平田は神戸に移住してからほぼ5年会オンライン英会話を続けています。フィリピン人教師が主で、1対1で毎日25分で5000~7000円と格安です。20年前の駅前留学っていっていた頃、日本人3~4人に1人のネイティブスピーカーのクラスで月に2万円近く取っていたころに比べ、本当にいいシステムになったなあと思っています。

この中で一番人気のテーマはデイリーニュースで、世界中で起こった話題について話をするのが一番人気なのですが、最近、変なことにはまっています。僕がはまっている「変なこと」はこのオンライン英会話で、「PubMed」検索して得られた論文を一緒に読むことです。そして相手は医学の知識はないので、理解できないことが多いのですが、素人にわかりやすく解説できる能力を高めるのは薬剤師にはとても大切だと思っているからです。外国人に自己紹介して「薬剤師です」といっても、薬のことについて聞かれると、さっぱり説明できなかったらさみしいでしょ。僕もまだまだ英会話に関しては発展途上ですが、頑張って医学・薬学英語にも強くなりたいと思っています。それと夢は大きく、国際学会に参加した時のディスカッションにも必ず役に立つと信じて頑張っています。

 医学用語は英語圏の人にとってもむつかしいのですが、日本人が常識と思っていた発音がちょっと違ってたことがよくあります。今までにもカヘキシアじゃなくカケクスィア、コルヒチンじゃなくカァルチャシィーンと発音しないと英語圏の人々には通じないということをお伝えしてきましたが、今回はMRAです。そうスピロノラクトンじゃなくスパ‘イロノラクトゥンでしたね。じゃあMRAはもちろんミネラルコルチコイド受容体アンタゴニストでしたよね。じゃないのです。MRAの正式名はmineralocorticoid receptor antagonistです。ミネラルじゃなく「ミネラロ」なのです。だから正式名はミネラロコルチコイド受容体アンタゴニストなのです(図1)。日本人の著名な医師・薬剤師でもいまだにミネラルコルチコイドと言っている人のほうが多いのですが、正確にミネラロコルチコイドと言っている人もいます。これって恥ずかしながら僕も最近気づきました。そしてそれ以降、ずっとミネラロコルチコイドというようにしています。

 随分前、1995年ころの話です。緑内障治療薬の1つとしてダイアモックスⓇ(アセタゾラミド)という炭酸脱水酵素阻害薬がよく使われていました。今でもアセタゾラミドは高山病、てんかんなどの治療に用いられます。ただしアセタゾラミドの尿中排泄率は90%と極めて高いため、腎機能低下患者に適切な減量を怠ると精神錯乱、見当識障害、めまい、無気力、倦怠感、しびれ、手指振戦などが中毒症状として起こりやすく、「無尿患者には禁忌」とされていましたが、透析患者さんの緑内障による眼圧上昇に伴う眼痛に用いたいという医師からの要望があり、HPLCを用いてTDMを実施しつつ投与設計を試行錯誤した挙句、かなり減量して、有効かつ安全な投与が可能になりました。これらの報告は1996年から日本TDM学会、透析医学会などで報告し、TDM研究誌に論文にまとめました。この当時、アセタゾラミドのTDMをやっていたのは京都大学医学部附属病院薬剤部と我々、弱小の白鷺病院薬剤科だけでしたが、どちらも「有効値領域10~15µg/mLで副作用なく眼圧を良好にコントロールでき、透析患者では125mgを2日に1回投与が推奨される」という結論だったと思います。1997年にはその当時の私の副官のI先生に国際TDM学会でも発表してもらいましたが、その当時、海外ではすでに炭酸脱水酵素阻害薬の点眼薬が販売されており、「アセタゾラミドをTDMまで実施してまで使う必要はないのでは?だって腎機能が低下していても局所作用する点眼薬を使えばTDMなんて必要ないでしょ」と言われて納得したそうです。そうだよね。点眼薬だったら、局所に作用するのだから、腎機能に応じた減量もTDMの必要性なんてないからと僕もその意見に納得していました。 この続きは登録ユーザーのみ閲覧できます

 我が国の透析患者さんの平均年齢は70歳を超え、多様な合併症から多くの薬を飲む必要がありますが、飲み間違いや飲み忘れを防ぐため、そして薬を1錠ずつパッケージから取り出すのが大変などの理由から、一包化(one dose package:図1)が必要な患者さんの割合がとても多いです。麻薬や抗がん薬、急性疾患に対する抗菌薬、頓服で処方される場合の睡眠薬や下剤などは一包化すべきではない、あるいは一包化できないものもあります。 この続きは登録ユーザーのみ閲覧できます

 2月28日の第44回の「基礎から学ぶ薬剤師塾」の「透析患者の便秘はたかが便秘ではない~死亡者300人/年は過小評価されている~」でお受けしたアンケートに記載されていた質問です。


質問
 抗血栓薬と一緒にPPIを投与し続けることが多いですが、胃のpHが上がり、腸内環境にも影響することで、下痢などの消化器症状はないのですが、味覚異常を訴える患者に、プロバイオテックスは有効なカギになるでしょうか。亜鉛を投与したり、今回はPPIをH2ブロッカーに変えて、様子を見ているところです。何か他の提案があればご教授いただければ、幸いです。

回答
 今回の講演は「透析患者の便秘」でしたので、透析患者について答えさせていただきます。透析患者の胃は脆弱でPPIは致命的な消化管出血を防いでくれる強力な薬です。そのため多くの透析患者にPPIが投与されていますが、胃内pHを上げる作用が強力なため、胃酸による外界生物の殺菌をできないため、腸内環境に悪影響をする可能性はおそらくあると思います。でもそれはPPIが悪いのではなく、胃内pHを上げることによるデメリットがあるということです。だからPPIだけでなくボノプラザンでもH2ブロッカーでも同様に胃内pHを上げるデメリットがあると思います。それ以前に、PPI投与によって胃の諸症状を改善し、消化管出血リスクを防いでくれる大きなメリットもあるということも忘れないでほしいです。

 Proton pump inhibitors ×Taste disordersでPubMed検索しましたが、具体的にPPI投与によって「味覚異常」が起こるということは明確にされていません。「味覚異常」に対してプロバイオテックスが有効かどうかについても分かっていません。 プロバイオテックスは万能な薬でもなく、強力な薬効を持つわけではありません。ただし我々の腸内環境の悪化を防いでくれる共生微生物だと理解していただければと思います。野菜をたくさん摂ると腸内の善玉菌が増えて生活習慣病になりにくいから、10年~20年摂り続けた人は野菜不足の人に比べて長生きするかもしれません。でも食物繊維の多い野菜って、消化されにくいから腸内細菌のエサになるのですよね。例えば下痢気味の時に「身体のためにいいから」と思って野菜をたくさん摂ると、消化されにくいので、下痢はひどくなります。同様にプロバイオテックスを摂れば身体にいいと思って、免疫能の極端に低下した90歳の高齢者に投与すると身体にいいはずのプロバイオティクスによって致命的な感染症を起こす例だってあります。

 この症例に対しては、私なら、やはり透析患者で欠乏しやすい血清亜鉛濃度を測定し、正常下限程度まで下がっていたらポラプレジンクの投与を医師に勧めるかもしれません。ほかに味覚異常をきたす併用薬がないかもチェックし、消化器専門医を受診することを勧めるとよいかもしれません。

2月28日(金)開催の第44回 基礎から学ぶ薬剤師塾「透析患者の便秘はたかが便秘ではない~死亡者300人/年は過小評価されている~」について以下のようなアンケートの回答をいただきました。
アンケート結果は以下の通りです。原文のまますべてのアンケート内容を紹介させていただきます(個人名は削除しました)。



2025.2.28 第44回基礎から学ぶ薬剤師塾 参加後アンケート


1.初めて参加させていただきました。開始時間に間に合わず途中からの参加でしたがいろんな症例や 薬剤の使用例比較例などボリュームのある内容で大変勉強になりました。ありがとうございます。


2.酪酸菌がさまざまな働きを持っていることに驚きを得た。シスプラチンなどの腎毒性も緩和することも知ることができて大変ためになりました。


3.勉強になりました。これからもよろしくお願いします。


4.整腸剤について良く理解できました


5.丁寧なお話で、分かりやすく新しい情報も復習も兼ねて聞けました。先生の新しいセミナー、楽しみにしています。


6.今回もわかりやすかったです。最後の来月もまたよろしくお願いします。
4月以降の有料化などに関する意見です。
値段は1回1000円くらいで良いのではないかと思います。時間につきましては、金曜日の19時や19時30分を希望します。業務の兼ね合いもありますので、なるべく遅い時間だと幸いです。ご検討よろしくお願い致します。


7.知らない事がたくさんおり、とても勉強になりました。ありがとうございました。
仕事の関係上、19時以降の勉強会だと助かります。


8.ガイドラインにも記載のない貴重なお話が拝聴でき大変勉強になりありがとうございました。
他疾患の腸内細菌叢についても伺いたいです


9.透析を行うことで失われる栄養素が多いことを知り驚きました。また、透析患者において穿孔が起こるメカニズムを改めて整理することができました。ありがとうございました。
時間は18時半からで問題ありません。


10.透析患者の便秘について良く学べました。これからも続けていただけたら嬉しいです。
開催日時の希望はありませんが、一週間ほど繰り返し見れたらありがたいです。
また、金額に関しては特段希望はなく、先生のご熱意が続く限り拝見したいと思います


11.便秘についての見識が深まりました。濃厚な内容でした。
ライブのみであれば、土曜の夜などが参加しやすいです。
参加料は1回2時間であれば、500円、もしくはオンデマンドと資料ありで1000円くらいが参加しやすいでしょうか。ぜひ継続していただきたいです。


12.2000円までなら出せますので、ぜひ続けて頂きたいです。


13.わかりやすい説明ありがとうございました。
開始時間は19時から20時くらいを希望します。


14.1年目調剤薬局勤務の薬剤師です。透析クリニックが目の前にあり、今回の講演に興味があり参加させていただきました。
酸化マグネシウムによる高mg血症のお話など知らないことばかりで大変勉強になりました。貴重なお話ありがとうございました。


15.次こそは、質問してみようと思います!
地域の薬剤師会のzoom の勉強会は1000円です。1000~2000円でも参加します。


16.便秘について、カリウム吸着剤について改めて考えさせられました。


17.本日はご講演ありがとうございました。
便秘を改善すること、良い腸内細菌を摂取することで様々な疾患を予防できることが理論的に学ぶことができました。
腎臓病について最近力を入れて勉強し始めたので、もっと沢山の講演や文献などを通して学び現場で活かしたいと思っています。
講演でもお話があった通り、18:30だと間に合わないこともありディレイ配信があると助かります。今後もよろしくお願い致します。


18.とても勉強になりましたが、テキスト等があれば、あとで見直せるので、助かります。こちらの電波状況のせいだってと思いますが、途中で声が、途切れたりして少しわかりずらく、残念でした。
1週間ほどでも、オンデマンド配信があると、途中電波状況が悪い時、急な残業等でも後で見れるので、助かります。金額ですが、オンデマンド配信をされるのであれば、単回ごとの徴収ではなく、ある程度まとまった、回数や、期間(例えば6回分とか、半年分とか)振込手数料のことを含めて助かります。


19.下剤や整腸剤の違いについてよく分かりました。ありがとうございました。
有料でも是非続けて頂きたいです。私はまだ2度目の受講なので過去の講義が聴けるとありがたいです。


20.刺激性下剤の頻用は良くないとは知っていましたが、頻用されやすい原因なども知れて良かったです。ただ頻回使用しないでくださいよりも、細かく患者さんへの説明に生かせると感じました。
論文の抄読会をやっていただくことはできないでしょうか。興味があり薬剤部でやってみたいのですが、やったことのある知り合いがおらず進め方がわからないので参考にしたいです


21.透析患者さんの透析中の体内の血液循環を考えたことがなく、ハッとしました。下剤といっても、化学物質としての下剤と体内のイオンの動きを意識すること重要であることを再度認識いたしました。今回も非常に勉強になりました。
何度か受講するうちに、以前の講義で出てきた内容がオーバーラップすることで、復習になり、とても良い勉強になっていることを実感いたします。
今後有料になるということですが、病院薬剤師会等での公開講座webで大体1300円(会員)、2300円(非会員)です。
内容の問題かもしれませんが、あまり集まりません・・・参考になれば幸いです。
平田先生の講座で何度も見れる、資料をいただける、透析の講座なら講義時間の長さにもよりますが、10,000でも私はお願いしたいです。質問も、数日後までできるとさらに良いです。
ありがとうございます。先生の知識を分けていただけるだけでなく、知識欲を掻き立てられ、自分でもさらに勉強をしたいと思える口座だと思います。


22.酪酸菌などの整腸剤の効果について詳しく聞くことができてとても勉強になりました。市販されているミヤリサンやビオスリーを飲みたいと思いました。お腹の調子が問題なくても、飲んでおくと良さそうだと思いました。
特に抗生物質を飲むときは、下痢の予防などではなく、将来的に腸を守るために、酪酸菌が大切だと思いました。
19:00過ぎまでは業務があり、落ち着いて聞けるのは早くても19:30になります。できればそれ以降の開始を希望します。これからも参加したいと思っています。年間パスがお得に購入できたら嬉しいです。


23.本日も得られるものが多く、とても勉強になりました。2歳前への抗菌薬処方が当院であるのか、もしあるならば、喘息やアレルギーのリスクになることをAST担当とも共有したいと思いました。
・金曜19時~20時開始が参加しやすいです。事前資料配布や動画配信、単位取得できるのであれば1000円でも参加します。
・講義終了時に、次回講義の申込ができるようにどうかお願いします。また、申し込み直後に自動メール受信できると申し込みエラーに気づけて助かります。(講義直前までエラーに気づかず、受講できなかったことがあります)


24.透析患者の便秘に関して興味があったので今回の薬剤師塾を楽しみにしていました。分かりやすい説明で大変分かりやすかったです。ありがとうございました。
4月からの研修会に関してですが、18時半からの早い時間に参加できない方もおられるため、今より時間を遅らせるのは全く問題ありません。幼い子を育てておりますので20時からのスタートで終わりの時間を考えると、できれば19時半からのスタートだと助かります。私事で勝手を申しまして大変失礼いたしました。もし難しいようでしたら再放送でも構いません。曜日はいつでも大丈夫です。


25.便秘の透析患者に対して、透析による腸内の虚血が起きること、硬結便がたまって腸管裂孔を起こし、また、便のほかにイオン交換樹脂が、腸内で塊になって腸閉塞を起こしている実際を見て、毎日便が出るように指導する必要性を感じました。
刺激性下剤は頓用で使用するが推奨。
酸化マグネシウムは使用されますが、ラクツロースはあまり使用されません。刺激性便秘薬を週に3回(または連日)使用する処方が多いです。ルビプロスト、リナクロチドを連日(1日おき)使用する方法が推奨されているわけですが、刺激性便秘薬を増量する傾向が多いです。腸内環境の改善についても、積極的にかかわるようにしたいと思います。
抗血栓薬と一緒にPPIを投与し続けることが多いですが、胃のPHが上がり、腸内環境にも影響することで、下痢などの消化器症状はないのですが、味覚異常を訴える患者に、プロバイオテックスは有効なカギになるでしょうか。亜鉛を投与したり、今回はPPIをH2ブロッカーに変えて、様子を見ているところです。何か他の提案があればご教授いただければ、幸いです。


以上です。ご回答、ありがとうございました。
今後の薬剤師塾の運営の参考にさせていただきます。1人だけ質問が来ていますが後ほど、回答させていただきます。

第45回の「基礎から学ぶ薬剤師塾」はいよいよ最終回となります。2025年3月14日(金)18時半から(20時半までの予定)です。

 今回のテーマは「腎機能悪化を防ぐtriple therapy~SGLT2阻害薬、RASi or ARNI, MRAの適正使用について考える~」です。腎機能eGFRは加齢とともに低下しますがeGFRをよくすることはできません。進行速度を緩和する治療しかないのです。しかし2015年以降、きわめて強力に腎機能悪化を遅くする薬物療法が開発され、うまく使えれば透析患者数はこれを契機に半分以下になると予測されます。ただし導入する前にこれらの有効性・安全性について学ばねばなりません。

 参加を希望される方は 申し込みフォーム に記入のうえ、3月9日までに送信してください。医療関係者であれば参加可能です。

 なお、I&H株式会社の主催するオンラインセミナーはこれが最終回になります。4月以降、平田は独立するため有料にはなりますが、参加者の希望に沿ったさらに充実した薬剤師塾の開催を目指していますのでご期待ください。

 

 

 

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プロフィール

平田純生
平田 純生
Hirata Sumio

趣味は嫁との旅行(都市よりも自然)、映画(泣けるドラマ)、マラソン 、サウナ、ギター
音楽鑑賞(ビートルズ、サイモンとガーファンクル、ジャンゴ・ラインハルト、風、かぐや姫、ナターシャセブン、沢田聖子)
プロ野球観戦(家族みんな広島カープ)。
それと腎臓と薬に夢中です(趣味だと思えば何も辛くなくなります)

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