2025年9月

2025年4月5日 X投稿
閲覧者1.5万 いいね153人

 僕が小学生のころの1960年代に喘息、アトピー、花粉症の子供を見たことも聞いたこともなかった。そして20年後、1980年代に恵まれた僕の2人の子供の同級生の子供たちの約半数がこのようなアレルギーマーチになっていた。このたった20年間に何が変わったのであろうか?

 早めに登場した経口抗生剤のアモキシシリン、セファレキシン、セファクロルなどの吸収率は極めて高い。もともとβラクタム系抗菌薬は親水性が高いため、消化管の脂質二重層を通過できないはずだが、立体構造がジペプチド構造に似ていれば小腸上皮細胞に存在するペプチドトランスポータPEPT1の基質としてたまたま認識されて吸収されるからだ。

 しかし第3世代セフェムはピボキシル基などをくっつけて脂溶性を高めて無理やり吸収率を上げさせたものばかりだ()。外来などの軽症例であればグラム陽性菌に効果のある第1世代抗菌薬が最も使う頻度が高いはずなのに、なぜこんなにたくさんの第3世代セフェムが必要なのかも理解できない。これらの第3世代セフェム系抗菌薬は吸収率が低いことが大問題で、腸内細菌叢が激変することによって今までは起こることのなかったアレルギー性疾患が増えてしまったのではないだろうか。これに関しては英国ブリストル大学の報告で2歳までに抗菌薬を投与されていた小児は7.5歳になるまでに喘息(OR1.75: 95%CI 1.40-2.17)を発症する率が有意に高く、2歳までに4回以上投与された場合には、喘息(OR2.82: 95%CI 2.19-3.63)だけでなく湿疹(OR1.41: 95%CI 1.14-1.74)、花粉症(1.60 95%CI 1.21-2.10)などのアレルギー性疾患を発症するオッズ比が有意に高かったことが明らかにされている()。

詳しくは ★◆連載◆吸収率の低い第3世代経口セフェムってこんなに必要? 第8回 を参照してください。 

 

 

 

 9月4日(木)開催の 初心者コース「薬剤性腎障害を防ぐ!」について以下のような質問をいただきましたので回答させていただきます。


Q.トリプルワーミーに気づいたらNSAIDsからカロナールに変更していましたが、カロナールでは疼痛コントロールが難しくなる印象を受けました。湿布以外となると、トアラセット(トラムセット)などが妥当でしょうか?

A.アセトアミノフェンを1回400~500mgを投与して効かないという医師が多いようですが、これらの用量は解熱剤としては有効であっても、鎮痛作用を示す5µg/mL以上の濃度に保つことが困難です。だからまずは通常の体型の方であれば、鎮痛作用を示す有効用量である1回750mgを1日3回またはる1回600mgを1日4回、あるいは頓服で1回1000mgの投与をお願いしましょう。それでも効かないときにはトラマドールを追加、あるいはトラムセットを試してみてはいかがでしょう?9月18日の薬剤師塾ではこれらのことについてお話しします。


Q.eCCrの計算です。肥満患者では補正体重で補正したeCCrを計算することが推奨されていますが、BMIが25以上の場合に補正体重で補正するのか、30以上で補正体重で補正するのか、実際に腎臓専門の先生方は、どのような基準で補正をしているのでしょうか?(もちろん、筋肉量やADLなどもアセスメントするのでしょうが) 宜しくお願い致します。

A.特に定まっていないと思いますが、私の場合はBMIが25以上の肥満患者の場合に以下に示す補正体重で補正するようにしています。
補正体重(kg)= 理想体重+[0.4×(実測体重-理想体重)]


Q.腎機能はそこまで悪くないんですが、頸椎がずれてるっていうことで、痛みでロキソニンをずっと毎日飲んでる方がいます。今は心配だなと思うことしかできてないんですが、腎機能は悪くなければ痛み止めを継続して使ってもいいものでしょうか?

A.患者さんの年齢と腎機能、併用薬によります。患者さんが若くて腎機能や胃障害や易出血性などの問題がなくて、RAS阻害薬や利尿薬、活性型ビタミンDが投与されていなければ、NSAIDsの投与はあまり問題にならないと思います。

 

2025年4月2日 X投稿
閲覧者1.5万 いいね152人

 2020年、初の薬剤師が主役のテレビドラマであるアレクサングシンデレラで「薬剤師って要らなくない?」ということばが話題になった。「薬剤師なんて要らない?なんで要らないの?だって処方箋を書く医師は病態や診断のことはよくご存じだけれど、薬物動態や相互作用、薬の化学構造や物性、製剤学などをほとんど習っていないんだよ。併用することによって血中濃度が5%に低下して薬が全く効かなくなったり、20倍近くの血中濃度になって副作用が必発になる相互作用はふつうにあるし()、抗がん薬や抗凝固薬では血中濃度が1.5倍になっただけでも致死的副作用が起こることがある。薬剤師はそれを防ぐ減量法や薬の組み合わせを提言できる。注射薬や内服薬を混合することで起こる配合変化を防ぎ、副作用が起こらないよう、起こっても早期発見できるような服薬指導するには薬剤師が絶対に必要だろ。患者さんが使っている薬の有効性・安全性を担保するために薬剤師が監査し、疑義紹介しなければならない。多くの患者さんが薬物療法によって病気を治療しているよね。薬剤師は患者さんの薬の安全性を守る最後の砦なんだ。だから薬剤師は絶対に必要なんだよ!」これはこのドラマが始まる前から僕が熊本大学薬学部で繰り返し学生たちに話してきたことだ(1)

1)平田純生: 薬剤師と医師.腎と透析増刊号 腎疾患治療薬Update 腎疾患患者の薬剤管理. 91: 33-37, 2021

 

 

 

 9月4日(木)開催の 初心者コース「薬剤性腎障害を防ぐ!」について以下のようなアンケートの回答をいただきました。原文のまますべてのアンケート内容を紹介させていただきます。


「例え」がとてもよかった


トリプルワーミーには注意していきたいと思いました。


整形外科、皮膚科門前であり、とても参考になった。 次回も拝聴いたします。


非常にわかりやすい講演をしていただいてありがとうございました。


とても勉強になりました。恥ずかしながら、 スピロノラクトンがトリプルワーミーには要素ではないということを知りませんでした。


具体的な資料がとても参考になりました。


貴重なご講演ありがとうございました。近隣の内科医はカロナールを高用量で出すことに抵抗があるのか強い痛みを訴えられても200mgや300mgしか処方されません。患者からはカロナールは効かないからロキソニンが良いと言われ、腎機能低下者にもロキソニンが処方されるケースがあります。カロナール増量の提案もしますがなかなか聞き入れてもらえず悩ましい限りです。


貴重なご講演、ありがとうございました。 前半部分はなかなか普段の業務では出くわさない知識のため非常に難しく感じました。 後半は非常にわかりやすく勉強になりました。


貴重なご講演ありがとうございました。 在宅でCKDの患者様を担当しておりますので、とても勉強になりました。


大変勉強になりました。


平田先生、いつもありがとうございます。 今回もとても勉強になる内容でした。心不全のご講演も楽しみにしています。


腎機能に関して職場で薬剤師や医師、看護師と話をする時に、基礎からしっかり理解していないと質問等の回答に上手く答えられない時があるので、基礎編の講義を何度も聴講させていただいていますが、とてもありがたいです。 今後の研修も大変楽しみにしております。 またよろしくお願いいたします。


とても、勉強になりました。次回もぜひ受講させていただきます。

2025年4月2日 X投稿
閲覧者3.6万 いいね362人

 ある日、上野先生が僕に「アミノフィリン250mgの中にテオフィリンは200mg相当分入っとるから、アミノフィリン1Aを50kgの人に点滴投与したら、血中濃度はなんぼになると思う、平田君?」と聞かれ、戸惑って何も答えられなかった。だって血中濃度が予測できるなんて知らなかったから。「テオフィリンのVdは0.45L/kgなんや。まぁ、0.5L/kgでもええわ。50kgの患者さんやったらVdは25Lになる。200mg/25Lで8µg/mLになるやろから、喘息発作の治療にはちょっと足らへん。2A投与したら、16µg/mLになるんや。これやったら、ほぼ確実に気管支拡張作用を示して、20以上になったら起こる怖い副作用もでてけーへん。こーゆーことを知っとくと、薬を自由に操れるようになるんや。ほんでもって医者も意のままに操れるようになるんや」。

 これには本当にときめいた。薬物動態の基本がわかっていない薬剤師を僕は「本当の薬剤師」とは呼びたくない、似非(エセ)薬剤師だ。薬物動態だけは努力してでも薬剤師が身に着ける価値のあるものだと今でも信じてる!だからみんな努力して、僕の師匠のように「ほんまもんの薬剤師」になってほしい。

2025年3月18日 X投稿
閲覧者3.8万 いいね252人

 酸化マグネシウムによる高マグネシウム血症に関する「適正使用のお願い」や「医薬品・医療機器等安全性情報」が何度も出て死亡例も紹介されています。マグネシウムは腎排泄されやすいので、腎機能低下では高マグネシウム血症になりやすいです。では腎不全患者を数多く見てきた平田は高マグネシウム血症の症例を見たことがあるかというと皆無なのです。以下のように酸化マグネシウムで高マグネシウム血症の謎について6回にわたり連載します。乞うご期待!

3/18 ★4回にわたって発出された「重篤な高マグネシウム血症」への注意喚起

3/19 ★疑問だらけの対策案

3/20 ★血清Mg濃度を必ずモニタリングしていてMgOを投与して高マグネシウムに

3/21 ★酸化マグネシウムが6g/日が投与されていた透析患者

3/22 ★透析患者の便秘は致死性の腸閉塞の原因になる

3/23 ★重篤な高マグネシウム血症はMgOの投与量や投与期間、腎機能が問題ではなく、leaky gutによって起こる?

 

 

2025年3月12日 X投稿
閲覧者3.2万 いいね181人

 ダイアモックス(アセタゾラミド)という炭酸脱水酵素阻害薬は緑内障の治療に使われていましたが、尿中排泄率は90%と極めて高いため、腎機能低下患者に適切な減量を怠ると精神錯乱、見当識障害などの中毒症状が出ます。でも透析中の眼圧上昇を避けるために必要だからということでTDMを実施しながら適正投与できたのですが、今は2種類の炭酸脱水酵素阻害薬の点眼薬が利用できるようになりました。でもどちらも「重篤な腎障害のある患者には禁忌」となっています。局所作用する点眼薬1滴で全身性の副作用が出ると思う?

2025年2月12日 X投稿
閲覧者2.7万人 いいね161人

 SGLT2阻害薬による尿糖排泄作用はずっと持続しているのに、利尿作用は持続しません。SGLT2阻害薬が心不全に有効なのは利尿作用のおかげという循環器医は多いのですが、カナグルの利尿作用があるのは1日だけなのです。利尿作用が持続すれば脱水になって腎機能が悪化して、みんな透析導入になってしますが、ヒトの体はよくできています。いや、SGLT2阻害薬が素晴らしい作用を持っているだけかもしれませんが、尿糖は持続してもNa利尿も糖利尿も抗利尿ホルモンが働くため数日以内に消失します。

 

 

 

 2024年末にスギ薬局から2025年3月でクビを告げられたため(一応定年退職という体でしたが)、生きてゆくために何とか「70歳になった平田は消えてゆくだろう」と思っている方にも「平田はまだまだ元気だよ」と伝えたい、平田をまだ知らない若い方々にも齢はいっているけど頑張っている薬剤師の爺がいるということを知ってもらいたいために始めたSNS。Facebookを一新し、Xにも2025年1月からできるだけ毎日、投稿を続けはじめました。8月28日には200投稿を達成し、Xでのフォロワーは2,896人、Facebookのフォロワーは2,036人になりました。これらの投稿で、気に入ってくれた方からは新たに講演依頼をいただきましたし、出版社からは新刊本の出版を依頼されました。何とか生きてゆけそうです。そして合同会社平田の薬剤師塾を立ち上げ、9月から有料でのオンライン薬剤師塾を開催することになりました。まずは皆様に心より感謝申し上げます。

 物覚えが悪いので、重複した投稿もあります。これは耄碌したのではなく、記憶力が悪いのは若いころからの平田の個性ですので、「何回も同じネタ」が出てくるかもしれません。ごめんなさいね。今回は今までの登録の中でXでの「いいね」を100人以上からいただいた投稿をすべて公開させていただきます。ただし内容が優れているから「いいね」が多かったのではなく、なんでこんなネタが受けたの?と平田も理解できないものも多々ありますし、熱を込めて一生懸命書いたネタ、これは絶対に受けるぞと思ったネタが閲覧者1000人程度ということもよくありますね。SNSってよくわかんないですね。5月13日の「アセトアミノフェン500mg錠では痛みには効かない」はこれまでの最高の閲覧者11、いいね841人でしたが、「この程度でいいの?」って感じです。それと6月1日の「ファンタスティックフォーの導入順番はどうでもいい」は閲覧者数は8万人ですが、いいねは1179人からいただき、唯一の1000人越えになりました。これからも頑張って投稿しますので、よろしくお願いいたします。でも平田の本職はSNS発信者ではなく、「平田の薬剤師塾」ブロガーであり、毎月2回行っている「平田の薬剤師塾」だと思っています。SNSを始めたので、ブログの連載がおろそかになっていること、心よりお詫び申し上げます。でははじめましょう。

お気に入りの医療系Youtube
2025年1月30日 X投稿
閲覧2.2万人 いいね136人

 数ある医療系Youtubeの中でもJCO(ジャーナルクラブオンライン)は秀逸です!循環器医が早朝、定期的に開催している抄読会(最新の論文を読む会)です。循環器医同士の激しい意見交換が見所です。再生会数は数千どまりですが、再生回数って関係ないですね。

 JCOはレベルが高すぎるという方には以下の分かりやすい医療系のYoutubeがおすすめです。

 うし先生、ゴロー/イラストで学ぶ体の仕組み、ネコかん【ネコヲの解剖生理学】、かんたん薬理学(笹川大介先生)などは初心者や患者さんにわかりやすく説明できるようになるにはとてもいいです。

 平田の薬剤師塾 第55,56,58,59回は、日本心不全薬学共創機構に共催いただき「慢性心不全の病態と薬物療法」をテーマとした4回シリーズとして開催いたします。
 がんの5年生存率は全体で68.9%まで改善していますが、心不全の5年生存率は50-60%で超高齢化に伴う心不全パンデミックが問題になっています。「平田の薬剤師塾」では日本心不全薬学共創機構の共催をいただき、4回にわたり慢性心不全の病態と薬物療法、薬剤師としてできることについて考えてみたいと思います。


シリーズ①これだけは知っておこう。慢性心不全の病態の基礎です。
1.循環器の基礎、2.慢性心不全と急性心不全、3.前負荷と後負荷、4.左室不全と右室不全の違い、5.ヘフレフ・ヘフペフと収縮不全・拡張不全の違いについて基礎から学びましょう。

◆10月9日(木)開催【定員:300名】
 
お申し込みは こちら から
 締切:10月7日(火)

(クリックするとPDFが表示されます。)

 


シリーズ②慢性心不全治療の薬物療法の基本です。
ACE阻害薬、β遮断薬を中心として様々な薬物療法について基本から学びましょう。

◆10月16日(木)開催【定員:300名】
 
お申し込みは こちら から
 締切:10月14日(火)

(クリックするとPDFが表示されます。)

 


シリーズ③「慢性心不全治療のFantastic Fourってどんなもの?」
シリーズ④「心不全の臨床データから疑義照会・服薬指導にどう生かす?」
11月開催予定!


※新生「平田の薬剤師塾」は9月より1回1000円の参加費をいただくことになりました。
有料になっておりますので、大変、申し訳ありませんが、ご了承のうえ、ご参加いただけると幸いです。

プロフィール

平田純生
平田 純生
Hirata Sumio

趣味は嫁との旅行(都市よりも自然)、映画(泣けるドラマ)、マラソン 、サウナ、ギター
音楽鑑賞(ビートルズ、サイモンとガーファンクル、ジャンゴ・ラインハルト、風、かぐや姫、ナターシャセブン、沢田聖子)
プロ野球観戦(家族みんな広島カープ)。
それと腎臓と薬に夢中です(趣味だと思えば何も辛くなくなります)

月別アーカイブ