日本腎臓病薬物療法学会前日の前夜祭として、10月31日(金)17時30分から20時30分までの3時間にわたり、虎ノ門ヒルズフォーラムで開催された平田塾「薬物動態学を好きになれないあなたへ」に参加された方々の感想です。
日々の仕事の中で、薬剤師として考えないといけない事が有りすぎます。患者さんの治療と向き合える為にも、腎機能の勉強は続けたいです。
平田先生ご自身が経験した症例を用いて説明してくださり、とても分かりやすく興味が持てました。
先生のご講演を聞くことで薬剤師である事を実感しています。ありがとうございます。
大変参考になりました
資料を用意していただいたので聞くことに集中でき、後で見直すこともできます。ありがとうございます
大変勉強になりました。私の専門とする緩和ケアでも役立てられそうです。
先生のパッションが伝わってくる講演でした。初回投与で効果を出したい薬剤については、薬物動態パラメーターを使うと投与量を予測できること、つまり薬を使いこなせることがよく分かりました。お声がマイクに入っておらず聞き取りづらかったです。
ご公演ありがとうございました。とても勉強になりました。
大変参考になるありがたいお話でした。ありがとうございます。機会があれば是非CRRTなどにおける薬物動体や投与設計の考え方など伺いたいです
時間が足りなかったところが残念でした(仕方ないことですが)。今度ブログなど拝見します。
苦手とする分野なのでとても勉強になりました。薬物動態の考え方、捉え方の目安がなんとなくですが見えた気がします。
会場の関係で途中で終わってしまい残念であった。最後まで御拝聴したかったです
今日一日で、薬剤師としてかなりレベルアップしたと思います。ありがとうございました。
薬物動態学は苦手意識がありましたが、久しぶりに学び直せて大変勉強になりました。アセトアミノフェンの用量については、たしかに現場では過小投与の症例が多いので増量も視野に入れるべきだなと思いました。ありがとうございました。
何回も参加させてもらっていますが、資料がいただけて、だいぶ楽に聞けるようになりました。
ただ満席だったら資料が足りないなと思い、早く来て良かったです。
大学の講義で学んだような薬物動態の基礎をもう一度思い出すことが出来ました。ありがとうございました。
実際にお会いできて大変光栄でした。日頃の業務に活かせるように邁進します。ありがとうございました。
もう少し時間拡大できるとありがたいと思います。お体ご自愛ください。
深く掘り下げるには、どうしたら良いのかと考えました。画一的になりすぎていることを反省しました。高齢者の筋肉量は減少している可能性もあると考える一方で、そこまで悪くない場合もあると考えて、セフェム系抗菌薬等は極力多めに投与していますが、気づいていない副作用がでてるのか…?心配になりました。TMAOの話は職場で広めます。3時間聴講出来るか最初心配でしたが、気づいたら終わっていました。ありがとうございました!
動態を分かりやすく、とっつきやすい形に示していただき、敬遠してしまっていることに対して少し距離を縮められたと思います。
薬物動態パラメータを活用することは、薬剤師の強みになることなので、さらに理解を深めたいです。
先生がきっかけで動態学が面白くなってます。今回も勉強になりました。
貴重なご講演をありがとうございました。
カロナールが高用量で処方されている患者さんがいますが、今日の講演で納得がいきまいた。平田塾も拝聴したいと思います。
疼痛時のアセトアミノフェンの投与量が全然少なかったということに衝撃を受けました。今度、医師にも伝達して見直しを図りたいと思います。
いつも楽しい講演をありがとうございます。
私も薬物動態は苦手ですが、以前、先生のご講演を拝聴してから、食わず嫌いをせずに頑張ってみようと思い、少しずつ苦手を克服しています。まだまだ難しいと感じていますが、薬物動態を知ることで、グリーンブックの使い方が分かるようになりましたし、IFをより活用できるようになりました。今回、資料の内容全てを教えていただくことが出来ず、残念です。機会があれば残りについてもぜひご講演いただきたいと思います。
初めて参加させていただきました。
自分は薬剤師2年目で最近、病棟に本格的に入り始め、腎機能や分布容積等を考慮して投与設計をすることの重要性・難しさをまさに今感じているところです。本日先生のご講演を聴講し、目を向けるポイント、考え方、必要な知識が分かり投与設計のイメージを掴むことができ、とても勉強になりました。大学で学んだ薬物動態学の重要性を改めて感じ、再度学び直していこうと思いました。
本日はお忙しい中、貴重なご講演をありがとうございました。
初めて聴講しました。色々な視点を学べてよかったです、ありがとうございました
平田先生、体調のせいか声が小さかった。特に、語尾。お大事にしてください。
2025年12月開催の平田の薬剤師塾のお知らせです。
第60回平田の薬剤師塾 初級編は「Triple whammyを防げ!」です。
薬剤性腎障害シリーズの1回目は「Triple whammyを防げ!」。RAS阻害薬+利尿薬+NSAIDsの
◆12月11(木)開催「Triple whammyを防げ! 」
お申し込みは こちら から
【申込期限:講演会開始直前まで】
【定員:300名】
第61回平田の薬剤師塾 中級者編「バラシクロビル腎症・脳症を防ぐ!」です。
薬剤性腎障害シリーズの2回目は「バラシクロビル腎症・脳症を防
◆12月18(木)開催「バラシクロビル腎症・脳症を防ぐ!」
お申し込みは こちら から
【申込期限:講演会開始直前まで】
【定員:300名】
通常、腎排泄性の薬物ってリーマスⓇやゾビラックスⓇ、アミノグリコシド系やβラクタム系の抗菌薬のように水溶性で、蛋白結合率が低く、分布容積が小さい薬が多いイメージを持っているよね。これらは透析でよく抜けるから過量投与してもいざというときには透析で救命できるから怖くない。これは常識!だけど中に例外がある。ジゴシンⓇ、シベノールⓇ、シンメトレルⓇの3つの薬物だ。3つとも腎排泄性なので腎機能低下患者に減量せず投与すると当然、致死的な有害反応が起こる可能性が高いハイリスク薬だが、分子量も大きくないし蛋白結合率も高くないけど、分布容積が5.0L/kg以上あるため、透析で抜けない。透析だけじゃない、CHDFを含むあらゆる血液浄化法が無効だから救命できない。だから初回投与設計を間違えないことがとっても重要なんだけど、残念ながら医師にこの能力はない。動態をよく知っている薬剤師であれば初回投与設計を間違えないはず、薬剤師の力の見せ所なんだ。


バラシクロビルで無尿になって急性腎障害で緊急入院、たいていの患者は小柄な高齢女性へのバラシクロビルの過量投与だ。腎障害だけでなく、ろれつが回らないアシクロビル脳症を併発していることが多いので、血液透析を2日以上連続して施行すると、2回目の透析中に目を覚ましたように意識障害が消失することがよくある。透析でアシクロビルが抜けたからだ。じゃあどんな薬物中毒の時に血液透析が有効なの?
血液透析で除去されにくい薬物の共通点は蛋白結合率PBRの高い薬物、脂溶性の高い薬物、腎排泄性の低い薬物、分布容積Vdが大きい薬物、分子量の大きい薬物。もっと具体的には、①PBR>90%以上の薬物は血液透析によって除去されない(図1)、②分布容積Vd>2.0L/kgの薬物は除去されにくい(図2)、③PBR>80%かつVd>1.0L/kgの薬物も除去されにくい。たいていの肝代謝型薬物は上記の性質を持っているので透析では抜けないが、まとめるとこうなる(図3)。逆にアシクロビルの蛋白結合率は30%程度で低いし、分布容積Vdは0.7L/kgと体内水分量に近いくらい小さいし、分子量は225Daしかないから透析でよく抜けるんだよね。詳しくは薬物除去率予測式 を参照してね。



①ステージ4以降(eGFR<30mL/min/1.73m2)にまで腎機能が低下すると、②尿中へのリン排泄低下が起こり、FGF23というホルモンが骨から分泌されて、血液中のリンを減らそうとして、尿からのリンの排泄を促す。③ビタミンDの活性化がFGF23によって抑制される。④血清リン濃度の上昇、⑤ビタミンDの活性化障害によって腸管からのCa吸収能が低下して、低カルシウム血症になる。⑥血清Ca濃度が低下すると副甲状腺ホルモン(PTH: parathyroid hormone)が過剰に分泌されて骨吸収が増加(骨からCaを溶け出させる)ため、骨塩量が低下して骨がスカスカになって脆くなる。⑦これを線維性骨炎と言うが、同時に血中に溶出したCaとリン酸が血管に沈着して石灰化を起こす(図1)。この一連の流れを「慢性腎臓病に伴う骨ミネラル代謝異常(CKD-MBD: mineral bone disease)」と言う。
その治療の基本は①リン、②Ca、③PTHの順にコントロールするのが鉄則。腎機能が低下して最初に上がるのが血清リン値、血清Ca値、血清intact PTHだからだ。PTHは骨の代謝回転を上げる悪玉のように言われるが、この中では3番目に重要。また図2には左からリン、Ca、PTHの折れ線グラフは全死亡ハザード比、棒グラフは透析患者の各濃度の人口分布を示すが、ハザード比の振れ幅が大きい、つまり血清濃度が高くなると全死亡ハザード比が高くなる順は明らかに①血清リン値、②血清Ca値、③血清intact PTH値の順だ。だからこの順に正すべきというのが鉄則なのだ。ではそれらの適正濃度は①血清リン値3.5~6.0mg/dL、②血清Ca値はアルブミン濃度で補正した補正Caとして8.4~10.0mg/dL、③血清intact PTH値60~240pg/mLに入るようにしよう(図3)。複雑だけど分かった?



10月16日(木)開催の、シリーズ②「慢性心不全治療の薬物療法の基本」について以下のような質問をいただきましたので回答させていただきます。
Q.平田先生、いつもわかりやすい講演ありがとうございます。
A.高齢者は患者さんによって腎機能の見方が変わります。
Q.透析導入後、フロセミドに、トルバブタン7.5㎎(または15㎎)を透析クリニックで継続する際、トルバブタンはどこまで継続すべきか、何かガイドラインとなるものがあるのでしょうか。
A.フロセミド+トルバプタンは心不全ではどうしようもない溢水、呼吸困難、ひどい低ナトリウム血症などで緊急的に併用する薬物療法だと思います。僕自身は高価なトルバプタンを透析患者に併用するのはどうだろうと思います。その理由として透析患者であれば、溢水がひどければ透析で除水すればいいし(水の引き残しがあれば、透析終了後に透析液を流さず限外濾過(ECUM)をやるのもいい)、電解質異常は透析で是正できるからトルバブタンを併用するのは水分管理がよほどひどいときだけだと思います。肝硬変による腹水や腎嚢胞などで溢水があるからフロセミドを必要とするケースなのだと思いますが、透析をやっていれば徐々に腎機能が低下して3~5年で無尿になって、フロセミドの中止はやむを得ないと思います。トルバプタンの併用はよほどの時に一時的にとどめるべきではないでしょうか。ということで、透析患者を対象にフロセミド+トルバプタンの有効性を見る試験は誰もやらないと思いますので、ガイドラインには記載されていないはずです。
カルタンⓇは唯一のCa含有リン吸着薬。2007年にCa含有リン吸着薬群はセベラマー(レナジェル)群に比し、有意に死亡率が高いといわれ(図1)、同様な報告が続いた。カルタンⓇは一番使い方が難しい、一番怖いリン吸着薬と思われている。だけどカルタンⓇは高リン血症かつ低カルシウム血症になりがちな保存期には一番使いやすい薬で価格も安く、上手な使い方をマスターしなければならない薬だ。でも使い方の基本をマスターしていない医療者が多すぎる!
食事をしないときにカルタンⓇを飲むとリンを下げず、血清Ca値が上昇することによって起こる高カルシウム血症は透析患者の血管の中膜の石灰化(血管が骨に変わる!: 図2)を助長するためとても危険なので、「食事をしないときには飲んじゃダメ!」の服薬指導はとっても重要なのだ。リンが高くなく、低カルシウム血症を是正する時には血清Ca濃度を上げるために透析医は意図的に空腹時に投与することもあることも知っておいてほしい。
「カルタンⓇは異所性石灰化の原因になり、Ca非含有リン吸着薬に比べて予後が有意に不良」という常識は、唯一、セベラマーと比較して有意差がついただけで、2015年以降のメタアナリシスでは「これらの報告は異質性が高く、Ca含有剤が本当に有害で、セベラマーが有益という結論には至っていない。ましてや非Ca含有が優れているとは言えない」とされている。「カルタンⓇの死亡率が高い」という研究が行われたときに薬剤師が、「ご飯を食べないときには飲んじゃダメですよ」と服薬指導していたら、カルタンⓇによって予後が悪化する結果にはならなかったかもと思うんだけどね。以上、私論(ぼやきかな?)でした。



熊本大学教授だったころの話、同僚の近藤悠希先生と「病名が分かれば医師の患者指導と齟齬がなくなり、より踏み込んだ服薬指導ができるはず。そして検査値、特に血清クレアチニン値やBUNが分かれば、腎機能低下患者の薬物用量を適正化でき、高齢者などの脱水の兆候を見抜き、腎機能の悪化を防止できる。薬剤師らしい仕事ができる。でもM3.comのアンケート結果では『病名と検査値の記載を原則義務化』すべきという割合は医師45.0%、薬剤師12.1%だった。『どちらかでも記載したほうがいい』を含めば医師71.4%、薬剤師28.2%でともに医師のほうが処方箋に検査値・病名を記載した方がいいと考える方が薬剤師よりもはるかに多かった。薬剤師の皆さん、なんで病名を知りたくないの?検査値も知りたくないのは責任が増えるから?」と、ある学会の保険薬局薬剤師さん向けのシンポジウムでこんな話をした。その時、会場からベテランの薬剤師さんが手を挙げて「私くらいに保険薬局薬剤師を長くやっていれば、患者さんとの会話をしているうちに患者さんの病態は検査値を見なくても手に取るように分かるようになるんですよ、だから検査値や病名は必要ない」とおっしゃった。後で聞くと、○○県の薬剤師会会長らしい。すごいね。県の薬剤師会会長クラスになると話をするだけで病態を把握できるんだ。未熟な僕(70歳だけど)には無理です。検査値も病名もわからないと僕には病態を理解できません。完全に脱帽です。


SGLT2阻害薬は尿糖を排泄させる糖尿病治療薬として発売されたが、強力な腎保護作用・心保護作用が認められ、今では糖尿病関連腎症、CKD、慢性心不全治療薬の最も頼りになる、つまり有効性の高い幅広い治療薬になった。統計的に有意な副作用は脱水、性器感染、糖尿病性ケトアシドーシスの3つだけ。だけど、基本的に尿糖排泄によって痩せるので、①やせ過ぎのフレイル、サルコペニア(活動度の低い人はみんな)では筋肉量がさらに減って栄養状態が悪化するので、やめておいた方がよい。寝たきりの人は性器を清浄に保つことができないので性器感染のリスクが高まるためなおさら投与すべきではない。
②食事を摂れない患者:絶食の必要な患者・周術期・重症感染症・重篤な外傷・アルコール依存症、それと新しい薬が投与されたので一念発起して「今後、血糖管理、頑張ります。だから糖質は一切摂りません」などという糖尿病患者さんがいたら、身を挺してでも「それはいけません。1日3回少量でもいいからご飯(糖質)は摂らないといけません」と指導しよう。でないと糖尿病性ケトアシドーシスになっちゃうからね。
③透析患者など腎機能の廃絶した患者では腎に作用する薬なので効かないとはずだ(いつか透析患者に投与する日が来るかもしれないが・・・・)脱水、性器感染、糖尿病性ケトアシドーシスはすべて服薬指導で「こまめな飲水」が必須なのは常識だよね。




NSAIDs、利尿薬、RAS阻害薬、活性型ビタミンD3、SGLT2阻害薬、バラシクロビル服用者には薬剤師は、猛暑の続く夏には特に「こまめな飲水」を指導しなければならない。ただし一定数の患者はこれに従ってくれない。
①高齢者は口渇感を感じなくなることが多い。口渇中枢に異常があるために、のどが乾かないのだ。②高齢男性は前立腺肥大による夜間頻尿があるため飲水したくない、特に夕方以降の水分摂取を嫌がる。そしてよく知られていないけど多いのが、③加齢あるいは明らかな腎機能低下があると夜間の抗利尿ホルモンの分泌低下によって起こる尿濃縮障害により、夜間多尿になるため、夕方以降の水分摂取を嫌がる人たちだ。夜間多尿は腎機能が低下している、つまりCKDの典型的な症状なのだ。夜間頻尿はつらいもの。だけど、飲水不足によっておこる脱水から急性腎障害は入院を要するくらい大変な病態であることを分かっていただき「こまめな飲水」を実行していただき、濃い褐色尿から左側の無色透明に近い尿になるまで(冬の尿はたいていこんな尿だよね)飲水していただこう。

