薬物動態学が苦手なあなたへ

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『薬物動態学が苦手なあなたへ』の目次です。

1限:導入講義 薬剤師の存在価値はどこにある?

2限:プロプラノロールとアテノロールの違いからADMEを知ろう!

3限:バイオアベイラビリティを理解しよう

4限:分布に関わる分布容積・蛋白結合率を理解しよう。

5限:代謝による消失と排泄による消失を知ろう!

6限:クリアランス、半減期を理解できれば投与量・投与間隔の設定ができる!

7限:動態が分かれば副作用や相互作用も予測できるぞ!

 

 

7限目:動態が分かれば副作用や相互作用も予測できるぞ!
透析によって除去されるかどうかだって予測可能だ。
最終回なのでプロプラノロールとアテノロールの違いを紹介!

今回の要約:
①脂溶性薬物は脳に移行しやすいため中枢性副作用が起こることがある。
②水溶性薬物は脳に移行しにくいため中枢性副作用の発現頻度は低い。
③脂溶性薬物は透析で除去されにくい。
④一般的に水溶性薬物は透析で除去されやすい。
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6限目:クリアランス、半減期を理解できれば投与量・投与間隔の設定ができる!

今回の要約:
①水溶性薬物は腎不全患者で減量が必要である。
②腎機能は加齢とともに低下する。
③脂溶性薬物は肝不全患者では減量・投与間隔の延長が必要であろうが、減量指標となる検査値はないので、血中濃度を測定しないと投与設計できない?
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5限目:代謝による消失と
               排泄による消失(代謝および排泄経路)を知ろう!

今回の要約:
①脂溶性薬物は肝で代謝されることにより血中から消失する。
②水溶性薬物は腎から排泄されることにより血中から消失する。 この続きは登録ユーザーのみ閲覧できます

4限目:分布に関わる分布容積・蛋白結合率を理解しよう。
    血中濃度がどれくらい上がるかが理解できるぞ!

今回の要約:
①脂溶性薬物は組織に移行しやすいため概して分布容積が大きい。
②ただし蛋白と結合しやすい薬物は血中にとどまるため、脂溶性薬物でも分布容積が小さくなることもある。
③水溶性薬物は細胞外液に存在しやすく組織に移行しにくいため分布容積が小さい。
④分布容積が分かると初回投与時の血中濃度が予測でき、2回目以降の血中濃度の上がり幅が分かる。そして
⑤クリアランスに比べてVdの個人差は小さいため、投与設計に利用しやすい。
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3限目:バイオアベイラビリティを理解しよう
    ~吸収率と肝初回通過効果~

今回の要約: バイオアベイラビリティが低い原因は2つと理解する!
①脂溶性薬物の消化管吸収は良好だが、初回通過効果を受けやすいからFが小さいと考える。
②水溶性薬物は初回通過効果を受けにくいが、吸収率が不良だからFが小さいと考える。
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2限目:プロプラノロールとアテノロールの違いからADMEを知ろう!

今回の要約:
①Ca拮抗薬、ARB、α遮断薬はすべて肝代謝型薬物なので腎機能が低下しても減量の必要はない。
②ACE-I、ループ利尿薬・サイアザイド系利尿薬、クロニジンは腎排泄型降圧薬。
③β遮断薬だけは薬によってさまざまでアテノロール、ナドロール、カルテオロールだけは腎排泄、それ以外は肝代謝と覚えよう。
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1限目:導入講義 薬剤師の存在価値はどこにある?

今回の要約
①薬物動態の考え方は薬剤師にとって大きな武器になる。これが医師との違い、薬剤師のアイデンティティといって過言ではない!
②だけど難解な薬物動態学の理論を理解しなくちゃいけないと思うと憂鬱になる。薬のそれぞれの性質・特徴を知ること、つまり「薬への興味」が薬物動態の習得につながると考えると楽しくなる。 この続きは登録ユーザーのみ閲覧できます

薬物動態学が苦手なあなたへ ~記憶することなく理解する~

 2020年3月末に神戸に移り住んで、これまでの熊本と同じように定期的に薬剤師塾を開催したいと思っていました。5月にはI&H株式会社(阪神調剤グループ)の研修室を借りて阪神調剤の薬剤師だけに関わらず、病院薬剤師・保険薬局薬剤師あるいは医師の区別なく、活気のある薬剤師塾を開催する予定でした。でも今、この新型コロナウイルスの緊急事態のために、e-ラーニングか、文章で発信するしかありません。僕は昨年秋に高齢者の仲間入りしたので、少々焦っています。むっちゃ元気だから余命はたぶん長いと思うけど、いつボケるかわからないのです。本来ならば、対面で熱いディスカッションをしたいけれど、みなさんに知ってもらいたいことをブログで発信しようと思います。この内容はじほうの「透析患者の投薬ガイドブック」の改定第2版1)までの一番最初に書いてきたことですが、改訂3版から、同じことを繰り返したくないのでお蔵入りになったネタを大幅に書き直し加筆しました。「薬物動態が苦手」という方のために難解な式は使わず、薬の特徴が理解できるように書いたつもりです。薬に興味を持っていただくために、読んだことのない若い人たちにはぜひとも読んでいただきたいと思います。

明日より、7回にわたり連載致します!

引用文献
1. 平田純生, 和泉 智, 古久保 拓, 編: 改訂2版 透析患者への投薬ガイドブック. じほう, 東京, P1-666, 2009


プロフィール

平田純生
平田 純生
Hirata Sumio

趣味は嫁との旅行(都市よりも自然)、映画(泣けるドラマ)、マラソン 、サウナ、ギター
音楽鑑賞(ビートルズ、サイモンとガーファンクル、ジャンゴ・ラインハルト、風、かぐや姫、ナターシャセブン、沢田聖子)
プロ野球観戦(家族みんな広島カープ)。
それと腎臓と薬に夢中です(趣味だと思えば何も辛くなくなります)

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