滑油となるべき存在だと私は考えます。
 患者さんに対しても、お医者さんより気軽に相談ができる相手とされることで、お医者さんには知りえなかった患者さんのささいな、しかし重大な変化に気付くことができます。これは看護師さんのように、患者さんとの距離が近いだけでは決してできず、笑顔で患者さんの話を聞き心のケアまでも担いながら、さらに頭の中では、患者さんから何らかの異常なサインが出ていないかと常に検索をかけ続けます。さらに、お医者さんに対して、エビデンスのある、柔軟かつ適切なアドバイスをし続けることで、お医者さんの信頼を獲得し、お医者さんとお互いを高めあえる関係でさえも築くことができます。また、病棟に行く必要があれば自ら足をはこび、患者さんの問題点としっかり向き合うことで、普段患者さんに一番近い看護師さんたちの意見を聞いたり、情報を教えてもらったりすることができる機会も増えると思います。それだけでなく、新しい事を発見するたびに論文にし、そうすることで、目の前の患者さんだけでなく、それを読んでくれた医療者を通じて、遠くにいる人まで助けられると思います。そうやって、どんどん自分を医療の中で欠かせない存在としていきたいというのが私の理想であり目標です。


Dさん

授業を受ける前までは、薬剤師のヴィジョンがあいまいなものでした。もらった処方箋について検査値から患者さんの病態を推測し、疑義照会を検討、薬を出し、患者さんに説明する。そういった流れを考えていました。先生の授業を聞き、もっとも重要で大事な部分が最初のSTEPであることが分かりました。
これから求められる薬剤師は医師に負けない病理診断を求められるだろうし、正しい知識で検査値を読み取る力が必要です。さらに数値から患者さんを想像するという一歩踏み込んだデータ解析が必要となります。
また、薬剤師情報の明確なエビデンスを提示するために、日ごろから広く文献に触れておくことも大切だと分かりました。
現段階ではあまり自信はありませんが、将来的にはロジカルに仕事をこなせる薬剤師になりたいと思います。


Eさん

私にとって、薬剤師とは医療チームにおいての司令塔であると思います。どのスポーツにおいても、司令塔は必ず必要な選手であり、どの選手からも信頼されており誰よりもチームの事を把握し、時にはするどくミスを指摘し的確な指示を全体に送る。これは医療チームにおける薬剤師のポジションと全く同じように思います。良い司令塔になるために、必要なものは、知識、信頼、コミュニケーション、判断力、積極性であると思います。この中でも自分が特に足りていないと思うのは、知識、判断力、積極性であると思います。このような要素を向上させていくためにも、日々の授業、研究室での勉強のあり方を見直し、また実習で現場に立った時の的確な判断力、ミスを見つける積極性を身に着け、今の自分を変えていきたいと思います。


Fさん

薬剤師は絶対的に薬に関する事の責任を持つ職種だと考えます。患者さんの相談にのったりすることは、自分に薬に関する知識がないと、あいまいな記憶ではできないと思います。
国試が年々難しくなっているように、社会に求められている薬剤師はどんどんレベルが高くなっていると思います。処方箋通りに薬をただ出すだけではなく、相互作用や薬物動態、患者さんの背景など多くの面から見て、その薬が適切であるのかを考えられなければならないと思います。
病棟薬剤師は投与設計の計算も必要になるので、薬知で習うことを頭に入れるのはもちろんのこと、薬剤で習ったことも自分で理解し、使いこなせるようにならないといけないと思います。他の教科についても同じだと思います。国試に受かるのがゴールではなく、医療は日進月歩なので薬剤師はこれから向上心を絶やすことなく日々学ばなければならないと思います。
知り合いの薬剤師さんがよく言うには、薬剤師の地位は低く、疑義照会で勘違いを指摘するとおこる医師もいるらしく、電話もかけなければいけないけどあまりかけたくない。と思うそうです。これからは薬剤師が薬の専門家として自信を持ち医師に対等に薬についての相談を堂々とできるよう、変わっていくべきだと思います。


Gさん

  私が薬学生になってから良く感じるようになったのは、おじいちゃん、おばあちゃん、バイト先の友人など医歯薬関連でない人々は自分が飲んでいる薬の意味などほぼほぼ考えず、言われたとおりに飲んでいるだけということです。
 薬剤師は患者さんに直接薬を渡す最終段階に位置するので、薬の意味を教えてあげたり、注意する事とか、自分たちが間違えていないかチェックしたり、といった役割を担っていると思います。お年寄りには何回も何回も言うのが大事だと思います。
 薬の一般名と商品名をどっちも覚えるのが大変なので、一般名に商品名を統一した方が良いと思います。商品名長くなりそうだけど、ミスも減ると思います。
 これから薬剤師の数はどんどん増える予定だけれど、増えたら増えたで役割分担して、専門性を高めればいいと思います。
 30までに子供を産み終えて、子育てしつつ薬剤師の仕事がしたいので、シフト性になったらブランクなしで働きつづけられるなと思います。


Hさん

私は薬剤師は、患者の立場により近い医療従事者だと思います。私が薬剤師を目指すきっかけとなったのが虫垂炎で入院した際に、私の担当だった病院薬剤師の方に優しくして頂いたことでした。麻酔の危機が悪く、術後の痛みがひどかった時など、幼かった私は忙しそうな医者にはなかなか言えず、担当薬剤師の方が比較的若く、また医者じゃないという点で、私にはとても身近に感じられました。
 様々な職業があり、そのどれもが大切だと思いますが、私達の意識の中でやはり医者という職種は別物のような気がします。薬剤師は病気や身体の知識については、もちろん医者に劣るかもしれませんが、薬に関しては医者よりも知識を持ち、患者から親近感を持ってもらえる、そんな職種だと思います。


Iさん

私は薬剤師が、患者さんや医療従事者を含めたすべての人の「相談役」だと考えます。薬剤師として、私たちは薬のことだけでなく医療のこと、衛生管理のこと、食事や栄養素のことなど、様々な分野を学んできました。「薬剤師はまちの科学者」とはよく言われますが、理系のうちほとんどすべての生物および化学分野を同時に学ぶのは私たち薬剤師くらいではないかと思います。しかし「化学者」と言ってしまうと、自分の研究にばかり目を向けているイメージが強いので、私はあえて「相談役」の薬剤師としました。相談は自分と相手がいて成立するのは言うまでもありません。薬剤師はこれから薬剤師としての知識を医療・衛生に関することばかりでなく、もっと広い分野での「相談役」になれるのではないか、と考えます。そのためには、これからの薬剤師である私たちが薬剤師として学んだすべてを吸収して、活用できるよう、より勉学にはげみ、また学校生活を通してコミュニケーション能力を向上すべきだと思います。


Jさん 

薬剤師とは患者さんと触れあう機会が少なく、医療従事者として一番患者とは離れているように見えて、一番薬を媒介として密接に関わりあっている存在だと思います。
 医者と患者さんが進む方向を審査する門番(関所?)のような存在です。進む道が誤っていないか、間違っていなくても、それが本当にベスト、もしくはよりベターなのか審査し助言することで道を正す役目を担っていると思います。
 これからどう変わるべきか?
正直、失礼ですが日本の薬剤師の存在は”薄い”と思います。人気のある医療系のドラマで医者や看護師はよく出ているのに薬剤師役をほとんど見たことありません。
 まずは薬剤師ってこんな人だよ!!医療に欠かせない重要な存在なんだよ!!って知ってもらえないといけないと思います。(あまり職業柄、主張しすぎてもいけないのでほどほどに・・・)知ってもらうのは患者ではなくても、少なくとも医者や看護師に必要と思われること、そのためには薬剤師にしかできない薬と体の観点から極める事。例えば、効果がないとき、効きすぎるとき、きちんと飲んでいるのか、飲み合わせがよくないのかとか”病”ではなく”薬”が原因と気付くのは薬剤師なのかなと思います。
  飲み方、意外とみんな適当です。親族の方を見ても、水以外で飲んだり、ひどい人は友達からもらった病院の薬を使う人も!


Kさん

病気を治す医者(医療関係者)と病気と戦っている患者の間をとりもち、患者によりそう職種だと思う。腫瘍を小さくしたかったり、検査値を下げたい医療関係者と、今苦しんでいる症状を抑えたい患者の間には関心の違いや重きをおくところの差が出てくると思う。医者や看護師には言いづらいことを(副作用や薬の選択についての不安)、薬のうけわたし時などに少しでも話してもらえるような関係を築くことができれば、アドヒアランスの改善や、より患者のQOL向上に向かった医療に貢献できると思う。
私の祖母は、今もらっている薬が何の薬なのかに興味をもっているが、忙しそうな薬剤師に聞けない、また、半錠のむようにといわれている錠剤を割るのが難しく飲むのが億くうだけど薬剤師にがまんしろと言われた、と不安なことをたくさん私に教えてくれる。1日に多数の患者に服薬指導をする薬剤師からすると、ほんのささいなことに思えるかもしれないが、患者からするとその1つ1つが重要で、今後のアドヒアランスやQOLに関わることなので、そういうささいに思える1つ1つの問題を丁寧に扱うことが大事だと思う。処方を正して薬害や医療事故を未然に防ぐ、化学者としての意識をもつことも、また、大切だと思う。
研究者であり、よりそう人であることは、多忙な業務の中では難しいことかもしれないが、そんな薬剤師になりたいと考えている。

 


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今年の国家試験を見ていてとんでもない問題が出ているので驚きました。す。それは問334です。じっくり見てください。

第100回薬剤師国家試験問題(2015年

問334

65歳男性。体重72kg。非弁膜症性心房細動との診断で下記の処方薬を服用していた。数日前から、めまい、ふらつき、冷汗、手の震え、軽度の意識障害にて昨日入院となった。本日病室を訪問した薬剤師は、下記の処方薬を日頃欠かさず服用していたことを付添いの家族から聴取した。また、カルテから入院時検査結果が血清クレアチニン値は2.0mg/dL、BUN は39mg/dL、空腹時血糖は40mg/dLであることを確認した。

シベンゾリンコハク酸塩錠100mg   1回1錠(1日3錠)
ベラパミル塩酸塩錠40mg  1回1錠(1日3錠)
ニコランジル錠5mg1回1錠(1日3錠)  1日3回 朝昼夕食後
ダビガトランエテキシラートカプセル110mg 1日1カプセル(1日2カプセル)
ニフェジピン徐放錠10mg (12時間持続)    1回1錠(1日2錠)1日2回 朝夕食後

担当の薬剤師は、入院時の不快症状と検査値から薬の副作用を疑い、医師に薬剤の変更を提案しようと考えた。該当する薬剤はどれか。1つ選べ。

1 シベンゾリンコハク酸塩錠
2 ベラパミル塩酸塩錠
3 ニコランジル錠
4 ダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩カプセル
5 ニフェジピン除放錠

 

まず血清クレアチニン値は2.0mg/dL、BUN は39mg/dLであることから明らかに腎不全。腎機能低下による有害反応は肝代謝型薬物のベラパミル塩酸塩錠、ニコランジル錠、ニフェジピン除放錠では起こりません。これで選択肢は1か4になります。だけどどちらも超ハイリスク薬です。

ただし起こった有害反応は「めまい、ふらつき、冷汗、手の震え、軽度の意識障害」しかもご丁寧に空腹時血糖は40mg/dLとくれば、問題なくシベンゾリンコハク酸塩錠が正解になるはずです。比較的やさしい問題だけど、ダビガトランエテキシラートも腎排泄でCCr<30mL/min未満の患者には禁忌です。じゃあ念のためにCCrを計算してみましょう。CCrの計算にはCockcroft-Gault式を用いればいいですね。体重は計算しやすいように72kgになっています。

推算CCr={(140-年齢)×体重×0.85(女性)}/(72×血清Cr値)

    ={(140-65)×72×0.85(女性)}/(72×2.0)=37.5mL/min

CCrが30以上あるから投与しても問題ない・・・・

じゃないです!腎排泄型のハイリスク薬は腎機能の推算結果だけで投与の可否を簡単に線引きしちゃいけません!

ダビガトランは2011年にワルファリン以来50年ぶりに発売された新規経口抗凝固薬ですが尿中排泄率85%と非常に高い薬物であるため、発売後半年間に、腎機能の低下した高齢者が23名出血死した超ハイリスク薬です。

添付文書を見ると腎機能正常者に比べCCr<30mL/minの重度腎障害患者ではAUCが6.3倍、半減期が13.4hrが27.2hrに延長しています。ということから「透析患者を含む高度の腎障害(クレアチニンクリアランス30mL/min未満)のある患者では本剤は主に腎臓を介して排泄されるため、血中濃度が上昇し出血の危険性が増大するおそれがあるため投与禁忌」になっています。

AUCが6.3倍になるのならCCr<30mL/minでは常用量の1/6以下の50mg/日以下にすべき薬ですが禁忌になってますが、CCrが30mL/minであれば220mg/日投与できるのです。ハイリスク薬なのに大胆すぎる投与設計なので怖い感じがしています。それとCockcroft-Gault式をよーく見直してください。これって体重が2倍になると腎機能は2倍に推算されちゃいますよね。

推算CCr={(140-年齢)×体重×0.85(女性)}/(72×血清Cr値)

つまりCockcroft-Gault式は肥満を考慮していないのでに示すように体重の影響を強く受けます。

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ということはこの患者の身長は不明ですが、本来は肥満患者では身長から理想体重をを算出して入力すべきです。160cmだったら理想体重は56.88kgになり、腎機能は29.63mL/minに計算され禁忌になります。150cmだとしたら理想体重は47.83kgになり、腎機能は
24.91mL/minに計算されます。非常に危ない投与になります。

処方をもう1度見直してもらえますか?相互作用は考えられないでしょうか?心房細動では当たり前のように併用されるレートコントロール薬のベラパミルが投与されています。ベラパミル錠は120mg/日をジゴキシンと併用するとおそらくジゴキシンの血中濃度は1.5倍になるため、私が薬剤師時代には、あらかじめジゴキシンの投与量を2/3に減量することを医師に提言してからベラパミルを投与してもらっていました。そうです。ベラパミルにはP-糖タンパク阻害作用があり、ジゴキシンもダビガトランもP-糖タンパク質の基質なのです。ではダビガトランの添付文書の記載を見てみましょう。

以下の患者では、ダビガトランの血中濃度が上昇するおそれがあるため、本剤1回110mg1日2回投与を考慮し、慎重に投与すること。

・中等度の腎障害(クレアチニンクリアランス30-50mL/min)のある患者
・P-糖蛋白阻害剤(経口剤)を併用している患者

[「慎重投与」、「重要な基本的注意」、「相互作用」の項参照]

以下のような出血の危険性が高いと判断される患者では、本剤1回110mg1日2回投与を考慮し、慎重に投与すること。

・70歳以上の患者
・消化管出血の既往を有する患者

 ご覧のように「70歳以上の患者は出血の危険性が高いため、本剤1回110mg1日2回投与を考慮し、慎重に投与すること」ということも添付文書に書かれていますが、本症例は65歳です。これも安易に線引きしていると思いませんか?それから「中等度の腎障害は220mg/日に減量」かつ「P-糖タンパク質阻害剤(経口剤)を併用している患者は220mg/日に減量」の患者には何mgにすべきでしょうか?220mg/日でよいはずはなく、これは投与禁忌と考えるべきでしょう。

さらにさらに、カナダの添付文書では日本と同じくCCr<30mL/minは禁忌になっています(なぜか米国は減量して投与可能)。ただし日本の血清Cr値は正確な酵素法により測定しているためCCrの正常値は120-130mL/minであるのに対し、血清Cr値が酵素法より0.2高いJaffe法によって測定している国のCCrの正常値は100mL/minです。すなわち海外でCCr<30mL/minで禁忌なら30mL/minをやや超えている日本の症例も明らかに禁忌と考えるべきです。

私はここで減量・投与すべきでないことばかり書きましたが、経口抗凝固薬は投与量を少なすぎて出血が起こらなければよいという種類の薬ではありません。致死的な血栓症を抑えなくては意味がありません。つまりこの薬の有効治療域は「出血と梗塞の間」なのです。多すぎても少なすぎてもダメで、上手にコントロールする必要があります。

経口抗凝固薬は超ハイリスク薬です。腎機能が低下すると同様に血中濃度が上昇するアレグラやセフゾンのような安全性の高い薬物とは一緒にしてはいけません。CCrが30mL/minあれば投与できる、29mL/minでは投与してはいけない、あるいは69歳だったら300mg/日、70歳なら220mg/日というような簡単に線引きができる薬でもありません。

いずれにしてもこの問題が過去問として国家試験対策用の問題集に載り、薬学生だけでなく薬剤師までもが、「国家試験に出るくらいだからダビガトランやティーエスワンはCCrが30mL/min以上なら何も考えずに投与しても問題ない。相互作用も重要じゃないんだ」と思ってしまうことを予想するとぞっとしてしまいます。

 


sokisonin01.jpg2013年11月20日CKDチーム医療研究会での佐中孜先生(社会福祉法人仁生社江戸川病院生活習慣病CKDセンター長、元東京女子医科大学東医療センター腎臓内科教授)と話して

佐中先生:「平田先生、OTC薬のネット販売、この中にはロキソニンSというNSAIDも入っているけど、どう思うかね?」

平田「まあ、離島の人もいますからね。必要性はあると思います。」

佐中先生「しかしOTC薬といっても痛みのある高齢者が毎日、ロキソニンSを3錠、欠かさず飲んだらどうなります?」

平田「高齢者だと虚血腎になり、腎機能が低下しますね。私も透析導入になった人の導入原因を探していると、腎炎も糖尿病もない、悪性の高血圧もない。なんでこの人は透析導入になってしまったのだろうと調べてみると、整形外科の処方のNSAIDを2~3か月毎日飲んだために急性腎障害になって、それが慢性化したということはよく経験しましたね。高齢者の膝関節症などで単なる痛みどめ目的で、いきなりロキソニン3錠を30日分投与して、血清クレアチニンをモニターしないのは問題ですね。」

佐中「多くの腎臓内科医や透析専門医が経験していることです。特にNSAIDを2~3か月毎日連用した人が『最近食欲がなくて全身倦怠感がある』と訴えて内科医へ受診したときには『透析しなくちゃいけない』ってことはよく経験します。」

という話をした。

高齢者だけならまだしも、高齢者でACE阻害薬やARBなどのレニン-アンジオテンシン系阻害薬や利尿薬を服用している患者(これらも腎虚血原因薬物)、高血圧患者・糖尿病を合併した患者(動脈硬化を併発し腎不全になりやすい)ではNSAIDsを連日服用すると急性腎障害になってしまう患者は必ず現れます。

1回のネット販売量を規制し、連続した購入を規制できるシステムができたとしても楽天とDeNA、アマゾンと3社から同時購入した場合、相互のチェック機能がない限り、ロキソニンSのようなNSAIDをネット販売することは、非常に危険だ。

ガスター10でも腎機能が低下している人が胃がよくならないからといって1日2錠飲むと汎血球減少を起こすことがあることはよく知られた話です。適正使用しなければ生命を脅かす可能性のあるOTC薬はほかにもあるはずです。

適切な情報も与えられずにネット販売で購入したOTC薬によって死に至ったら、楽天の三木谷社長は全責任を取ってくれるのでしょうか?

離島や無医村の人たちのことを考えると私は必ずしもOTC薬のネット販売に反対ではありません。しかし腎臓病薬物療法学会理事長として、適正な情報なしに腎機能を悪化させる薬や、腎機能の低下した方が中毒性副作用を起こす可能性のある薬をモニターできる体制ができていないまま、他社から少しずつ購入できて、結局いくらでも購入できるシステムであれば問題と考えます。「何か体調に変化があったらすぐに薬局に問い合わせてくださいね」という対面販売はやはり必要だと考えます。

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病院薬剤師が生まれ変わる転帰~40歳が病院薬剤師としてのスタートだった僕~

平田純生(熊本大学薬学部附属育薬フロンティアセンター・臨床薬理学分野)

実は僕の学生時代の成績は最低レベル。就職したのは開院して3年目の白鷺病院という非常に小さな病院。医師は3名、病床数30くらいの腎不全専門病院、いわゆる透析病院でした。同窓会に参加するのが嫌でした。なぜなら、みんな○○大学医学部附属病院、県立○○病院、「ベッド数は300床の中小病院です」って自己紹介されると「俺はどうなるの?30床の個人病院じゃない?」って劣等感ばかり感じていました。ただしその当時はまともな透析のできる病院は珍しく、白鷺病院の透析患者数は関西で2番目に多く、透析に関してはいわゆる指導的な病院でした。

院長は研究するために病院を建てたほどの研究好きで、英語論文を読む抄読会で毎週のように論文を読まされました。その当時の僕の英語力は弱く、抄読会の前日に徹夜して訳した日本語は、「お前の訳文は日本語になっとらん」と怒られてばかりでした。

当時の病院薬剤師の仕事はつまらなかった。患者さんに薬の名前は教えない。薬効も教えない。教えていいのは飲み方だけ。PTPシートの耳(商品名の書いてある部分)をハサミで切って患者さんに薬名を知られないようにして渡していました。就職して2~3年後、カリフォルニア州ではクリニカルファーマシーなるものが実践されている、薬剤師が病棟に行って服薬指導しているらしいというニュースが入ってきましたが、「日本じゃ絶対に無理だ」と考えていました。本気で転職も考えました。薬剤師ではなく小学校教員に。僕の学年と1年先輩だけが教員免許を取れなかったので、学生時代に大学側に抗議して僕の1年後輩から復活しました。だから教員免許なし。一から教育学を勉強しましたが、小学校教員ってピアノも弾けなくっちゃいけないし、クロールで50m泳げなくっちゃいけない。結局、岡山まで行って受けた試験は不合格でした。

仕方なく薬剤師を続けていて、少しプライドがあるとすれば、医師がやらないような肉体労働の研究を仕事が終わってやってました。「透析患者の中分子量尿毒素の分析」、「透析中の血圧変動と血中カテコラミン濃度の関係」、「透析患者の微量元素と病態の関係」など、今では英語にしておけばよかったと後悔するようなよい仕事をしてました。でも研究は思ったとおりにはいかないことも多々あります。それが嫌で、辛くって、あまり研究熱心とは言えなかったと思います。

僕が30歳半ばの時、400床以上の病院では服薬指導の点数が取れる、いわゆる100点業務が始まりました。だけど当時の白鷺病院は就職した時よりは大きくなったとはいえ、90床の小さな病院。数年後、200床以上の病院でもより高い点数で服薬指導ができるようになりました。90床の白鷺病院はまだまだ。「病院が大きければ、薬剤師の能力も高いっていう評価はおかしい!」と悔しい思いをしながら、また数年後にやっと病床数の制限が撤廃された時は僕が40歳の時でした。

病棟業務を始めたのも(できるようになったのも)、薬学系の学会にはじめて参加したのも40歳、TDMを始めたのも、「薬物動態学」なる非常に難解な学問にチャレンジしたのも、40歳のときでした。この時から「夢を持って前向きに」をモットーにしていました。今までにたまっていたコンプレックスを、すべて吐き出すような勢いで仕事をしました。今までの辛い臨床研究とは違い、薬剤師の仕事をすることが臨床研究につながるなんて「こんなおいしいことはない」と思いました。薬剤師が好きで好きでたまらなくなりました。患者さんのところに行くのが楽しくてたまらない。医師とディスカッションするのがたまらないほど面白いのです。仕事に夢中になれるって、本当に幸せだなぁと思うようになりました。

決して競って学会発表していたわけではありません。薬局内の勉強会で疑問に残ったテーマ、解決できていない問題症例を何とか文献検索して、あるいは薬剤師同志で話し合って、あるいは医師やナースなどと話し合って疑問を解決したいと思うのは、プロの薬剤師として当然のことだと考えるようになっていました。解決できていない薬の問題点や症例に対する疑問点に全精力を注いで解決し、一定の結論が得られれば、それがポジティブデータであっても、ネガティブデータであっても学会発表、論文投稿という形で報告することによって完結させました。

そのうち僕は病院に寝泊まりし、夜2時まで文献を書き、朝の8時半に起きて病棟に行き、9時から5時までは薬局で仕事し、残務が終わるのが夜7時くらい。それからは自由です。毎日夜2時まで論文を読んだりデータ整理したり。40歳の時に書いた初めての薬学系の論文が1報、1年後には2報、2年後には4報、3年後には8報、それ以後はずっと総説なども含めて1年で30報くらいの論文をまとめています。服薬指導を始めて数年後で、数冊の本を書き、たった5年後の1999年には日本腎臓病薬物療法学会の前身である「関西腎と薬剤研究会」を立ち上げることができました。

学会でフロアーや座長から質問していただくことによって、あるいは文献投稿時にレフェリーに批判していただくことによって薬剤師として、そして臨床研究者として一歩一歩ステップアップしていくものだと思います。「私はちゃんと学会発表していますよ」なんて、ポスター発表程度で満足していませんか?ステップアップするための階段はまだまだありますよ。とはいえ薬剤師が成長して一人前になることは決して容易ではありません。結局、少しずつステップアップするしかないのですが・・・。

薬剤科内の症例検討会→院内の症例検討会(薬剤師も医師の症例検討会に参加して、症例報告させてもらうべきです)→地方の学会発表→全国レベルの学会発表→文献投稿→国際学会で発表→英語論文の投稿→国際的に認められた一流紙への投稿、このように、どんな環境の病院薬剤師でも成長する余地はまだまだあると思います。一段一段上がるごとに薬剤師として大きく成長しているのが自分で体感でき、数年前の自分がどんなに低いところにとどまっていたかがわかると思います。

勉強はちゃんとしていても、学会でちゃんと講演を聞いていても、実践しないあなたは高い山を見上げているだけ。見上げているだけでは全然、頂上には近づかないのです。周りの人が登り出さないのなら、あなた自身がステップを踏み出してみてください。学会で質問されることや、文献投稿時にレフェリーに批判されるのを恐れてはいけません。辛抱強くやれば、いい仕事はきっと評価されます。リサーチマインドのない薬剤師の集まりでは他の医療スタッフから評価されるはずはありませんし、社会的評価も得られません。それよりも問題なのは患者さんが薬剤師の存在によって当然、受けられるべき恩恵が受けられないことです。「私だってできるのです(Yes, I can.)」、あなたのこの考え方が”Yes, we can”の輪になって広がってゆけば病院薬剤師全体に活気がみなぎることは間違いないと思う今日この頃です。

 

英会話ってやっぱり難しい      熊本大学薬学部臨床薬理分野  平田 純生

英会話がなに不自由なくできたらすばらしいですよね。そのためには「留学」。多くの方が一度は体験したいと思っていませんか?僕も同じでした。そして昨秋、僕は50歳を過ぎてから半年間の米国留学を体験できました。

僕の留学目的は薬学教育、病院実習を体験し今後の薬学部での臨床教育に生かすこと。半年もいれば英語もきっと上達してペラペラになるかもしれないと思っていました。でもよほどうまくやらないと英語は上達しない、というのが今の僕の経験論です。

会話は英検準1級を持っているから、ま、何とかなるかな?でも一抹の不安があったため渡米する前の2ヶ月間、30万円かけて駅前留学に熱心に通いました。でも留学前の短期集中レッスン、これは高くつくだけで、英語力はほとんどアップしないっていうのが、僕の実感です。

薬学だけではなく英会話も上達したいので、日本人グループとは関わらない方針でしたが、これはストレスのもとでしたね。やっぱり日本語を話し合える友人がいないとホームシックになっちゃいます。Pharm Dコースの授業はスライドを使っての講義だから読解力がある日本人の僕には、苦もなくついていけました。病院実習も専門用語を知っていたため問題なく、ディスカッションできました。

でも1対1の私的な会話になるとかなりしんどい。友達同士の会話が、さっぱり分からない。授業内容は理解できても先生のジョークが分からないから1人だけ笑えない。生徒の質問が何を聞いているのかわからない。つらいからストレスになる。それを相談できる日本人はいないため、「早く日本に帰りたい」の毎日。留学も後半になると相手が話しているのを、理解しているように見せかけるふりだけはうまくなった。もっと若ければ、もっと長期間であれば、英会話も上達したかも?

「たら、れば」をならべたらきりがない。でも日本人との関わりを避けたことで1つだけ本当によかったことがあります。それはことばや国境を越えた信頼できる生涯最高の友を持つことができたこと。ベトナム出身の彼とは今でもメールのやり取りをしている。Dear, my best friend, why don’t you come to Kumamoto?

1123.png この頃珍しく快晴続き。今日はEmanuel病院のAnticoaguration Clinicの最後の日。今日の短頭はPamでCarlと並んでこの病院の実力者。患者の自主性を重んじた指導をする。アメリカ人は独立心を持っているから、上から押さえつけるような指導ではだめなんだ。Pamだけは失敗しても、患者指導や採血をさせてくれる。「この頃出血や青あざはできていませんか?抗菌薬などの新しい薬は処方されていませんか?食欲はいかがですか?緑色野菜はコンスタントにとっていますか?」などを英語で聞きながら採血をし、データが出たらINRが高ければ減量、低ければ増量するわけだが、患者さんの理解しやすいような服用方法を考えてあげ、次回INRが治療域になるような投与量を考える。実際にやってみるとマニュアルどおりにやるにしてもなかなか難しいものだ。人によって代謝能力や野菜摂取量、運動量、健康状態の日差変動が異なるから30%くらいの人はINRをモニタリングしてもなかなか治療域に入らない。それでも迅速検査をやっているとやっていないとでは血栓ができる危険性、出血の危険性ともに大きな差が出る。重要な仕事である。なぜ薬剤師がやるかというとワルファリンは治療域が狭く、血栓ができる危険性、出血の危険性のある怖い薬であること、相互作用が非常に多いこと、医師が忙しすぎることらしい。

 仕事が終わってHaiにアパートまで車で迎えに来てもらい、ダウンタウンのTodaiというbuffe形式の日本料理屋に行く。ベトナムのこと、日本のこと、家族のこと、ガールフレンドのこと、日本の温泉や銭湯のこと、カリフォルニアにあるヌーディストビーチのこと、卒業したら1度ベトナムに帰ってみたいこと、クラブ活動や薬学教育のありかたなどありとあらゆることを話した。おごるつもりだったが、前回招待してもらったからとHaiが譲らない。結局学生のHaiにおごってもらった。そのかわり次回はベトナム料理をご馳走するということを指切りして約束した。

 Haiは本当にまじめでいい人である。すばらしい薬剤師になるだろう。何れ日本にも遊びに来てほしい。明日はPamの家でサンクスギビング。七面鳥がはじめて食べられる。

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プロフィール

平田純生
平田 純生
Hirata Sumio

趣味は嫁との旅行(都市よりも自然)、映画(泣けるドラマ)、マラソン 、サウナ、ギター
音楽鑑賞(ビートルズ、サイモンとガーファンクル、ジャンゴ・ラインハルト、風、かぐや姫、ナターシャセブン、沢田聖子)
プロ野球観戦(家族みんな広島カープ)。
それと腎臓と薬に夢中です(趣味だと思えば何も辛くなくなります)

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