平田のX

2025年7月13日 X投稿
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 PPIは意外とアレルゲン性が高く、アレルギー性の急性間質性腎炎になりやすい(図1)。免疫チェックポイント阻害薬と併用すると、重症のアレルギー性の腎障害が起こりやすい(図2)が、これらは用量依存的ではない。長期投与で問題なのはPPIによる毒性ではなく、胃酸分泌抑制による諸問題なのだ。まず下記の4つの副作用に注意しよう。①胃酸分泌の抑制による腸内細菌叢の変化によってクロストリジオイデス・ディフィシル(CD)腸炎などの多剤耐性菌のコロニー形成のリスクになる(図3)、Mgの吸収障害による重度の低マグネシウム血症により、QT延長、心停止を起こす可能性がある。TdP (Torsades de pointes)発症患者の半数以上が低マグネシウム血症でTdP発症群の血清Mg濃度は低く、PPI服用中にTdP発症群の血清Mg濃度はさらに低いことが報告されている(図4)③胃酸分泌抑制によって吸収されにくくなる薬物がある(アゾール系抗真菌薬のイトラコナゾール、HIV抗レトロウイルス薬のリルビビビン、アザタナビル、チロシンキナーゼ阻害薬のダサチニブなど)④PPI長期投与によってビタミンB12の吸収障害(PPIを常用している平田も欠乏レベルに近かった)。

 そのほかにも様々な報告がある。Ca吸収障害による骨折のリスク増加、種々のがんリスク上昇、肺炎のリスク上昇、認知症悪化リスク上昇など様々だが、これらは矛盾するデータも多く、交絡因子の影響を受けているものが多いので確立されていない。本当にPPIの必要な患者さんに対して、再生回数を増やすために、明確になっていない副作用、薬の怖さだけ強調する医療系SNSには気を付けよう。

 

 

 

 

 

2025年7月1日 X投稿
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 これから暑い夏、トリプルワーミー処方や活性型ビタミンDを服用している患者さんにはこまめな飲水よりもより積極的な飲水励行をしよう。そして保険薬局や在宅でも簡易に脱水を早期発見するには、「爪毛細血管再充満時間(CRT:Capillary refilling time)2~3秒以上」の特異度が高いことを知っておこう。もともとこれはトリアージ(災害時などで誰を優先的に治療するかの順位を決める)で循環機能を簡易的に判定する指標で,爪を5秒間加圧した後に解除し,爪の赤みが回復するまでの時間(Blanch test)。2秒以上なら、緊急治療群(Ⅰ:赤)とするトリアージに用いる手法である。2秒未満なら、循環に関しては問題ないと判断される(3秒とすることもある)。McGeeらは脱水症の判定に応用した循環血漿量が減少しているかどうかを簡易に見つける特異度の高い方法として報告した。右手で左人差し指のつま先をつまんでみよう。ピンク色の爪が一瞬、白くなるが、2秒以上白いままだと脱水(末梢循環の不良)が疑われる。これは特異度、つまり脱水がない患者で症状が現れない確率が95%と高い。口腔粘膜の乾燥は感度、つまり脱水が存在する時に出現する確率(脱水を見逃さない確率)が85%と高いことを覚えておき、どちらも高ければ脱水と簡易診断可能だ。そのほかにも体重減少・血圧低下もとても良い参考になる。輸液の専門家はなぜか、皮膚の張り(skin turgor)を参考にするという人が多いけど高齢者ではしわが多いのでもともと張りがないので平田は高齢者にはあまり使わない。

 

 

2025年6月30日 X投稿
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 通常、腎排泄性の薬物ってリーマスⓇやゾビラックスⓇ、アミノグリコシド系やβラクタム系の抗菌薬のように水溶性で、蛋白結合率が低く、分布容積が小さい薬が多いイメージを持っているよね。これらは透析でよく抜けるから過量投与してもいざというときには透析で救命できるから怖くない。これは常識!だけど中に例外がある。ジゴシンⓇ、シベノールⓇ、シンメトレルⓇの3つの薬物だ。3つとも腎排泄性なので腎機能低下患者に減量せず投与すると当然、致死的な有害反応が起こる可能性が高いハイリスク薬だが、分子量も大きくないし蛋白結合率も高くないけど、分布容積が5.0L/kg以上あるため、透析で抜けない。透析だけじゃない、CHDFを含むあらゆる血液浄化法が無効だから救命できない。だから初回投与設計を間違えないことがとっても重要なんだけど、残念ながら医師にこの能力はない。動態をよく知っている薬剤師であれば初回投与設計を間違えないはず、薬剤師の力の見せ所なんだ。

 

 

2025年6月29日 X投稿
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 バラシクロビルで無尿になって急性腎障害で緊急入院、たいていの患者は小柄な高齢女性へのバラシクロビルの過量投与だ。腎障害だけでなく、ろれつが回らないアシクロビル脳症を併発していることが多いので、血液透析を2日以上連続して施行すると、2回目の透析中に目を覚ましたように意識障害が消失することがよくある。透析でアシクロビルが抜けたからだ。じゃあどんな薬物中毒の時に血液透析が有効なの?

 血液透析で除去されにくい薬物の共通点は蛋白結合率PBRの高い薬物、脂溶性の高い薬物、腎排泄性の低い薬物、分布容積Vdが大きい薬物、分子量の大きい薬物。もっと具体的には、①PBR>90%以上の薬物は血液透析によって除去されない(図1)、②分布容積Vd>2.0L/kgの薬物は除去されにくい(図2)、③PBR>80%かつVd>1.0L/kgの薬物も除去されにくい。たいていの肝代謝型薬物は上記の性質を持っているので透析では抜けないが、まとめるとこうなる(図3)。逆にアシクロビルの蛋白結合率は30%程度で低いし、分布容積Vdは0.7L/kgと体内水分量に近いくらい小さいし、分子量は225Daしかないから透析でよく抜けるんだよね。詳しくは薬物除去率予測式 を参照してね。

 

 

 

2025年6月16日 X投稿
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 ①ステージ4以降(eGFR<30mL/min/1.73m2)にまで腎機能が低下すると、②尿中へのリン排泄低下が起こり、FGF23というホルモンが骨から分泌されて、血液中のリンを減らそうとして、尿からのリンの排泄を促す。③ビタミンDの活性化がFGF23によって抑制される。④血清リン濃度の上昇、⑤ビタミンDの活性化障害によって腸管からのCa吸収能が低下して、低カルシウム血症になる。⑥血清Ca濃度が低下すると副甲状腺ホルモン(PTH: parathyroid hormone)が過剰に分泌されて骨吸収が増加(骨からCaを溶け出させる)ため、骨塩量が低下して骨がスカスカになって脆くなる。⑦これを線維性骨炎と言うが、同時に血中に溶出したCaとリン酸が血管に沈着して石灰化を起こす(図1)。この一連の流れを「慢性腎臓病に伴う骨ミネラル代謝異常(CKD-MBD: mineral bone disease)」と言う。

 その治療の基本は①リン、②Ca、③PTHの順にコントロールするのが鉄則。腎機能が低下して最初に上がるのが血清リン値、血清Ca値、血清intact PTHだからだ。PTHは骨の代謝回転を上げる悪玉のように言われるが、この中では3番目に重要。また図2には左からリン、Ca、PTHの折れ線グラフは全死亡ハザード比、棒グラフは透析患者の各濃度の人口分布を示すが、ハザード比の振れ幅が大きい、つまり血清濃度が高くなると全死亡ハザード比が高くなる順は明らかに①血清リン値、②血清Ca値、③血清intact PTH値の順だ。だからこの順に正すべきというのが鉄則なのだ。ではそれらの適正濃度は①血清リン値3.5~6.0mg/dL、②血清Ca値はアルブミン濃度で補正した補正Caとして8.4~10.0mg/dL、③血清intact PTH値60~240pg/mLに入るようにしよう(図3)。複雑だけど分かった?

 

 

 

2025年6月15日 X投稿
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 カルタンは唯一のCa含有リン吸着薬。2007年にCa含有リン吸着薬群はセベラマー(レナジェル)群に比し、有意に死亡率が高いといわれ(図1)、同様な報告が続いた。カルタンは一番使い方が難しい、一番怖いリン吸着薬と思われている。だけどカルタンは高リン血症かつ低カルシウム血症になりがちな保存期には一番使いやすい薬で価格も安く、上手な使い方をマスターしなければならない薬だ。でも使い方の基本をマスターしていない医療者が多すぎる!

 食事をしないときにカルタンを飲むとリンを下げず、血清Ca値が上昇することによって起こる高カルシウム血症は透析患者の血管の中膜の石灰化(血管が骨に変わる!: 図2)を助長するためとても危険なので、「食事をしないときには飲んじゃダメ!」の服薬指導はとっても重要なのだ。リンが高くなく、低カルシウム血症を是正する時には血清Ca濃度を上げるために透析医は意図的に空腹時に投与することもあることも知っておいてほしい。

 「カルタンは異所性石灰化の原因になり、Ca非含有リン吸着薬に比べて予後が有意に不良」という常識は、唯一、セベラマーと比較して有意差がついただけで、2015年以降のメタアナリシスでは「これらの報告は異質性が高く、Ca含有剤が本当に有害で、セベラマーが有益という結論には至っていない。ましてや非Ca含有が優れているとは言えない」とされている。「カルタンの死亡率が高い」という研究が行われたときに薬剤師が、「ご飯を食べないときには飲んじゃダメですよ」と服薬指導していたら、カルタンによって予後が悪化する結果にはならなかったかもと思うんだけどね。以上、私論(ぼやきかな?)でした。

 

 

 

2025年6月13日 X投稿
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 熊本大学教授だったころの話、同僚の近藤悠希先生と「病名が分かれば医師の患者指導と齟齬がなくなり、より踏み込んだ服薬指導ができるはず。そして検査値、特に血清クレアチニン値やBUNが分かれば、腎機能低下患者の薬物用量を適正化でき、高齢者などの脱水の兆候を見抜き、腎機能の悪化を防止できる。薬剤師らしい仕事ができる。でもM3.comのアンケート結果では『病名と検査値の記載を原則義務化』すべきという割合は医師45.0%、薬剤師12.1%だった。『どちらかでも記載したほうがいい』を含めば医師71.4%、薬剤師28.2%でともに医師のほうが処方箋に検査値・病名を記載した方がいいと考える方が薬剤師よりもはるかに多かった。薬剤師の皆さん、なんで病名を知りたくないの?検査値も知りたくないのは責任が増えるから?」と、ある学会の保険薬局薬剤師さん向けのシンポジウムでこんな話をした。その時、会場からベテランの薬剤師さんが手を挙げて「私くらいに保険薬局薬剤師を長くやっていれば、患者さんとの会話をしているうちに患者さんの病態は検査値を見なくても手に取るように分かるようになるんですよ、だから検査値や病名は必要ない」とおっしゃった。後で聞くと、○○県の薬剤師会会長らしい。すごいね。県の薬剤師会会長クラスになると話をするだけで病態を把握できるんだ。未熟な僕(70歳だけど)には無理です。検査値も病名もわからないと僕には病態を理解できません。完全に脱帽です。

 

 

2025年6月26日 X投稿
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 SGLT2阻害薬は尿糖を排泄させる糖尿病治療薬として発売されたが、強力な腎保護作用・心保護作用が認められ、今では糖尿病関連腎症、CKD、慢性心不全治療薬の最も頼りになる、つまり有効性の高い幅広い治療薬になった。統計的に有意な副作用は脱水、性器感染、糖尿病性ケトアシドーシスの3つだけ。だけど、基本的に尿糖排泄によって痩せるので、①やせ過ぎのフレイル、サルコペニア(活動度の低い人はみんな)では筋肉量がさらに減って栄養状態が悪化するので、やめておいた方がよい。寝たきりの人は性器を清浄に保つことができないので性器感染のリスクが高まるためなおさら投与すべきではない。

 ②食事を摂れない患者:絶食の必要な患者・周術期・重症感染症・重篤な外傷・アルコール依存症、それと新しい薬が投与されたので一念発起して「今後、血糖管理、頑張ります。だから糖質は一切摂りません」などという糖尿病患者さんがいたら、身を挺してでも「それはいけません。1日3回少量でもいいからご飯(糖質)は摂らないといけません」と指導しよう。でないと糖尿病性ケトアシドーシスになっちゃうからね。

 ③透析患者など腎機能の廃絶した患者では腎に作用する薬なので効かないとはずだ(いつか透析患者に投与する日が来るかもしれないが・・・・)脱水、性器感染、糖尿病性ケトアシドーシスはすべて服薬指導で「こまめな飲水」が必須なのは常識だよね。

 

 

 

 

2025年6月20日 X投稿
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 NSAIDs、利尿薬、RAS阻害薬、活性型ビタミンD3、SGLT2阻害薬、バラシクロビル服用者には薬剤師は、猛暑の続く夏には特に「こまめな飲水」を指導しなければならない。ただし一定数の患者はこれに従ってくれない。

 ①高齢者は口渇感を感じなくなることが多い。口渇中枢に異常があるために、のどが乾かないのだ。②高齢男性は前立腺肥大による夜間頻尿があるため飲水したくない、特に夕方以降の水分摂取を嫌がる。そしてよく知られていないけど多いのが、③加齢あるいは明らかな腎機能低下があると夜間の抗利尿ホルモンの分泌低下によって起こる尿濃縮障害により、夜間多尿になるため、夕方以降の水分摂取を嫌がる人たちだ。夜間多尿は腎機能が低下している、つまりCKDの典型的な症状なのだ。夜間頻尿はつらいもの。だけど、飲水不足によっておこる脱水から急性腎障害は入院を要するくらい大変な病態であることを分かっていただき「こまめな飲水」を実行していただき、濃い褐色尿から左側の無色透明に近い尿になるまで(冬の尿はたいていこんな尿だよね)飲水していただこう。

 

 

 

2025年6月18日 X投稿
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 慢性心不全は延々と緩やかに続く坂道のような病態で、重い荷物を引いている老馬が慢性心不全の心臓にたとえると患者さんには理解しやすくなる。心臓を鞭打つ薬、つまり強心薬を使い続けると、最初は快調に走ってくれても老馬は疲弊して早死にしてしまう。「逆に馬の速度を緩めてあげる役割がβ遮断薬、馬の荷物を軽くして負担を軽減する役割がRAS阻害薬、MRAはさらに荷物を軽くしてくれる薬なので、老馬はより長い距離を歩くことができる。つまり生命予後を延長できる慢性心不全治療薬になるのです(図1)」と説明するとわかっていただけるかも?強心薬は生命の危機を脱するために急性心不全だけでなく慢性心不全の増悪期にも一時的に使うことがある(図2)。心拍出量を上げるにはドブタミン、尿量が減ってきたらドパミン、血圧が下がってきていよいよ危なくなってきたらノルアドレナリンのように使い分ける。じゃあ利尿薬の立ち位置は?

 慢性心不全入院理由の多くを占める体液貯留によるうっ血症状を改善してくれるのが利尿薬だ。症状を目覚ましく改善してくれるのでガイドラインでの推奨度はⅠだが生命予後改善効果はない。じゃあSGLT2阻害薬は?

 「いっぱいあって説明しにくい」けど、ケトン体によってエネルギー効率がよくなることだと考えると「老馬にこまめにえさと水を与えること」に似ているかも?でもこれは平田の勝手な持論です。

 

 

 

プロフィール

平田純生
平田 純生
Hirata Sumio

趣味は嫁との旅行(都市よりも自然)、映画(泣けるドラマ)、マラソン 、サウナ、ギター
音楽鑑賞(ビートルズ、サイモンとガーファンクル、ジャンゴ・ラインハルト、風、かぐや姫、ナターシャセブン、沢田聖子)
プロ野球観戦(家族みんな広島カープ)。
それと腎臓と薬に夢中です(趣味だと思えば何も辛くなくなります)

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