第13回日腎薬熊本大会

 令和元年11月15日(金)、16日(土)、17日(日)に開催された第13回日本腎臓病薬物療法学会「令和元年肥後腎薬の乱」は有料参加者数1,609名、実行委員・学生アルバイトを除く総参加者数は1,641名で目標の1,500名を超え、福岡大会の1,610名に次ぐ参加者数になりました。また演題数193件(口演48件、ポスター145件)は過去最高でした。
 この3日間の学会、平田にとっては熊大教授として最後の大会です。いろんな企画をさせていただきました。今まで通りの講演だけでなく若手を中心としたシンポジウム、1時間講演×3本+ミニコンサート+Q and Aからなる450人参加の「朝まで平田塾」、立ち見が出るほどの盛況だったフレッシュな講師による30分×15本のスキルアップセミナー、門脇先生・古久保先生の司会が絶妙で楽しめた「腎薬クイズ秋の甲子園」、トップ研究者・薬剤師と直接話ができるRound Table Discussion、「立川志の春独演会」などの新企画を加えました。私が舞台に立った時間は8時間以上で、思いっきりやらせていただきました。声が枯れないか心配でしたが、マツダスタジアムでの応援に比べれば全然楽なものでした。3日目の早朝は長谷川浩三先生を隊長とする熊本城を周回するモーニングランでは釧路、北見、帯広、札幌、岩手から鹿児島まで、遠方の方々を含め日本中から35名が参加していただき、本当に楽しかったです。
 「朝まで平田塾」のミニコンサートや「立川志の春独演会」に関しては学会で、本当にやっていいのか悩みました。でも今となっては本当にやってよかったと思っています。学会は思いっきり勉強する場ではありますが、そればかりでは残らないのです。楽しみながら勉強したほうがメリハリがでると思っています。志の春さんはまだ真打ではありませんが、師匠といわれる有名落語家よりはるかに面白いことを知りました。たまに日曜日の早朝にNHKでやっている演芸図鑑で落語を見ますが、ほとんどまくらがない。味があってうまいのですが、笑える部分がないのです。落語はやっぱり笑えるところがいい。師匠の志の輔さんも「ガッテンの人」としか知らない人が多いのですが、この方の落語は別格。大爆笑の洪水のようなものです。その3番弟子の志の春さんは志の輔さんのDNAを受け継いだ「味があって面白い」数少ない落語家さんです。ぜひ、皆さんに落語の奥深さを知ってもらいたかったのですが、薬剤師向けの爆笑のまくら、そして人情噺の「井戸の茶碗」と最高でした。
 実は独演会の前に志の春さんの楽屋で10月に熊本県立劇場で見た師匠の立川志の輔さんの「徂徠豆腐」という90分にわたる人情噺がすごくよかったですという話をしたら、「人情噺は長いですからね」とためらった感じがしたのですが、志の春さんはおそらく爆笑ネタの創作落語+短めの古典をやる予定だったらしく、この会話の後で熊本の細川家が関わる3人の正直者が出てくる人情噺「井戸の茶碗」に変更してくれたみたいです。志の春さんはイェール大学卒業で有名ですが、本当に飾らない素敵なかたでした。たぶん、近々、真打になるものと信じています。志の春さんのおかげでいつもは30人(ほとんど実行委員と学会理事)しか残らない閉会式も今回は200名近くの多くの方に楽しんでいただけました。落語が終わった後でも閉会式のトークにつきあっていただきました。志の春さんの「その場が、今までで一番大切だということを最初に伝える」という言葉は、本当に腑に落ちました。」というメールもいただきました。僕は舞い上がって何を話したかも覚えていないのですが…。
 そして、今回の学会に関しては「歴史的な大会だった。企画力が素晴らしかった。熱い思いとユーモアが入り混じった大変有意義な学術大会だった。熊本のパワー・ホスピタリティは底なしだと感じた。ディスカッションが熱かった。若い人たちのパワーを感じた。志の春さんの落語が聞けて良かった。とても有意義な3日間だった。」というような様々なうれしいご意見を頂戴いたしました。
 熊本での腎臓病薬物療法学会に来ていただき、ありがとうございました。復興さなかの熊本に来ていただきありがとうございました。熱いディスカッションをしていただきありがとうございました。熱い講演をしていただいた多くの先生方、熊本に来ていただいた多くの先生方、そしてこの学会の運営に携わっていただいた実行委員の先生方・組織委員の先生方、学生の皆様、1人1人が掛け替えのない方です。心より感謝申し上げます。では次回の徳島大会でお会いしましょう。

事前登録  会員: 883名 非会員: 414名 学生: 24名 合計1,321名
当日参加者数:有料参加者1,609名 無料参加者 32名 合計1,641名
演題数193件(口演48件、ポスター145件)
懇親会有料参加者149名
朝まで平田塾申込者445名
Round Table Discussion参加者63名 
ワークショップ:参加者32名+聴講者140名

優秀演題賞(口演)
福永雅樹(熊本大学)ノイロトロピンの抗酸化作用及び腎保護効果への寄与
中馬真幸(徳島大学病院)ドラッグリポジショニング手法を用いたバンコマイシン関連腎障害の予防薬探索とその有用性の検討
津下遥香(大分大学病院)副腎皮質ステロイド用量がeGFRcys/eGFRcreatに与える影響 ~ステロイド成分別の検討~

優秀演題賞(ポスター)
藤本一郎(崇城大学薬学部薬学科) 炭酸ランタンの長期服用による胃粘膜病変の発現状況調査
塩坂育子(松山赤十字病院薬剤部) 薬剤性AKI予防のためのシックデイルールカードを活用した患者指導

初代クイズ王
京都第一赤十字病院薬剤部 山本美智先生(30歳)と増田章秀先生(28歳)のペア

2019年11月29日(金)に開催された「熊本城ホール開館記念式典」で上映された動画に、本学会大会当日の風景や、平田のインタビューが使われています。
ご興味のある方はご覧ください。↓こちらから
https://www.kumamoto-jo-hall.jp/news/20191129.html
(後半5分13秒より流れます)

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20191008_1.jpg 学会最終日の14:15~14:35の間、第1会場で理事長講演を急遽やることになりました。テーマは「腎機能評価の10の鉄則~最新版発表~」です。月間薬事10月号で、「ピットフォール事例に学ぶ腎機能に応じた投与設計」が特集され、腎機能の正確な評価が薬剤師の職能の1つとして認識されつつあります。超高齢者社会になり筋肉量が減少した長期臥床高齢者の腎機能の評価に悩んでいる先生方も多いのではないでしょうか?
 私のブログで「腎機能評価の10の鉄則」を掲載していますが、2017年11月に第6版が掲載されたまま、更新できていません。これは現在実施中の腎機能評価の臨床研究の論文がまだ完成していないものがあるためなのですが、既存あるいは新規論文を精査して、今までの臨床研究成果も加えてより正確な情報をお伝えすることはできると思いますので20分間の短い時間ではありますが報告させていただきたいと思います。詳細は後日、熊本大学薬学部臨床薬理学分野のホームページでアップさせていただく予定です。

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腎機能評価の10の鉄則はコチラから

薬学部臨床薬理学分野のHPはコチラから

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特別講演1「糖尿病性腎臓病 DKD の薬物療法の新展開」
東京大学大学院医学系研究科腎臓内科学/内分泌病態学
南学 正臣先生

見どころ(平田の解説)

 透析導入原因疾患のとして糖尿病性腎症は増加の一途を辿り、1998年以降ずっとトップです。現在も透析導入疾患の43%を占めますが、2006年くらいからプラトーになってきています。糖尿病性腎症は高血糖・糸球体過剰濾過によるGFR(糸球体濾過量)上昇、微量アルブミン尿が出現し、蛋白尿への進展に伴って腎機能が徐々に低下し、最終的には末期腎不全に至るのが典型的なパターンです。しかし近年、糖尿病であっても顕性アルブミン尿を伴わないままGFRが低下する非典型的な糖尿病関連腎疾患を含む概念として糖尿病性腎臓病(DKD: diabetic kidney disease)の存在が注目されています。おそら血糖管理の充実とRAS阻害薬によるアルブミン尿抑制が充実したからだと思われますが、高血圧による腎硬化症は徐々に増加しつつあります。いずれにしても透析導入を減らすには糖尿病対策が重要に違いありません。薬物療法に関してはSGLT2阻害薬の登場で典型的な糖尿病性腎症はさらに減少するかもしれませんが、インスリン分泌能が低く太れない患者の多い日本人に、海外のエビデンスが通用するのでしょうか?さらに期待の新薬は?DKDについては興味が尽きません。

HPはこちらから → 第13回日本腎臓病薬物療法学会学術集会・総会HP

 2019年11月17日(日)のランチョンセミナー後に予定の、立川志の春さんの独演会が、『熊本落語だより』と『落語de九州』で紹介されております。

熊本落語だよりは コチラ から

落語de九州は コチラ から

平田塾の4演題が決まりました。

11月15日(金)17:00~21:30
「CKD の薬物療法のすべて」をベイシックから最新情報まで熱いメッセージをお届けします。テーマは都合により変更になる可能性があります。
事前参加登録必要(有料:1000 円、軽食・テキスト付き)
参加登録はこちら ⇒ 本大会HP 事前参加登録画面

◆透析導入数を減らすための薬剤師の役割(PHC株式会社共催)
◆腎機能低下時の中毒性副作用を防ぐ
 ~透析患者なのにバンコマイシンを初回常用量投与?~
◆薬剤性腎障害を防ぐ ~軟膏が原因で腎機能正常者が透析導入?~
◆CKD患者の薬物適正使用Q&A ~皆さんの質問にお答えします~

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※質問のある方は運営事務局までメール (jsnp13@jtbcom.co.jp) にてご連絡ください。
当日も質問を受付いたします。できるだけ回答したいと思っておりますが、時間の都合上、回答できないこともあり得ます。 回答できなかった質問に関しましては、熊本大学臨床薬理学分野のホームページ上で、学会終了後、できるだけ速やかに回答させていただきますので予め、ご了承いただけると幸いです。

アトラクション決定!~Marie with Men~

平田塾のアトラクションが、Marie with Menに決まりました。
 龍野マリエさんのヴァイオリンにピアノ、パーカッション、ギターが入る予定です(都合によりメンバーが増減するかもしれません)。皆さんご存知の曲もやっていただけると思います。素敵な音楽で疲れた脳を癒してください。Marie with Menのライブは 19:00から19:25 の予定です。

201906_01.pngヴァイオリニスト 龍野マリエさん(熊本出身)
1990年:熊本に生まれ3歳よりヴァイオリンとピアノを始める。
2013年:東京音楽大学を首席で卒業。
2014年~2016年:ルーテル学院中学校にて音楽の非常勤講師を務める。
現在:東京と熊本を中心にソロ・アンサンブルで活動中

 

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平田塾はこちらから → 理事長講演「朝まで平田塾」

 第13回日本腎臓病薬物療法学会ではRound Table Discussionを予定しております。専門家を囲む参加型の少人数ゼミで、日曜日の早朝60分間です。有料で事前予約が必要です。実力のある臨床家・研究者に講師になっていただきましたが、内容は初心者向けになっております。専門家である講師、あるいは参加者同士で積極的に発言、質問、議論してください。テーマは一応定めておきますが参加者・講師の話し合いで内容を変えることもできます。定員は1テーマにつき8名を予定しております。

講 師 テ ー マ
古久保拓  薬剤師として知っておくべき透析の薬物療法
竹内裕紀  薬剤師として知っておくべき腎炎・腎移植の免疫抑制療法
山本武人  薬剤師として知っておくべき持続的血液浄化法
大野能之  相互作用を定量的に評価してマネジメンしよう
辻本雅之  薬剤師として知っておくべき薬物動態
小林道也  薬剤師として知っておくべき統計または論文の書き方
柴田啓智  AKIを含めた急性期患者に対する薬剤師の関わり
平田純生  薬剤師として知っておくべき腎機能評価

※参加者の募集は 本日8月1日(木)19時より 本大会HP 事前参加登録画面 で開始します。参加費:1名1000円(朝食は付いておりません) 

※満席となりました。

 平田は今までに2回、国際TDM学会に参加しました。この学会では通常の講演や発表だけでなく、早朝に開催されるラウンドテーブルディスカッションという朝食(といってもパンとコーヒーくらい)を食べながら10人程度の少人数で専門的な討論を行うという画期的な催しがあります。
私は42歳のときに果敢に(無謀?)にも2つのテーマにエントリーしましたが、その当時は多少の英語は話せても、TDMの経験年数が浅く、内容がさっぱり理解できず、貝のように黙り込んでしまった苦い経験があります。
 6年後の2回目の参加の時には自分の情けなさへのリベンジで「タンパク結合率」と「ジゴキシンのTDM」に参加しました。どちらの講師もこの分野では非常に有名な研究者で、講義に対して、いつでも質問や追加発言してもいいスタイルなので、私も必死で数回発言させていただきましたが、予定の1時間はあっという間に過ぎていきました。日本TDM学会でも国際学会を催す前に試験的に1度やったことがありますが、テーマは一応、前もって決めておきますが、あとは自由ですのでメンバーの意見によって「こんなことが知りたい」という意見でテーマを変えることもできます。
 白板を用意することもできますが、基本的には講師が1~2枚の用意してきたハンドアウト(おしながきのようなもの)を配布し、ディスカッションするというものです。学会だと時間も限られているし、人前で質問しにくいと思っている方も少人数であれば、いろんなことをその中でおそらく一番よく知っている人に直接、質問できてその回答をみんなで共有できるというのがこのラウンドテーブルディスカッションの魅力だと思います。

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201906_6.png 内科系で若手講師第1位、もちろん腎が専門

教育講演6「透析患者の薬物療法~最新情報~」
大阪大学大学院医学系研究科
腎疾患臓器連関制御学 濱野 高行先生

 透析医療、特にCKD-MBD(CKDに伴う骨ミネラル代謝異常)の第一人者の先生です。平田は腎臓学会・透析医学会ではっきりものをいう、インパクトの強い濱野先生の講演が大好きで、熊本腎薬にも来ていただきました。2018年末の調べで「講演を聞くとすればこの先生が一番おすすめ」というアンケートで一般内科の先生の中で1位に選ばれました。大いに納得です。今回はCKD-MBDだけでなく新たな経口腎性貧血治療薬のHIF-PH阻害薬のお話も聞けそうです。

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https://www.mixonline.jp/tabid55.html?artid=66801より引用

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201906_5.png 高齢者薬物療法といえばこの人

教育講演5「虚弱な高齢者と薬に対して薬剤師がやれること」
温石病院薬局 森 直樹先生

 高齢者薬物療法といえばこの人です。熊本大学薬学部育薬フロンティアセンターの抄読会に13年前から積極的に参加していただき、力をつけてきた苦労人です。平田と同じく小さな病院だからこそできる他職種との連携で実力を蓄えました。まずは高齢者の嚥下障害でブレイクし、地道に講演内容の幅を広げてきました。昨年は熊大薬学部の卒後教育のトリで「後期高齢者の生活習慣病」というテーマで語っていただきましたが、これが、聴衆を感動の渦に引き込みました。スライド作り・話のまとめ方、人を引き込む話力、どれをとっても素晴らしい。聴衆を魅了する講演ではもう森先生にはかないません。

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201906_4.png 保険薬局から出てきた
腎のPharmacist-Scientist

教育講演4「外来における腎機能を考慮した         
医薬品適正使用を俯瞰する(仮)」
熊本大学大学院生命科学研究部
 薬剤情報分析学分野 近藤 悠希先生

 平田が熊本に来た2006年には熊本大学の大学院生で、病院に就職を勧めましたが「他人と同じことはしたくない」という考えで鹿児島の保険薬局で実力を発揮しました。今や保険薬局のテーマで次々と英語論文を書ける彗星のごとく現れた若手薬剤師のリーダー的存在です。熊本大学に戻り、平田の影響もあってか、薬剤性腎障害を防ぐため、腎機能を正確に評価するための研究に取り組んでいただいています。臨床だけではなく基礎研究に関しても学生を指導して、ますます幅広い活躍をしており、講演では研究テーマの内容だけではなく、薬局薬剤師の今後を見据えた幅広い活動内容を独特のスライド作り、説得力で伝えています。

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201906_3.jpg相互作用だけじゃありません、腎も強い

教育講演3「腎に関連した医薬品情報の見方・使い方(仮)」
東京大学医学部附属病院薬剤部 大野能之先生

 添付文書を読んだだけではわかりにくい相互作用のインパクトを予測する論文を発表し、それをまとめた「これからの薬物相互作用マネジメント」という本で一層有名になった東京大学医学部附属病院薬剤部の先生。もちろん薬物動態や相互作用には強いですが、古くから日腎薬では活躍しており、若いころは「東の大野、西の古久保」と腎薬の若手リーダー的な存在といわれていましたが、もう若手ではありません。腎も肝も知っている、そして医薬品情報にも長けているスーパー薬剤師で、子煩悩でも有名です。薬の情報を多面的な観点から評価・判断する講演内容にはいつも引き込まれてしまいます。

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プロフィール

平田純生
平田 純生
Hirata Sumio

趣味は嫁との旅行(都市よりも自然)、映画(泣けるドラマ)、マラソン 、サウナ、ギター
音楽鑑賞(ビートルズ、サイモンとガーファンクル、ジャンゴ・ラインハルト、風、かぐや姫、ナターシャセブン、沢田聖子)
プロ野球観戦(家族みんな広島カープ)。
それと腎臓と薬に夢中です(趣味だと思えば何も辛くなくなります)