薬剤師塾オンライン

2026年9月17日(木)開催の平田の薬剤師塾のお知らせです。

◆第80回「平田の薬剤師塾」初心者コースのテーマは
腎臓が何をやっているか?(2)尿細管編~腎臓の最も重要な体液の恒常性維持は尿細管の仕事~(中級者編)

 「腎臓は何をやっている臓器?」とたずねると多くの方が「腎臓って尿を作る臓器でしょ?」と答えてくれる。間違いではないけど、腎臓はもっと高度で精密な仕事をしている。排泄する尿中に含まれているものはすべて不要なもの、余剰なものであって、必要なものは尿細管で再吸収してくれるから、必要な栄養素を失うことなく、いつも体液中の電解質濃度を一定に保ち、水分量やpHを一定に保ってくれている。だからいつも健やかな生活を送ろうとするのに腎臓はとても大切な働きをしている。

 腎機能が低下すると何が起こる?高リン血症から低カルシウム血症、そしてPTHが過剰分泌されるので骨を溶かしてCaを上げる、いわゆるCKD-MBDだから骨まで脆くなるし血管が石のようになってしまう。腎性貧血によって疲れやすくなり、高カリウム血症によって不整脈によって突然死の危険性が高まる。尿毒素がたまり、血液が酸性に傾くと元気がなくなり食欲も失せる。

 腎臓の構造は複雑だ。だけど腎臓の役割を理解しておくと、これまでに分からなかった患者さんの病態、加齢に伴う病態の変化も理解できるようになる。

 腎の構造を知らないと「CKDはなぜ治らない病気なの?」とか、「糖尿病の症例って最初は腎機能がとびきりいいのに、いったん悪くなりかけるとなんで急激に悪化して透析導入になってしまうの?」とか、「なんで腎臓は高血圧に弱いの?」などについて理解できないし、薬剤師なのにサイアザイド系利尿薬とループ利尿薬の違いを説明できない、フォシーガなどのSGLT2阻害薬、RAS阻害薬、ケレンディアなどのMRA、ネスプなどのESA、ダーブロックなどのHIF-PH阻害薬などの腎に作用する薬の作用がいまいち理解できない。だから患者さんに「腎臓を守るにはどうすればいいのか」についてもわかりやすく説明できなくなる。これらをできるだけ理解して「あんたの言ってくれたことが一番分かりやすかった」といわれるような薬剤師になろうね。

お申し込みは こちら から
【申込期限:講演会開始直前まで】
【定員:300名】
 お支払いが完了していれば、開始直前でもご視聴いただけます。また、受講者の方は講演終了後、数日後から1週間、オンデマンド配信にて繰り返しご聴講いただけます。あわせて、講演終了後に講演スライドをお送りいたします。

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2026年9月10日(木)開催の平田の薬剤師塾のお知らせです。

◆第79回「平田の薬剤師塾」初心者コースのテーマは
腎臓が何をやっているか?(1)糸球体編~足細胞は再生できないから腎機能がよくなることはない~ (初心者編)です。

 腎臓は2つ合わせて500gしかないけど、心臓から送られてくる血液の20~25%、つまり1日1500~2000Lが腎臓を通っている。その中の10%にあたる150~200Lの濾液(原尿)が作られる。でも尿量はその1%の1日1.5L程度だよね。なんて「無駄に濾過してるんだろ?」と思わないでほしい。これだけの余力があるから多くの人は腎臓病にならなくてすんでいるのだから。

 腎機能は糸球体濾過速度(GFR)で表す。CKDの定義はGFR<60mL/min/1.73m2ということは常識だよね。正常値は100mL/min/1.73m2だけど、じゃあ中年男性で150mL/min/1.73m2の人は腎機能が高いから、素晴らしい?もしもその方が糖尿病になっていたら血糖値が高すぎるために、尿細管で多すぎるブドウ糖を再吸収しきれずに尿糖が排泄されて、多尿になる。高血糖のため血清浸透圧も上がるから無性に喉が渇き多飲になり、さらに多尿になる。GFRが150mL/min/1.73m2ということは糸球体過剰濾過を表す。糸球体内圧が高いため、放っておくとアルブミンが尿中に漏れ出てくる。「口渇・多尿・多飲」以外の症状は何にもなく、元気だからって放っておくと次第に糸球体の濾過膜が破綻するし、血管も動脈硬化が進行する。そのうち心臓も血管も悲鳴を上げるようになる。「尿中アルブミンは全身の血管が傷つき、傷み始めているシグナル」なんだ。だからCKDの診断基準にアルブミン尿・タンパク尿も極めて重要な指標なのだ。

 正常の1.5倍の腎機能は腎臓の機能が素晴らしく良いからではなく、腎臓がむち打たれて疲弊していることを表している。放っておくと顕性アルブミン尿から糸球体濾過膜が壊れて、通常の大きなタンパク質も漏れ出て、一気に腎機能が悪化して透析導入になる。これが典型的な糖尿病性腎症だ。

 そして腎臓に病気があるなんて全く思っていなかったけど、血圧が高いのを放っておくと70~80歳代になって腎硬化症で透析導入になる方が多い。あるYouTuberが「降圧薬って製薬メーカーと医師がグルになってもうけるために投与してるんだよ。血圧は年齢+90くらいでちょうどいい」とか言うのを信じていると、腎臓だけじゃなく心血管系にも障害が及んでくる。「○○をのむだけでみるみる腎機能がよくなる」とか「eGFR40が70mL/min/1.73m2に改善した」なんて嘘だよ。一度失われた足細胞は再生できないから、CKD患者の腎機能がよくなることはないんだ。

 今回、「放っておくと」という言葉を何回使っただろう。放っておく(これを医師・薬剤師のイナーシャと呼びたい)とあれだけ余力のあるはずだった腎機能、そして腎臓を守るための様々な仕組みがあっという間に崩壊してしまうのだ。でもその悪化速度をかなり緩やかにできる薬物療法が確立しつつあるということは知ってるよね。あとはアナタの薬剤師力によって血糖管理、血圧管理をわかりやすく指導し、腎臓を守る素晴らしい薬を副作用の心配することなく、患者さんが確実に「飲みたくなるような服薬指導する」、そして「危ないサインがあるのに放っておく」のをやめさせるのが薬剤師の極めて重要な役目だ。皆さん、ちゃんとできてる?

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◆第77回 8月13日(木)初級者編 お申込はこちらから
 症例に基づいたCKD患者の薬物適正使用(初心者編)

◆第78回 8月20日(木)中級者編 お申込はこちらから
 症例に基づいたCKD患者の薬物適正使用(中級者編)

◆第79回 9月10日(木)初級者編 お申込はこちらから
 腎臓が何をやっているか?(1)糸球体編

◆第80回 9月17日(木)中級者編 お申込はこちらから
 腎臓が何をやっているか?(2)尿細管編

※お申し込み期限は講演会開始直前までとなります。
 お申し込みの際は 免責事項 をご確認のうえお手続きください。

今後の開催予定はコチラから
過去の開催(アンケート・質問)はコチラから

7月16日(木)開催の、「抗菌薬適正使用の理論と実践 実践編」について以下のような質問をいただきましたので回答させていただきます。


Q.セフトリアキソンのことで質問です。胆泥を作ることは有名ですが、胆道系の胆石閉塞機転由来の感染には使わない方が良いのでしょうか。一般的にはドレナージが第一選択かと思われますが、当院ではとりあえず抗菌薬で様子を見ようとする傾向があります。主にスルペラゾンCPZ/SBTです。

A.胆泥といういよりも胆石ではないでしょうか?おっしゃる通り、胆道閉塞由来の感染(急性胆管炎)はドレナージが根本治療であり、抗菌薬は補助的位置づけです。
抗菌薬としてのセフトリアキソンのタンパク結合率は90%と高いため、糸球体濾過されるのはわずか10%なので腎CLが低い。では非腎CLの胆汁排泄CLもかなり低いので、総CLが低いため、半減期がβラクタム系で最も長く、1日1回の投与が可能になっています。また尿中および胆汁排泄率はともに50%ですが、腎機能低下によって遊離型濃度が上昇して胆管中のCaと結合して胆石となって胆嚢炎、胆管炎、膵炎等を起こすと考えられ、低アルブミン血症ではさらに遊離型セフトリアキソン濃度が高くなるため発症しやすいとされています。
それに対してスルペラゾンは胆汁中濃度が高く、嫌気性菌カバーも有し、胆道感染症に理にかなった選択だと思います。

Q.透析施設の門前の薬局薬剤師です。初回投与量は500㎎(以降1日おきに250って)の投与推奨されているもご存じなDrなのですが、透析患者の尿路感染や下痢の症状にクラビット250mgを分1連日投与3日分の処方に対して、疑義照会をしても処方変更には至りません。血中濃度が高く維持できるため、250mg分1で十分効果あるとは思うのですが、その後連日投与することで、説明すべき点があったら、教えてください。

A.透析患者の下痢に抗菌薬の投与はいかがなものでしょう。透析患者はClostridioides difficile関連下痢症に罹患しやすいので、クラビットを投与する前に、まずはミヤBMあたりで様子を見るのがよいかと思います。透析患者に安易に広域抗菌薬を投与することによってClostridioides difficile関連下痢症を誘発するリスクの方が高いでしょう。下痢が細菌性であると明らかであれば、抗菌薬を投与しますが、原因菌によって使う抗菌薬が変るはずです。例えばサルモネラ・カンピロバクターだったらキノロンを使うでしょうが、サルモネラ感染が起こるというのは非常に特殊で新聞に載りそうですね。
透析患者は尿量が減少しますので、尿路感染に罹患しやすく、キノロンが使われルこともあると思います。でも尿中未変化体排泄率87%と高いので、腎臓および腎臓以降の尿路内濃度は極めて高い濃度になっていると思いますので初回負荷投与も必要ないでしょうし500mg投与しないと耐性化する心配も尿路感染ではありません。クラビットの半減期は透析患者ではかなり延長しますので、1回投与で十分、尿路感染には効くと思いますので、
「3日分、投与することによって副作用などが心配。1日で十分」という疑義照会はありだとは思います。
ただし250mgを連日3日投与しても深刻な中毒性副作用を起こすとは思えませんし、Fが99%と極めて高いので腸内細菌叢への影響もあまりないと思います。3日間の投与だけでクラビットが耐性化する可能性も低いでしょう

Q.薬局薬剤師でもできる抗菌薬の薬物動態の知識の利用法は何かありますでしょうか?TDMをしなくてもある程度、薬物動態パラメーターがあれば、平均血中濃度や最高血中濃度、最低血中濃度の推定ができるようになれればいいなと考えていますが、どんな練習をすればよいでしょうか?

A.薬物動態は吸収・分布・代謝・排泄と幅広いのですが、やはり医師が習っていない薬物動態の基礎を知ることは大切です。臨床に即したわかりやすい動態に関する本を読んで勉強することは必要だと思います。書店に行って臨床を意識して書かれたわかりやすい教科書を選んで勉強してください。ちなみに僕は菅野彊先生の本がわかりやすかったので、これから始め、5冊くらい読み込みました。

Q.本日は貴重なご講演を誠にありがとうございます。いずれも水様便、湿疹の副作用歴があり、サワシリン、フロモックス、クラリス、クラビットNGの患者さん(男児:20kgまたは70才女性:40kg)、転倒して後頭部を5針縫いました。この方に投与すべき抗菌薬、抗生剤はどのような手順で決定すべきでしょうか。よろしくお願いいたします。

A. 2症例とも3種類の異なった系の抗菌薬で水様便、湿疹の副作用を起こすなんて奇跡のようですね。しかも2症例とも後頭部を5針縫ったのは偶然とは思えませんので、ほんとかなと疑ってしまいます。抗菌薬投与後の水様便はあり得ますし、抗菌薬投与後の湿疹はアレルギー性の副作用とは思いますが、どちらも重篤でなければ抗菌薬が必要であれば投与せざるを得ないでしょうし、5針縫っただけでは、予防的な抗菌薬投与をしなくても消毒してガーゼ交換するだけでもいいんじゃないかと思います。

7月16日(木)開催の、「抗菌薬適正使用の理論と実践 実践編」について以下のようなアンケートの回答をいただきました。原文のまますべてのアンケート内容を紹介させていただきます。


%T> MICを考えるうえで、投与回数だけでなくて投与時間も関係している事は全然気がつけていなかったのでとても助かりました。今後とても活かせそうです。


よく理解できない点も毎回繰り返し説明をお聞きすることで、実践にも活用できるようにと、参加させていただいております。 


抗菌薬の使い方を理論に基づき教えて頂き、理解が深まりました。今まで疑問に思っていた事が腑に落ちました。ありがとうございました。


いつも勉強させて頂いております。今回も現場で役立つ内容だと思っておりますが、途中からの参加となったため、オンデマンドでしっかり学習させて頂きます。


抗菌薬の使い方を初歩から勉強中なので、とても勉強になりました。培養結果からの考え方をもっと学びたいです。


少し難しく感じました。ありがとうございます。


PK-PD理論の活用術の例や、症例での抗生剤選択例、投与量設計のお話をもっと聞きたかったです。AUC、MICのところは日々の業務考えることがないので今回の講義でグラフをみたりするのが新鮮でした。

7月9日(木)開催の、「抗菌薬適正使用の理論と実践 序論」について以下のような質問をいただきましたので回答させていただきます。


Q.本日は貴重なご講演をありがとうございました。質問させていただきます。抗菌薬は途中で飲むのをやめると耐性菌のリスクが高くなるので、最後まで飲み切るよう指導しますが、実際に中途半端に飲むことで、どれほどの耐性菌が発生しているという何か具体的なデータや報告はあるのでしょうか。

A.「飲み切らないと耐性菌が増える」は実証されているか?を直接検証した臨床論文はあるか?という問いの結論は、この因果関係を直接・実臨床で検証したRCT(無作為化比較試験)や前向きコホート研究は存在しないというのが現状です。

ただし飲むのをやめると抗菌薬濃度が低下し、耐性化しますが、in vitro・動物実験・PK/PDモデルで一貫して支持されるメカニズムですが、あくまでin vitroの理論です。つまり「中途半端な濃度で薬をさらすと、菌が薬に慣れてしまうだろう」という実験室(試験管内)のロジックから生まれた定説に過ぎなかったのです。

それどころか近年の国際的な医学界では、「症状が消えたら、むしろ早くやめた方が耐性菌のリスクを減らせるのではないか」という、これまでの常識を覆す議論が主流になりつつあります。

2010年代以降、世界的な医学誌(The BMJ や The Lancet など)で、「一律の飲み切り指導は科学的根拠を欠いており、むしろ耐性菌の増加につながる恐れがある」という論文が相次いで発表され、大きな議論を呼びました。

Llewelyn MJ: The antibiotic course has had its day. BMJ 2017; 358 doi:  https://doi.org/10.1136/bmj.j3418 PMID: 28747365では抗生物質に関する一般向け情報では、処方された抗生物質の服用を最後まで完了しない患者が、自分自身や他者を薬剤耐性のリスクにさらすことを強調することが多い。例えば、2016年の「抗生物質啓発週間」を支援する資料の中で、WHOは患者に対し、「たとえ体調が良くなったとしても、必ず処方された期間通りに服用を完了してください。治療を早期に中止すると、薬剤耐性菌の増殖を助長するからです」と助言している。同様の助言は、オーストラリア、カナダ、米国、および欧州における各国のキャンペーンでも見られる。また、英国では、中等教育課程のカリキュラムに事実として盛り込まれている。

しかし実験室の菌とは違い、人間の体には無数の「常在菌(善玉菌も含めた体内の菌)」がいる。必要以上に長く抗菌薬を飲み続けると、ターゲット以外の常在菌まで長期間薬にさらされることになり、結果として体内の常在菌が耐性化してしまうという明確なリスクが指摘されている。

ということで市中肺炎や尿路感染では日本では7~14日間の投与が一般的になっているかもしれませんが、禁煙のエビデンスでは3~5日で十分、長期投与すると副作用や耐性菌リスクがふえるだけだそうです。

ベテラン薬剤師の皆さん、ICTやASTが病院になかったころ、術後感染予防と称してセファゾリンなどを1~2週間投与してましたよね。何のエビデンスもないのに。


Q.先生が殺菌性抗菌薬と静菌性抗菌薬の表を作られていましたが、どのように考えて形ができあがったのでしょうか?勤めている病院(高齢者の長期療養型)では、グラム染色やTDMを行わない為、{今日の治療薬}の抗菌薬の表で菌の名称を見ていると、さらに混乱してきます。ざっくりとしたかんじで理解したいです。よろしくお願いします。 

A.殺菌性抗菌薬と静菌性抗菌薬の表を作ったのは僕ではなく、以前も今もいろんな本に載っていると思います、ただし腎排泄性化肝代謝かというのは僕の専門なので、このデータを外挿すると殺菌性抗菌薬は腎排泄、静菌性抗菌薬は肝代謝にたまたま分かれたことに気づきました。βラクタム系、グリコペプチド系などの細胞壁合成阻害薬は菌の外側に作用する薬が多く、親水性(水に溶けやすい)の分子構造をしている。ただしキノロンのようにDNAに作用する薬もありこれらは例外的に脂溶性だけど、モキシフロキサシンなどは肝代謝だから例外的に殺菌的抗菌薬と覚えました。アミノグリコシド系もタンパク質合成阻害薬ですが強い「殺菌性」を持っているのも実は例外ですがちゃんと水溶性ですね。

そして静菌性抗菌薬は菌の細胞膜を通り抜けて内部に入り、リボソームに作用してタンパク合成を阻害する薬が多いですよね。そのためには細胞膜(脂質二重層)を通過しやすいよう脂溶性が高く、分子が大きく複雑になるというように理屈をつけました。

僕は記憶力が非常に悪いので、何とかして理屈をつけないと覚えられないのです。殺菌性抗菌薬は腎排泄、静菌性抗菌薬は肝代謝だと覚えやすい。合わないものは例外として考えると覚えやすくなると思っています。

グラム染色は僕もやったことがありません。でもグラム染色によって細菌を分類することによって様々な分類ができる発見があって、記憶しなくても理屈で理解できるようになる情報がありますので、記憶力の良くない僕にとっては、このようにしてざっくりとしたかんじで理解しようとしています。この方法は覚えるよりも時間がかかるかもしれませんが、忘れにくい利点があります。


Q.脳外術後の手術部位感染SSI(Surgical Site Infection)で髄膜炎となり、髄液から非結核性抗酸菌が検出された患者がいました。その際4剤の抗菌薬を投与したのですが、その中にAMKとLVFXが含まれていたのですが、移行性的には不適切だったのでしょうか。

A.非結核性抗酸菌症(NTM症)治療薬のCSF移行性はキノロン系ではVdはモキシフロキサシン>シプロフロキサシン>レボフロキサシンと言われており、Vdが大きいキノロンがCSF移行性がよいと思いますので、僕だったらレボフロキサシンよりもモキシフロキサシンを提案するかもしれません。またアミカシンは親水性・高分子量でBBB通過困難と言われています。ただしこれは菌種がM. rhodesiaeによるCNS感染の症例報告からですので、具体的な菌種が分かないと正確な情報は得にくいです(Chen S, et al: Front Me 2024; PMID: 38882659より引用)。

7月9日(木)開催の、「抗菌薬適正使用の理論と実践 序論」について以下のようなアンケートの回答をいただきました。原文のまますべてのアンケート内容を紹介させていただきます。


セミナーありがとうございました。いつもとても勉強になります。 ありがとうございます。


暗記が苦手ですが、先生のご講演を拝聴し、理解して覚えることができると思えるようになりました。ありがとうございました。


最近脱水からのAKIで長年服用していたβブロッカーが過量になり徐脈で転院された方がいました。例えば点滴もしている間は拘束しなくてはいけなかったりで普通の治療が上手くいかない事が多くて悩んでいましたが、やっぱり答えはないと学びました。


基礎知識の再確認と新しい視点で拝聴できました。ありがとうございました。


何度勉強してもよい内容でした


とても勉強になりありがとうございました。できれば、ブログで宣伝された内容は時間内に講義していただけると助かります。それを目当てに申し込んでいますので・・・。PKPDのおはなしもききたかったです


本日も有難うございました。「抗生剤」の見かたが変わりました。


久しぶりに平田先生の抗菌剤の基本の講義を聴かせていただきました。 何回も聞くことでようやく抗菌薬が身近になってきたような気がします。 務めている病院での抗菌薬の考え方がわかるように、次回の講義も受講したいと思います。 ありがとうございました。

2026年8月20日(木)開催の平田の薬剤師塾のお知らせです。

◆第78回「平田の薬剤師塾」中級者コースのテーマは
「症例に基づいたCKD患者の薬物適正使用(中級者編)」です。

 透析導入原因疾患トップ3は糖尿病関連腎臓病、高血圧による腎硬化症、慢性糸球体腎炎です。この3大疾患の典型的な症例を基に、どのような検査値や臨床経過に注意を払い、どんな薬物療法を推奨し、どんな薬物療法を避けるべきかについて考えてみましょう。

 蛋白尿を抑え、CKDの治療薬の切り札となるSGLT2阻害薬やフィネレノンの有用性が確立しているのに、我が国の尿検査を実施率は57.5%のみ、蛋白尿定量検査実施率は16.5%のみという情けない値です。腎機能低下患者の薬物有害反応を防ぐこと、CKDの進行を緩やかにし、透析導入患者を少なくすることは医師、薬剤師の共通の命題として必須の情報は学んでおきたいものです。

お申し込みは こちら から
【申込期限:講演会開始直前まで】
【定員:300名】
 お支払いが完了していれば、開始直前でもご視聴いただけます。また、受講者の方は講演終了後、数日後から1週間、オンデマンド配信にて繰り返しご聴講いただけます。あわせて、講演終了後に講演スライドをお送りいたします。

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2026年8月13日(木)開催の平田の薬剤師塾のお知らせです。

◆第77回「平田の薬剤師塾」初心者コースのテーマは
「症例に基づいたCKD患者の薬物適正使用(初心者編)」です。

 日本の高齢化率は29.1%で2位のイタリアを5ポイント以上も離して超高齢者大国になっています。加齢とともに生理機能はすべて低下しますが最も顕著に低下するのが腎機能なのです。そのため近年の調査では成人の5人に1人、200万人がCKDと言われ、特に高齢者におけるCKD有病率は約25%と推計されています。

 ただし腎機能を表すeGFRは血清クレアチニン値を基にしているため、筋肉量が減少し、脂肪に置き換わった高齢者では腎機能が低下しても血清クレアチニン値が上がってくれないために、腎機能が過大評価され、腎排泄性薬物の過量投与による有害反応が普通に起こっているのです。最近もジソピラミドからシベンゾリンに変更したため信じられない血中濃度(2892µg/mLではなく2892ng/mLの間違い?)になったシベンゾリン中毒による心停止の報告もありましたよね。プロパフェノン(肝代謝)からピルシカイニド(腎排泄)も変更した中毒症例の報告もよくありますね。同じ分類なら排泄経路が同じとは限らないですからね。

 ミニレビューの那須先生は鎮痛薬について、特にNSAIDsを含めたトリプルワーミーの話もしていただけるそうです。今回は、どんな薬が腎機能低下患者にとって危ないのか、一緒に考えてみましょう。

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6月25日(木)開催の、「透析患者の薬物適正使用(中級者編)」について以下のような質問をいただきましたので回答させていただきます。


Q.腎性貧血はCKD stageでいうとどのあたりから顕在化してきますか?

A.CKDに伴う腎性貧血は、CKD stage 3(eGFR<60mL/min/1.73m2)あたりから徐々に顕在化し始め、stage 4(eGFR<45mL/min/1.73m2)以降で急増する傾向があります。具体的にはStage3で17.4%、Stage3で50.3%、 Stage5で53.4%が貧血と診断されます(PMID: 24392162)。総じて、eGFR<45(stage 3b)あたりから臨床的に注意が必要となり、stage 4(eGFR<30)以降で半数以上が貧血を呈するという理解が現在のエビデンスと整合しています。


Q.静注鉄剤の臓器障害は血清鉄やフェリチン値に相関しますか?

A.静注鉄剤による臓器障害は血清鉄とは直接相関しません。血清鉄(トランスフェリン結合鉄)は今、血中を走っている輸送トラックとその積み荷(鉄)ですから、これから骨髄に運ばれて赤血球の元になる原料ですから。血清鉄は悪者ではありません。

一方、フェリチンは貯蔵鉄ですから肝臓や網内系などで過剰になると非常に性質の悪いヒドロキシラジカルを産生する触媒になりますので、静注鉄剤は、腸のブロックを無視して直接血液内に大量の鉄を投入できるので、臓器障害の原因になります。フェリチンを極めて警戒しているのは日本のこれまでの腎性貧血ガイドライン2015ですね。「TSAT<20%かつフェリチン≧100ng / mL」で鉄はあるのにうまく利用できていないので鉄剤投与よりも炎症治療が優先する機能的鉄欠乏と判断し、「フェリチン≧300ng / mL」で鉄過剰のため鉄剤投与中止になりますから。海外でもフェリチン高値は良くないことは共通していますが、KDIGO腎性貧血ガイドライン2026ではPIVOTAL試験の結果を受けて、フェリチン濃度が700 ng/Lを超えない限り靜注鉄を積極的投与を容認しています。

ということで「フェリチンと臓器障害と相関する部分もありますが、かなり不完全」というのが現在のエビデンスの結論です。フェリチン≥600 ng/mLの患者は冠動脈狭窄のオッズ比(OR)が6.93(95%CI: 2.41〜19.94)と約7倍高い(PMID: 27329123)という報告も確かにありますし、肝臓や脾臓のヘモジデローシスとは相関するという報告もありますが、フェリチンは炎症によって上昇しますし、靜注鉄投与直後も上昇します。

フェリチンは心血管リスクの「マーカー」としての有用性はある程度あるものの、実際の臓器内鉄沈着の直接指標としては不十分であり、MRIによる臓器鉄定量が最も正確だといわれています 。

 

 

 


Q.今回の高カリウム血症とは逆の質問になり申し訳ありませんが、eGFRがG4、G5の在宅患者さんでの低カリウム血症をどうしたら良いでしょうか?カリウムが2程度の方にカリウム製剤の補充をするにも、添付文書上禁忌に該当してしまい、院外処方がしにくいです。実際にどのように対応しているのか、例があれば教えていただけると助かります。

A.在宅患者さんでは高齢、フレイルで食事が十分摂れていない患者さんでeGFRがG4、G5であれば、「腎機能が低下すると高カリウム血症」と直感する人がいますが、腎機能が低下すると腎臓のカリウムを保持する能力が低下するため、低カリウム血症も起こりやすくなります。腎臓は尿を作る臓器というよりも「不要なもの、余剰なものを排泄し、必要なものは再吸収して体液の正常化をする臓器」ですからね。

例えば薬剤ではループ利尿薬、チアジド系利尿薬、甘草含有漢方薬、そのほかにも厳格すぎるカリウム制限の食事や下痢・嘔吐、低マグネシウム血症、大量発汗、腹膜透析患者(透析液にカリウムが入っていない)など低カリウム血症の原因は様々です。


Q.慢性腎不全の方が入院されると、前医のdo処方となります。担当医は(内科以外の場合も多く)腎臓に詳しいわけではありませんので当然かと思います。ここには気をつけた方がいい、ここは最低限見た方がいいなど、アドバイス頂けるとありがたいです。

A.多科受診の場合、様々な診療科の医師が処方されると、「他科の医師の処方を変更しない」といういわゆる医師同士の仁義があり、薬の種類が増える方向になりますよね。聞くところによるとビタミンB12などのビタミン剤の好きな医師、胃粘膜保護剤の投与の好きな医師、ベンゾジアゼピンや抗コリン作用のある薬(この副作用で下剤が投与される)などあまり必要性の高くない薬やNSAIDsやPPIの長期投与など、高齢者やCKD患者にとって好ましくない薬が投与されることがあります。

すべてのお薬手帳を1冊にまとめ、どの病院に行く際も必ず提示することを奨励し、担当になった薬剤師が主治医との相談の機会を持って適正化することが大切だと思います。僕は電話ではなく、直接主治医と面談するのがこれからの薬物療法適正化にとってよいことだと思っています。

プロフィール

平田純生
平田 純生
Hirata Sumio

趣味は嫁との旅行(都市よりも自然)、映画(泣けるドラマ)、マラソン 、サウナ、ギター
音楽鑑賞(ビートルズ、サイモンとガーファンクル、ジャンゴ・ラインハルト、風、かぐや姫、ナターシャセブン、沢田聖子)
プロ野球観戦(家族みんな広島カープ)。
それと腎臓と薬に夢中です(趣味だと思えば何も辛くなくなります)

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