例えば、スピロノラクトンって僕はどう発音するかわからなかったのですが、英語版の医療用Youtubeを聞いていると分かりました!スピロノラクトンの発音記号はspʌɪ.ɹən.ə(ʊ)ˈlæk.təʊnとなっていましたが、スパ‘イロノラクトゥンという感じです。ではアルドステロンはælˌdo‘ʊstəroʊnでアルド’ウステロンです。う~ん、勉強になる!国際学会の講演やディスカッションでもこれで聞き取れそうです。おすすめの医学系Youtube英語版はNinja NERDなどがあります(図1)。
輸入細動脈と輸出細動脈は英語では混同しそう
そこで気付いたことですが、腎臓オタクでごめんなさい。輸入細動脈は英語でafferent arterioleで輸出細動脈はefferent arterioleですよね(図2)。でも日本人にとってこの2つの発音の仕分けが極めてむつかしい。発音記号で書くとǽfərənt ɑrtíriòul とéfərənt ɑrtíriòul だからネイティブの米国人どうしの会話でも聞き間違えそうな気がします。聞き間違えないようにするためでしょうか、ある医療系米国人Youtuberは輸入細動脈のafferent の発音はどちらかというとéifərəntとわざと強調し、輸出細動脈の発音は弱めに発音していました。
医学英語・薬学英語の語句・発音を知るには?
弱った英会話能力を復活させる方法 -前編- 弱った英会話能力を復活させる方法 -後編-でも紹介しましたが、「キクタンメディカルの薬剤編」、「トシ、聴くだけであなたの医療英単語が100倍になるCDブックよ。」を聞き流すだけでも医学用語には強くなれると思います(図3)。うまく使いこなして活用すればischemic colitisは虚血性腸炎、acute pancreatitisは急性膵炎ってわかりますね。その前に病院や大学の医局でやっている抄読会に参加させてもらえばこれらの専門用語が英語で飛び交いますので、自然に医学英語が身に着きます。
悪液質、つまりがんなどによる栄養不良状態をカヘキシアと言いますが、これはギリシャ語の「kakos(悪い)」と「hexis(状態)」からきており、英語ではありません。英語でCachexiaの発音はkəkéksiəカケクスィアなので、カヘキシアでは通じません。でもこれはつづりをそのまま読めば、kəkéksiəになるって分かりますよね。
また痛風発作の予防、欧米人に多い家族性地中海熱に使うコルヒチンcolchicineは1820年に生まれた非常に古い薬です。高校生の時に種なし西瓜を作るときに使う薬物だと生物で習いました。この発音はkɑ’ltʃəsìːn カァルチャシィーンで、英国語圏では全く通じません。古い薬だからドイツ語なのかなと思いましたが、ドイツ語ではKolchizinです。由来は調べても分かりませんでしたが、これもつづりをそのまま読めば、kɑ’ltʃəsìːnになりますね。
まだ未解明な情報を捜すのにWebでは様々な文献を閲覧できますが、日本語Youtubeとなると情報量が極めて少なく、内容が偏ったものもあります。医学英語の発音を学ぶために僕が活用しているのは英語版Youtubeです。例えばSGLT2阻害薬の投与によって産生されるケトン体が身体によいのか、悪いのかについてはPubMed検索と同様に「SGLT2 inhibitorと ketone body」でかなり絞れます。「英語のYoutubeが100%理解できる?」って言われるとちょっと厳しいです。90%以上の単語を知らないと全体のことを把握するのはむつかしいのですが、僕は英検準1級を持っていますが、得意な分野でも80%程度しかわからないので、やはり完璧に理解するのは難しいのです。でもYoutubeの翻訳機能を利用すれば、だいたい分かるようになりますし、気楽に聞けます。だから医療英会話が上達するため、というよりも医療英語をどう発音するかが分かるのが、英語版の医療系Youtubeのいいところです。
後編に続く
和製英語と気づかずに英会話で使っていませんか?「一番好きなお菓子は?」と聞かれて「シュークリーム」と答えると英語圏の人はもちろんshoe creamと聞こえるので「えぇ!靴ずみ?」と大爆笑されてしまいます。シュークリームの語源はシュー・ア・ラ・クレーム(chou à la crème)というフランス語(シューはキャベツ)からきているらしいのです。そういえば形はキャベツみたいですね。シュークリームは英語でcream puffですね。エクレアもフランス語ですが、これは英語でも日本と同じéclairかchocolate éclairで通じます。
1 セールスポイント
2 トライ&エラー
3 ハードスケジュール
4 プリント
5 ミキサー
6 ハンドル
7 ウインカー
8 ジェットコースター
9 ベビーカー
10 ロールキャベツ
11 コインランドリー
12 ピンセット
13 バックミラー
14 ビーチサンダル
15 リサイクルショップ
16 フロント(ホテルなど)
17 アメリカンドック
18 ソフトクリーム
19 ガードマン
20 ガッツポーズ
通じそうで通じない和製英語はこのほかにもありますが、アンケートはquestionnaire、コンセントはoutlet、マフラーはscarfなど、この程度までは僕もかろうじて分かりますが、以上の20の語句はすべて和製英語、僕が分からなかったものばかりです。英語では何というでしょう?答えは下です。1問5点で100点満点です。僕は30点でしたが、あなたは何点取れました?
— 解 答 ———————————————————————–
1 セールスポイント → selling point
2 トライ&エラー → trial and error
3 ハードスケジュール → a tight schedule
4 プリント → handout
5 ミキサー → blender
6 ハンドル → steering wheel
7 ウインカー → turn signal
8 ジェットコースター → roller coaster
9 ベビーカー → stroller
10 ロールキャベツ → stuffed cabbage
11 コインランドリー → laundromat/laundry
12 ピンセット → tweezers
13 バックミラー → rearview mirror
14 ビーチサンダル → flip flops
15 リサイクルショップ → secondhand store
16 フロント(ホテルなど) → reception
17 アメリカンドック → corn dog
18 ソフトクリーム → soft serve ice cream
19 ガードマン → a guard
20 ガッツポーズ → victory pose
覚せい剤をなぜシャブと呼ぶかの由来は諸説ありますが、「依存性が極めて強く、身も心もボロボロになるまで、骨までシャブられる」からきているらしいのです。完璧に日本語ですよね。だけどオンライン英会話でフィリピン人講師と話してたら覚せい剤のメタンフェタミンのことを「シャブー(フィリピン人教師は「ブ」にアクセントshabú)」というのです。「え、これって日本語じゃないの?」と思い、よく調べてみるたら第2次世界大戦中に日本兵や特攻隊員、労働者も使用していたので、日本軍が進駐していた東アジアから東南アジアでも日本兵や労働者に使っていたメタンフェタミンのことをshabúと呼ばれるようになったらしいのです(おそらく)。
医師の指導で使われる疾病治療薬として、メタンフェタミンは商品名ヒロポンⓇとして住友ファーマ株式会社から製造され、今も医療用として販売されており、以下のような適応症があります。
〇下記疾病・症状の改善
ナルコレプシー、各種の昏睡、嗜眠、もうろう状態、インスリンショック、
うつ病・うつ状態、統合失調症の遅鈍症
〇手術中・手術後の虚脱状態からの回復促進及び麻酔からの覚醒促進
〇麻酔剤、睡眠剤の急性中毒の改善
依存性が高くて一般使用は強く禁じられているので麻薬と混同されがちですが、覚せい剤は神経を興奮させる作用があり、使用すると眠気や疲労感が消失します。麻薬のうちコカインや大麻にも覚醒作用がありますが、ヘロイン、アヘン、モルヒネはなどのオピオイドは神経を抑制するので、まったく逆の作用を持ちます。
薬学性も受験勉強にヒロポン
15年位前の話、大阪薬科大学の同窓会でお会いした90歳以上の大先輩の女性から、「試験前にはみんなヒロポンのんで徹夜で勉強してたのよ」とお聞きしました。もう1つの興味深い話に「関西学院大学(関学)に薬学部があったんだけど、台風で校舎が壊れちゃって薬学部が廃止になったのよ」というのもお聞きしましたが、いくら調べても関学に薬学部があったという事実に行きあたらないので調査中です。これについてはまたいつか・・・・。