8月20日(木)開催の、「症例に基づいたCKD患者の薬物適正使用(中級者編)」について以下のような質問をいただきましたので回答させていただきます。
Q.講義中にエカードがダブルワーミーであるとのご発言がありま
A.先月もARNIのサクビトリル/バルサルタンはダブルワーミーかという問い合わせがありましたが、薬剤性腎障害の報告は今のところありません。おそらくは薬剤性腎障害の発症率は非常に低いと思いますが、RAS阻害薬+利尿作用がありますので、ダブルワーミーとして注意しておいた方がよいと思っています。
実際のところ、圧倒的に危ない利尿薬は利尿作用が強力で脱水になりやすい短時間型ループ利尿薬、すなわちフロセミドだと思います。だから実臨床で気をつけるとすればループ利尿薬>サイアザイド=スピロノラクトンなどのMRAだと思います。個人的には利尿作用の弱いフィネレノンや血中ANP濃度の上昇が緩徐なサクビトリル/バルサルタンはかなり安全だと思っています。エカードはサイアザイドを含みますのでダブルワーミーですが、ループ利尿薬ほど怖くはないはずです。
ただし、ループ利尿薬で効果ない場合にはサイアザイドを併用すると作用部位が異なるため、強力な利尿作用が現れますよね。それを狙って併用療法をする医師は少なくありません。そうすると「エカードだからそんなに怖くはない」とは言っていられませんし、サクビトリル/バルサルタンだって心不全患者では当たり前にフロセミドと併用されるわけですから、これも安全とはいってられないのです。併用することによってフロセミドによる脱水を助長することによって循環血症量が低下するとレニン-アンジオテンシン系が活性化してしまう。ここれRAS阻害薬が併用されれば強力な腎虚血になることは十分考えられますから。
どの薬が危ないかについてはRCT(ランダム化比較試験)・コホート研究・症例対照研究などでのエビデンスによって判断すべき問題です。そのような報告が全くないときに症例報告も参考にしますが、腎機能障害の報告数だけではどの薬が危ないかは判断できません。
8月20日(木)開催の、「症例に基づいたCKD患者の薬物適正使用(中級者編)」について以下のようなアンケートの回答をいただきました。原文のまますべてのアンケート内容を紹介させていただきます。
受講して2年目になりますが、ようやく理解できるようになってきました。高齢者、低体重、小柄女性、筋肉量、個別化eGFRでの投与量など要注意で取り組みたいと思います。ありがとうございました。
ありがとうございました。勉強になります。
バラシクロビル服用患者さんに、1回200mlの飲水を起床時、朝食時、午前10時頃、昼食時、午後3時頃、夕食時、入浴後に取るようお伝えするという指導は具体的で大変勉強になりました。本日も貴重なご講演を誠にありがとうございました。
在宅クリニックなどで退院後抗凝固薬や抗不整脈薬がずっとDO処方で継続されている方の入院相談も受ける事があるので減量忘れの見逃しがないように気をつけようと思いました。
透析患者のピロリ菌除菌の減量について詳細な回答いただきありがとうございました。 P-CABやPPIの長期投与による影響も確認しながら、今後可能な限り相談していきたいと思います。
8月13日(木)開催の、「症例に基づいたCKD患者の薬物適正使用(初心者編)」について以下のような質問をいただきましたので回答させていただきます。
Q.透析患者のピロリ菌除菌の減量について、ボノサップ400を
P-CAB(カリウム競合型アシッドブロッカー)やPPI(プロトンポンプ阻害薬)の長期投与は、逆流性食道炎の再発防止や、アスピリン・NSAIDs(消炎鎮痛薬)による胃潰瘍・出血の予防に不可欠な一方、胃酸を長期間強力に抑え続けること特有の副作用やリスクも伴います。長期投与によるデメリットは胃酸分泌が強力に低下することによるCa、Fe、Mg、ビタミンB12などの吸収が悪くなるといわれています。特に低マグネシウム血症による重症不整脈発症(トルサード・ド・ポアンツになることも)、ビタミンB12欠乏、カルタン、ホスレノールなどのリン吸着薬の効果低下などの報告が多く、しかも深刻な副作用が多いです。ほかにもクロストリジオイデス・ディフィシル感染症(重症になると偽膜性大腸炎を発症します)、などの原因になりますので、PPIについてよくご存知の消化器の医師は、長期投与を避けたいのだと予想されます。P-CABやPPIの長期投与により、良性腫瘍である「胃底腺ポリープ」などの数が増えたり大きくなったりすることが知られています。これらは基本的に良性であり、薬をやめると小さくなることも多いですが、長期間の服用には注意が必要だそうです。
日本の透析患者は高齢化が顕著なこともあり、胃が脆弱な方が多く、また心血管疾患予防のための低用量アスピリンや抗血栓薬の服用に伴う消化性潰瘍の再発抑制などのため半数近くの方がPPIの長期投与されている透析施設もあります。重度の逆流性食道炎(びらんや潰瘍)でやめられない患者も多いのです。
どちらの考え方がよいのかは患者さんの病態、そして医師の判断によると思いますが、P-CAB(またはPPI)は本来ならば4~8週間までの投与となっていますが、長期投与は様々な問題があります。消化器の医師が言うように除菌が成功すれば、H2遮断薬を投与すると、これはPPIと異なり血中濃度依存性のため、即効性がありP-CABやPPIのように常時、胃酸の分泌を強力には抑えないので、これで消化器症状を抑えることができれば様々な有害事象が防げる可能性があります。
これは私見ですが、私自身が胃潰瘍になったことがあり、PPIを十数年続けていました。何度もやめようと思いましたが、やめると胃がむかつき、口臭がするのでやめられなかったのです。でも消化器内科で腸内細菌叢を調べると、酪酸菌などのプロバイオティクスを常用し、努めて食物繊維を摂っているはずの私の腸内細菌叢は判定「C」で「ビタミン産生菌が極めて少ない、ビタミンB12産生菌が欠乏状態、ロブゼリアなどの酪酸菌が少ない、有害菌が多い」という結果でした。熟慮した結果、PPIをやめてファモチジン20mgを胃症状のあるときだけ頓服し、症状があまりにきついときにはP-CABを頓用しており、月に数回、ファモチジンを頓用することでなんとか収まっています。
私のように食事や酪酸菌、ビフィズス菌、ヨーグルトや野菜の摂取で腸内環境に気をつけていても、こんな腸内細菌叢になってしまうので、高カリウムのために野菜・果物を摂れない、溢水のため水分を摂れない、免疫力が低下しているため抗菌薬がよく投与される、催便秘薬のためにひどい便秘になってしまう透析患者の腸内細菌叢は細菌数自体が極めて少ない、腸粘膜を守る酪酸産生菌や短鎖脂肪酸産生菌が極めて少ないのです。それによって尿毒素産生菌が増えて、心血管病変が進行し死亡率も高くなっていることを指摘する専門家もいます。
PPIは消化器症状をめざましく改善してくれる素晴らしい薬ですが、長期投与によって細菌・ウイルスの侵入を許し、カチオンの吸収悪化などによる全身への弊害を十分考慮して処方すべきと思っています。
8月13日(木)開催の、「症例に基づいたCKD患者の薬物適正使用(初心者編)」について以下のようなアンケートの回答をいただきました。原文のまますべてのアンケート内容を紹介させていただきます。
腎機能に問題があるなどアセトアミノフェンをNSAIDsの代替として使いたい場合に参考になりそうな論文を紹介していただいたので今後医師への提案にこちらを使おうと思います
腎排泄ではないが用量調整がある薬剤は興味深く学びになりました。 講演資料について、解説に使用した引用の文献のみ(講義で重要なもの抜粋で)でいいので最後のスライドor配信でまとめて一枚のスライドにして欲しいです、スクショ可能であれば当日又は配信時に最後にスクショしたいです。
腎機能低下とともに、非腎クリアランスも低下しているという考え方で、用量を減量しているにもかかわらず、副作用が出ている可能性がわかりました。ありがとうございました。
シスタチンCなど検査依頼したいが、なかなか難しいことが多いです。
わかりやすいご講演をありがとうございました。
いつもありがとうございます。
本日も、ありがとうございました。大変勉強になりました。毎回お話を楽しみにしています。
2026年9月17日(木)開催の平田の薬剤師塾のお知らせです。
◆第80回「平田の薬剤師塾」初心者コースのテーマは
腎臓が何をやっているか?(2)尿細管編~腎臓の最も重要な体液の恒常性維持は尿細管の仕事~(中級者編)
「腎臓は何をやっている臓器?」とたずねると多くの方が「腎臓って尿を作る臓器でしょ?」と答えてくれる。間違いではないけど、腎臓はもっと高度で精密な仕事をしている。排泄する尿中に含まれているものはすべて不要なもの、余剰なものであって、必要なものは尿細管で再吸収してくれるから、必要な栄養素を失うことなく、いつも体液中の電解質濃度を一定に保ち、水分量やpHを一定に保ってくれている。だからいつも健やかな生活を送ろうとするのに腎臓はとても大切な働きをしている。
腎機能が低下すると何が起こる?高リン血症から低カルシウム血症、そしてPTHが過剰分泌されるので骨を溶かしてCaを上げる、いわゆるCKD-MBDだから骨まで脆くなるし血管が石のようになってしまう。腎性貧血によって疲れやすくなり、高カリウム血症によって不整脈によって突然死の危険性が高まる。尿毒素がたまり、血液が酸性に傾くと元気がなくなり食欲も失せる。
腎臓の構造は複雑だ。だけど腎臓の役割を理解しておくと、これまでに分からなかった患者さんの病態、加齢に伴う病態の変化も理解できるようになる。
腎の構造を知らないと「CKDはなぜ治らない病気なの?」とか、「糖尿病の症例って最初は腎機能がとびきりいいのに、いったん悪くなりかけるとなんで急激に悪化して透析導入になってしまうの?」とか、「なんで腎臓は高血圧に弱いの?」などについて理解できないし、薬剤師なのにサイアザイド系利尿薬とループ利尿薬の違いを説明できない、フォシーガⓇなどのSGLT2阻害薬、RAS阻害薬、ケレンディアⓇなどのMRA、ネスプⓇなどのESA、ダーブロックⓇなどのHIF-PH阻害薬などの腎に作用する薬の作用がいまいち理解できない。だから患者さんに「腎臓を守るにはどうすればいいのか」についてもわかりやすく説明できなくなる。これらをできるだけ理解して「あんたの言ってくれたことが一番分かりやすかった」といわれるような薬剤師になろうね。
お申し込みは こちら から
【申込期限:講演会開始直前まで】
【定員:300名】
お支払いが完了していれば、開始直前でもご視聴いただけます。また、受講者の方は講演終了後、数日後から1週間、オンデマンド配信にて繰り返しご聴講いただけます。あわせて、講演終了後に講演スライドをお送りいたします。
2026年9月10日(木)開催の平田の薬剤師塾のお知らせです。
◆第79回「平田の薬剤師塾」初心者コースのテーマは
腎臓が何をやっているか?(1)糸球体編~足細胞は再生できないから腎機能がよくなることはない~ (初心者編)です。
腎臓は2つ合わせて500gしかないけど、心臓から送られてくる血液の20~25%、つまり1日1500~2000Lが腎臓を通っている。その中の10%にあたる150~200Lの濾液(原尿)が作られる。でも尿量はその1%の1日1.5L程度だよね。なんて「無駄に濾過してるんだろ?」と思わないでほしい。これだけの余力があるから多くの人は腎臓病にならなくてすんでいるのだから。
腎機能は糸球体濾過速度(GFR)で表す。CKDの定義はGFR<60mL/min/1.73m2ということは常識だよね。正常値は100mL/min/1.73m2だけど、じゃあ中年男性で150mL/min/1.73m2の人は腎機能が高いから、素晴らしい?もしもその方が糖尿病になっていたら血糖値が高すぎるために、尿細管で多すぎるブドウ糖を再吸収しきれずに尿糖が排泄されて、多尿になる。高血糖のため血清浸透圧も上がるから無性に喉が渇き多飲になり、さらに多尿になる。GFRが150mL/min/1.73m2ということは糸球体過剰濾過を表す。糸球体内圧が高いため、放っておくとアルブミンが尿中に漏れ出てくる。「口渇・多尿・多飲」以外の症状は何にもなく、元気だからって放っておくと次第に糸球体の濾過膜が破綻するし、血管も動脈硬化が進行する。そのうち心臓も血管も悲鳴を上げるようになる。「尿中アルブミンは全身の血管が傷つき、傷み始めているシグナル」なんだ。だからCKDの診断基準にアルブミン尿・タンパク尿も極めて重要な指標なのだ。
正常の1.5倍の腎機能は腎臓の機能が素晴らしく良いからではなく、腎臓がむち打たれて疲弊していることを表している。放っておくと顕性アルブミン尿から糸球体濾過膜が壊れて、通常の大きなタンパク質も漏れ出て、一気に腎機能が悪化して透析導入になる。これが典型的な糖尿病性腎症だ。
そして腎臓に病気があるなんて全く思っていなかったけど、血圧が高いのを放っておくと70~80歳代になって腎硬化症で透析導入になる方が多い。あるYouTuberが「降圧薬って製薬メーカーと医師がグルになってもうけるために投与してるんだよ。血圧は年齢+90くらいでちょうどいい」とか言うのを信じていると、腎臓だけじゃなく心血管系にも障害が及んでくる。「○○をのむだけでみるみる腎機能がよくなる」とか「eGFR40が70mL/min/1.73m2に改善した」なんて嘘だよ。一度失われた足細胞は再生できないから、CKD患者の腎機能がよくなることはないんだ。
今回、「放っておくと」という言葉を何回使っただろう。放っておく(これを医師・薬剤師のイナーシャと呼びたい)とあれだけ余力のあるはずだった腎機能、そして腎臓を守るための様々な仕組みがあっという間に崩壊してしまうのだ。でもその悪化速度をかなり緩やかにできる薬物療法が確立しつつあるということは知ってるよね。あとはアナタの薬剤師力によって血糖管理、血圧管理をわかりやすく指導し、腎臓を守る素晴らしい薬を副作用の心配することなく、患者さんが確実に「飲みたくなるような服薬指導する」、そして「危ないサインがあるのに放っておく」のをやめさせるのが薬剤師の極めて重要な役目だ。皆さん、ちゃんとできてる?
お申し込みは こちら から
【申込期限:講演会開始直前まで】
【定員:300名】
お支払いが完了していれば、開始直前でもご視聴いただけます。また、受講者の方は講演終了後、数日後から1週間、オンデマンド配信にて繰り返しご聴講いただけます。あわせて、講演終了後に講演スライドをお送りいたします。
◆第79回 9月10日(木)初級者編 お申込はこちらから
腎臓が何をやっているか?(1)糸球体編
◆第80回 9月17日(木)中級者編 お申込はこちらから
腎臓が何をやっているか?(2)尿細管編
※お申し込み期限は講演会開始直前までとなります。
お申し込みの際は 免責事項 をご確認のうえお手続きください。
7月16日(木)開催の、「抗菌薬適正使用の理論と実践 実践編」について以下のような質問をいただきましたので回答させていただきます。
Q.セフトリアキソンのことで質問です。
7月16日(木)開催の、「抗菌薬適正使用の理論と実践 実践編」について以下のようなアンケートの回答をいただきました。原文のまますべてのアンケート内容を紹介させていただきます。
%T> MICを考えるうえで、投与回数だけでなくて投与時間も関係している事は全然気がつけていなかったのでとても助かりました。今後とても活かせそうです。
よく理解できない点も毎回繰り返し説明をお聞きすることで、実践にも活用できるようにと、参加させていただいております。
抗菌薬の使い方を理論に基づき教えて頂き、理解が深まりました。今まで疑問に思っていた事が腑に落ちました。ありがとうございました。
いつも勉強させて頂いております。今回も現場で役立つ内容だと思っておりますが、途中からの参加となったため、オンデマンドでしっかり学習させて頂きます。
抗菌薬の使い方を初歩から勉強中なので、とても勉強になりました。培養結果からの考え方をもっと学びたいです。
少し難しく感じました。ありがとうございます。
PK-PD理論の活用術の例や、症例での抗生剤選択例、投与量設計のお話をもっと聞きたかったです。AUC、MICのところは日々の業務考えることがないので今回の講義でグラフをみたりするのが新鮮でした。
7月9日(木)開催の、「抗菌薬適正使用の理論と実践 序論」について以下のような質問をいただきましたので回答させていただきます。
Q.本日は貴重なご講演をありがとうございました。
A.「飲み切らないと耐性菌が増える」は実証されているか?を直接検証した臨床論文はあるか?という問いの結論は、この因果関係を直接・実臨床で検証したRCT(無作為化比較試験)や前向きコホート研究は存在しないというのが現状です。
ただし飲むのをやめると抗菌薬濃度が低下し、耐性化しますが、in vitro・動物実験・PK/PDモデルで一貫して支持されるメカニズムですが、あくまでin vitroの理論です。つまり「中途半端な濃度で薬をさらすと、菌が薬に慣れてしまうだろう」という実験室(試験管内)のロジックから生まれた定説に過ぎなかったのです。
それどころか近年の国際的な医学界では、「症状が消えたら、むしろ早くやめた方が耐性菌のリスクを減らせるのではないか」という、これまでの常識を覆す議論が主流になりつつあります。
2010年代以降、世界的な医学誌(The BMJ や The Lancet など)で、「一律の飲み切り指導は科学的根拠を欠いており、むしろ耐性菌の増加につながる恐れがある」という論文が相次いで発表され、大きな議論を呼びました。
Llewelyn MJ: The antibiotic course has had its day. BMJ 2017; 358 doi: https://doi.org/10.1136/bmj.j3418 PMID: 28747365では抗生物質に関する一般向け情報では、処方された抗生物質の服用を最後まで完了しない患者が、自分自身や他者を薬剤耐性のリスクにさらすことを強調することが多い。例えば、2016年の「抗生物質啓発週間」を支援する資料の中で、WHOは患者に対し、「たとえ体調が良くなったとしても、必ず処方された期間通りに服用を完了してください。治療を早期に中止すると、薬剤耐性菌の増殖を助長するからです」と助言している。同様の助言は、オーストラリア、カナダ、米国、および欧州における各国のキャンペーンでも見られる。また、英国では、中等教育課程のカリキュラムに事実として盛り込まれている。
しかし実験室の菌とは違い、人間の体には無数の「常在菌(善玉菌も含めた体内の菌)」がいる。必要以上に長く抗菌薬を飲み続けると、ターゲット以外の常在菌まで長期間薬にさらされることになり、結果として体内の常在菌が耐性化してしまうという明確なリスクが指摘されている。
ということで市中肺炎や尿路感染では日本では7~14日間の投与が一般的になっているかもしれませんが、禁煙のエビデンスでは3~5日で十分、長期投与すると副作用や耐性菌リスクがふえるだけだそうです。
ベテラン薬剤師の皆さん、ICTやASTが病院になかったころ、術後感染予防と称してセファゾリンなどを1~2週間投与してましたよね。何のエビデンスもないのに。
Q.先生が殺菌性抗菌薬と静菌性抗菌薬の表を作られていましたが、どのように考えて形ができあがったのでしょうか?勤めている病院(高齢者の長期療養型)では、グラム染色やTDMを行わない為、{今日の治療薬}の抗菌薬の表で菌の名称を見ていると、さらに混乱してきます。ざっくりとしたかんじで理解したいです。よろしくお願いします。
A.殺菌性抗菌薬と静菌性抗菌薬の表を作ったのは僕ではなく、以前も今もいろんな本に載っていると思います、ただし腎排泄性化肝代謝かというのは僕の専門なので、このデータを外挿すると殺菌性抗菌薬は腎排泄、静菌性抗菌薬は肝代謝にたまたま分かれたことに気づきました。βラクタム系、グリコペプチド系などの細胞壁合成阻害薬は菌の外側に作用する薬が多く、親水性(水に溶けやすい)の分子構造をしている。ただしキノロンのようにDNAに作用する薬もありこれらは例外的に脂溶性だけど、モキシフロキサシンなどは肝代謝だから例外的に殺菌的抗菌薬と覚えました。アミノグリコシド系もタンパク質合成阻害薬ですが強い「殺菌性」を持っているのも実は例外ですがちゃんと水溶性ですね。
そして静菌性抗菌薬は菌の細胞膜を通り抜けて内部に入り、リボソームに作用してタンパク合成を阻害する薬が多いですよね。そのためには細胞膜(脂質二重層)を通過しやすいよう脂溶性が高く、分子が大きく複雑になるというように理屈をつけました。
僕は記憶力が非常に悪いので、何とかして理屈をつけないと覚えられないのです。殺菌性抗菌薬は腎排泄、静菌性抗菌薬は肝代謝だと覚えやすい。合わないものは例外として考えると覚えやすくなると思っています。
グラム染色は僕もやったことがありません。でもグラム染色によって細菌を分類することによって様々な分類ができる発見があって、記憶しなくても理屈で理解できるようになる情報がありますので、記憶力の良くない僕にとっては、このようにしてざっくりとしたかんじで理解しようとしています。この方法は覚えるよりも時間がかかるかもしれませんが、忘れにくい利点があります。
Q.脳外術後の手術部位感染SSI(Surgical Site Infection)で髄膜炎となり、髄液から非結核性抗酸菌が検出された患者がいました。その際4剤の抗菌薬を投与したのですが、その中にAMKとLVFXが含まれていたのですが、移行性的には不適切だったのでしょうか。
A.非結核性抗酸菌症(NTM症)治療薬のCSF移行性はキノロン系ではVdはモキシフロキサシン>シプロフロキサシン>レボフロキサシンと言われており、Vdが大きいキノロンがCSF移行性がよいと思いますので、僕だったらレボフロキサシンよりもモキシフロキサシンを提案するかもしれません。またアミカシンは親水性・高分子量でBBB通過困難と言われています。ただしこれは菌種がM. rhodesiaeによるCNS感染の症例報告からですので、具体的な菌種が分かないと正確な情報は得にくいです(Chen S, et al: Front Me 2024; PMID: 38882659より引用)。